見える化システム・サービス市場の拡大は続くのか

2012年07月23日 11:00

 矢野経済研究所のデータによると、2011年度の省エネルギーの見える化システム・サービス市場規模は、前年度比13.9%増の501億円。2012年度は、エネルギー管理システム導入促進事業補助制度が始まったことで市場拡大が予想され、成長は鈍化するものの前年度比11.2%増の557億円になると予測されている。この伸長を裏付けるように、様々な見える化システムを発売している。

 東京ガスは、小学校向けにエネルギー消費量の見える化システム「TGグリーンモニタースクール」を販売。電気・ガスの使用量や、ガスを熱源に空調を行うガスヒートポンプの運転状況を専用の計測器で収集し、表示。学校全体の数値に加え、教室単位の数値を3クラスまで計測可能だという。また、学校のエネルギー・環境教育で、効果的に活用されることを目指し、教師向けの活用手引書や、児童が省エネ行動の結果を記録するためのワークシート等をセットにした「環境教育教材」も提供。例えば、ある時点における特定の教室のエネルギー使用量を計測し、その使用量を減らすための方策を児童達が考え、取り組み、その結果を自らが記録・検証するといった一連の行動を授業に取り入れることが出来る。

 またパナソニックは、各拠点からエネルギー使用量を一括収集し、省エネ実現に向けた一連のサイクルをサポートする「エコ見える化システム」(2009年発売)に「各種制御機能」を追加したBEMSバージョンの受注を開始。空調や照明などに加えて、パソコンやサーバなどの各種ICT機器の制御も可能なことが特徴で、ICT機器の監視によりピーク電力の抑制対策として効果を発揮するという。また、最大1000ヶ所という多拠点のエネルギー使用量を一括集計し、企業全体のエネルギー使用量を集中管理。各種トレンドグラフ等による分析、使用実績に基づく予測シミュレーション等の機能を提供する。

 現在「見える化システム」は、単に使用料等が確認できるタイプのものから、エネルギーの最適化を自動制御で行うものまで幅広く市場に登場している。これらは、究極的には全ての建物に設置されることが理想であろう。矢野経済研究所の将来予測では、補助金制度が有効な2013年までは特需にのり市場は拡大するとしている。この間にどこまで普及するのか。今度の動向に注目が集まるところであろう。