【日経平均】雇用統計が良くても16000円に届かず182円高

2014年10月06日 20:18

 ソフトバンク<9984>はアメリカの映画製作会社レジェンダリー・エンターテインメントへの出資と合弁会社の設立で合意。「アメリカ版ゴジラ」を製作したが、この映画は本家ゴジラに親しんでいる日本人には評判が悪かったせいか株価は火を吹かず11 円安で7日続落しアリババ上場後の不振が続く。NTTドコモ<9437>は野村證券がレーティングを引き下げ9円安。2011年に住商情報システム(SCS)がCSKを吸収して社名を変更したSCSK<9719>は、日経「人を活かす会社」ランキング1位になり77円高。残業削減に率先して取り組んでいる。ヒト型ロボットと違ってヒトは24時間戦えない。

 鉄鋼セクターは、新日鐵住金<5401>は0.5円高。売買高5位。神戸製鋼<5406>は2円高。売買高13位。JFEHD<5411>は5円高。建設セクターは国土強靱化関連銘柄のショーボンドHD<1414>がUBSがレーティングを引き上げ85円高。飛島建設<1805>は売買高6位に入り14円高で年初来高値更新。積水ハウス<1928>は宮城県東松島市に省エネ住宅街「スマートコミュニティ」を建設すると報じられ7円高だった。

 日東電工<6988>はアメリカで肝硬変患者に新しいバイオ医薬品「核酸医薬品」を投与する臨床試験を始めたと伝えられ105円高。富士フイルムHD<4901>は、傘下の富山化学の「アビガン(ファビピラビル)」を投与されたエボラ出血熱患者のフランス人女性看護師が全快・退院して売買代金3位に入り94.5円高で年初来高値更新。効果だけでなく大量生産可能で副作用の心配が少ないのも評価され、フランスの医療チームは11月に西アフリカのギニアで投与を実験的に開始するという。アフリカで効果をあげれば株価はさらに上がりそうだ。JT<2914>はJPモルガンが目標株価を引き上げ売買代金12位で117.5円高。アステラス製薬<4503>は42.5円高で年初来高値更新、エーザイ<4523>は74.5円高としっかり買われていた。

 電子部品商社が値上がり率ランキング上位入り。1位は電子部品や液晶を扱うミタチ産業<3321>で、6~8月期(第1四半期)の経常利益が2.3倍の4.1億円に急拡大し中間期の進捗率が76.9%に達したのを好感されストップ高比例配分の100円高で年初来高値更新。3位は半導体商社のルネサスイーストン<9995>で72円高だった。

 ユニーGHD<8270>は配当予想を中間期、期末とも12円から10円に減額修正し3円安で年初来安値更新。西松屋チェーン<7545>は40円高で年初来高値更新。ホームセンターのDCMHD<3050>はみずほ証券が目標株価を引き上げ28円高、コーナン商事<7516>は9円高で年初来高値を更新した。靴のチヨダ<8185>は2月期通期の経常利益見通しを119億円から99億円に下方修正し112円安で値下がり率5位。3~8月中間期の営業利益29.4%減のオンワードHD<8016>は2月期通期の売上高見通しを55億円、営業利益見通しを12億円下方修正し、みずほ証券が目標株価を引き下げ30 円安で値下がり率7位だった。

 店舗ディスプレイの銘柄の人気は続く。乃村工藝社<9716>は2月期通期の営業利益が50億円強で2期連続過去最高益更新という観測記事が出て16円高。丹青社<9743>は61円高で値上がり率12位。小売店舗改装需要だけでなくホテルの改装を手がけて訪日外国人関連でもあり、カジノ関連でもある。

 不動産セクターは業種別騰落率31位。住友不動産は売買代金6位の売り浴びせ。43.5円安で年初来安値を更新し5日続落。前週悪役になった住友商事<8053>も21.5円安で年初来安値を更新していた。近畿エリアのテレビ、ラジオ局の朝日放送<9405>は10日付で東証2部から1部への指定替えを承認され、94円高で年初来高値を更新していた。

 ネット・コンテンツ関連銘柄ではマーベラス<7844>が92円高で値上がり率8位と買われた。新興市場は日経ジャスダック平均が0.79%、東証マザーズ指数が1.54%それぞれ上昇。FFRI<3692>はストップ高の1000円高。直近IPO銘柄で、情報セキュリティ分野は有望で、財務内容も優秀と三拍子揃っている。同時新規上場の外食のホットランド<3196>もストップ高の500円高だった。

 この日の主役は、ダイエー<8263>を完全子会社化するイオン<8267>。3日に3~8月中間期の決算を発表し、営業利益は41%減の433億円、純利益は91%減の20億円と不振。GMS事業の営業損益が131億円もの赤字で足を引っ張った。それでも通期業績見通しは据え置き、年間配当28円の予想も変えない強気ぶり。決算は悪いが、発行済株式数の3.58%にあたる3000万株、500億円上限の自社株買いの実施を発表すると終始プラスで推移して終値は9.5円高だった。

 「悪材料の会社発表を自社株買いで相殺して株価維持」というマーケットと投資家をなめた株価対策の悪弊は、2001年の金庫株規制の緩和以来目に余る。銘柄名はあえて秘すが今年あったケースでは、悪い決算を発表した後のザラ場中、株価の動きを見ながら自社株買いを小出しに何度も発表しては株価の下落を食い止めようとした。まるで冬の凍った坂道で滑り止めにまく砂だ。株式を砂扱いされたくなかったら、東証は「24時間後まで発表禁止」ぐらいできないものだろうか。(編集担当:寺尾淳)