【今週の展望】SQ明け週はどこまでリカバリーできるか?

2014年10月13日 20:11

 前週の日経平均終値は月曜日にアメリカ雇用統計の好転を織り込んで182円上昇した後、4日間でズルズルと合計590円も下落して15300円まで落ち込んだ。10日の「マイナーSQ」のSQ値は15296円という低い水準で決まっている。

 10日の終値15300.55円のテクニカル・ポジションを確認すると、25日移動平均線の15903円も5日移動平均線の15610円も75日移動平均線の15549円もその上にあり、下にあるのは200日移動平均線の15123円。日足一目均衡表の「雲」は15291~15442円に位置し、10日はザラ場に雲の下に出ていたが、終盤の上昇で雲の中に首を突っ込んで終わった。そしてボリンジャーバンドは25日線-2σ(第2標準偏差)の15353円の下で、そこに位置するのは確率的には約5%しかない。25日移動平均乖離率はマイナス3.79%。ストキャスティクスのFast・9日は6.27まで低下。騰落レシオ(25日)は77.8で100を大きく下回った。ここまでくると「売られすぎ」のシグナルが点滅している。

 8月8日の「オバマショック」でも日足一目均衡表の「雲」の中にとどまったから、10日にその雲の下に出たのは5月23日以来の出来事だった。当時の日経平均は、低位ボックス圏のラビリンス(迷宮)をみじめにさまよっていた状況からようやく脱し、イカロスの翼を得て上昇が始まったばかりの頃。しかし、消費増税後の反動減の真っ盛りだった5月とは景況感も、ドル円が円安方向に6円進んだ為替も、企業業績も外部環境も異なっているので、「抜け出せないラビリンスにまた閉じ込められる」とは考えにくい。むしろ8月8日のオバマショック後のV字回復のほうが参考になる。あの時は悪夢の454円安を翌週に全値戻しした勢いで日経平均は9日連騰までいったが、前週、4日間に590円安した下落分を今週、どこまでリカバリーできるだろうか。

 その8月8日は10月10日と同じく「マイナーSQ」の日で、翌週8月11~15日の「SQ明けの週」は5日続伸した。この月に限らず毎月のSQ明けの週の日経平均はパフォーマンスが非常に良く、昨年1月から今年9月までの21回で下落は4回しかなく、17勝4敗で〃勝率〃は80.9%もある。ここまで高率だと「上がるか、下がるか」よりも、「どれぐらい上がるか」が話の焦点になってくる。

 火曜日から始まる「3連休明け」の過去のデータも確かめておこう。「利益確定売りの金曜日」は3連休前は手じまい売りが増えて下げがきつくなる傾向があるが、3連休明けの火曜日はその反動で日経平均が上昇する確率が高い。昨年は1月15日、2月12日、4月30日、5月7日(4連休)、7月16日、9月17日、9月24日、10月15日、11月5日、12月24日と10回あり、今年はこれまで1月14日、7月22日、9月16日と3回あったが、8勝5敗で〃勝率〃は61.5%。1回あたりの平均騰落はプラス32.85円だった。3ケタ高の日も8回中3回ある。今年1月14日は細川元首相が小泉元首相と組んで都知事選出馬を表明した「細川ショック」で489.66円安を喫したが、その日を除くと平均騰落はプラス76.39円まで高まる。

 そのようにテクニカルポジションも、SQ明けの週のデータも3連休明けのデータも味方になりそう。では「敵」になりそうな要素には何があるだろうか? 国内の経済指標の発表は少なく、企業決算は中間期の発表が2月期決算企業から3月期決算企業に切り替わる端境期。リクルートHDの超大型新規上場も前評判は悪くないので「黒星」はまずなさそう。やはり怖いのは「外から来る敵」で、中国の経済指標のサプライズ、ヨーロッパ、特にドイツの経済指標の悪化、そしてピークを迎えるアメリカの企業決算にウォール街が過敏に反応して、前週のように「そこまでいくか?」と思わせる乱高下を演じること。そのように外部要因で東京市場の株価がほぼ決まり、朝の寄り付きで高く、あるいは低く始まっても日中値幅は小さく推移するというパターンになりそうだ。

 それでも「売られすぎ」なので、下値は10日のSQ値の15296円を割り込むことはまずないと思われる。上値でどこまで反発するは、25日移動平均が15903円と非常に高いポジションにあるので、「いつも青空だ」とルイ・アラゴンが言う「雲」の上に出て、75日移動平均、5日移動平均をゴボウ抜きして前週のほぼ全値戻しの400円高、14700円台の回復は十分に望めるとみる。そこでもボリンジャーバンドが-1σと+1σの間の「ニュートラル・ゾーン」だから、閣僚や日銀あたりから政策についてポジティブな話が出てくれば、25日線を突き抜けて7~10日の下落分590円の全値戻しもありうるだろう。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは15300~15900円とみる。しかし、過去20年間の日経平均の騰落データは10月の下旬は85%という高い確率で軟調になっているので、16000円台の回復は11月までお預けになりそうだ。(編集担当:寺尾淳)