【日経平均】人民元急落には後場の日銀砲も空しく122円安

2014年12月09日 20:14

 富士石油<5017>は三菱UFJ証券がレーティングを引き上げ14円高で値上がり率9位。住友化学<4005>はアメリカの化学大手モンサントと組み、南米の農業大国ブラジル、アルゼンチンでの雑草防除分野の長期協力に合意と伝わり売買高14位、10円高で年初来高値を更新し5日続伸。除草剤「フルミオキサジン」の拡販につながる。エーザイ<4523>は大和証券がレーティングを引き下げ215円安。JT<2914>はみずほ証券が目標株価を引き上げ26円高。クラレ<3405>はガラスより透明なアクリルフィルムを開発して1円高。ディスプレイなどの保護フィルムに使われる。

 小売セクターで業績が比較的好調な食品スーパーの神戸物産<3038>は、10月期通期の経常利益が6割増の64億円で、年間配当を10円増額し80円と発表し年初来高値を更新したが終値は100円安。訪日外国人にウケがいいドンキホーテHD<7532>は後場に11月の月次売上高を発表。前年同月比で7%増、客単価は3%増で70円高。しまむら<8227>は値引き販売で採算が悪化し、3~11月期の営業利益が1割減の300億円前後で2年連続減益という業績観測記事が出て100円安。宝飾品のTASAKI<7968>は10月期通期の営業利益見通しを12億円から14.5億円に上方修正し、純利益は2.6倍になり153円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。この期で2回目の業績の上方修正。セリア<2782>は125円安で5日続落。牛丼店などと並びデフレ期の花形業態だった「100円ショップ」は、円安による輸入価格上昇、消費増税、人件費高騰などに苦しむ。

 牛丼の吉野家HD<9861>は後場、17日午後3時から牛丼と牛カルビ丼を80~120円(税込み)値上げすると発表すると上昇し15円高。牛丼並盛は300円が380円になる。アメリカ産牛肉の輸入価格が円安やアジアの需要増で高騰したため。日本マクドナルドHD<2702>は11月の既存店売上高を発表し前年同月比12.3%減で10ヵ月連続のマイナスになり8円安。それでも減少幅は10月の17.3%減よりも縮小した。客数は12%減、客単価は0.4%減だった。

 ボウリングとカラオケのラウンドワン<4680>は11月の既存店ベースの売上高が前年同月比7.3%増と好調で25円高。書き入れ時の年末年始への期待も込められている。スバル興業<9632>は1月期で2度目の通期業績見通し上方修正を発表。営業利益は15億円を16.3億円に修正したが21円安。「有楽町スバル座」などレジャー事業は減収でも道路工事の事業が好調という。電通<4324>は三菱UFJ証券が目標株価を引き上げて60円高で年初来高値を更新し8日続伸。学情<2301>は10月期の営業利益が前期比で3.8倍の8億8500万円と発表した。従来予想の7億9000万円を上回る。2015年10月期の営業利益見通しは22.2%増の10億8200万円で、年間配当を前期の16円から24円に増額。株主全員にQUOカード500円分を進呈する株主優待制度の導入も発表したが101円安で値下がり率1位。「材料出尽くし」だけでこうまで売り込まれるだろうか?

 ゲーム・コンテンツ関連では、カプコン<9697>が「PS4」とパソコンで同時対戦可能な格闘ゲームを開発中と報じられ70円高で値上がり率11位。音楽・映像ソフトのエイベックスGHD<7860>はカドカワドワンゴ<9468>株を全て売却して特別利益を計上し、通期の純利益見通しを38億円から60億円に上方修正して32円高。昨年の参議院選挙ではドワンゴがネット選挙関連としてもてはやされたが今回の総選挙はサッパリで、カドカワドワンゴは41円安。新興市場は日経ジャスダック平均は0.92%下落、東証マザーズ指数は1.87%下落した。

 この日の話題は日経新聞朝刊のトップ記事の「NISA投資枠の拡大」。政府は2016年から、現行の年100万円から120万円へ20万円拡大し、20歳未満対象の投資枠80万円の「子ども版NISA」を創設すると報じられた。9日終値時点の最低売買金額を見ると、枠が120万円に拡大すれば35銘柄が新たにNISA適用になり、その中には小野薬品<4528>、横浜ゴム<5101>、旭化成<3407>、大日本印刷<7912>、明治HD<2269>などの主力銘柄が入っている。株主優待で人気の小田急<9007>や松竹<9601>も買えるようになる。しかしそれでも買えない銘柄が71銘柄あり、ファーストリテイリング<9983>も、株主優待人気ナンバーワンのオリエンタルランド<4661>も依然としてNISAを使えない。「ワンデーパスポートが欲しければ配当から税金を払え」である。もし国税庁がこの銘柄を特別枠扱いにして大人版でも子ども版でもNISA適用にしたら、個人投資家はどれだけ増えることだろう。
(編集担当:寺尾淳)