中外製薬<4519>は前日のR&D説明会でがん治療薬中心の開発戦略を披露し157円高で6日ぶりに反発し値上がり率15位。資生堂<4911>も昼休みに中・長期の経営戦略を発表。2020年までに売上高1兆円、営業利益1000億円、ROE12%、配当性向40%という目標数字が好感され48円高まで上昇したが終値は3円安。大引けの魔女のしわざ。JTはゴールドマンサックスがレーティングを引き下げ売買代金3位の売り浴びせで247.5円安。値下がり率4位になり、食料品セクターを業種別騰落率最下位に押し下げた。タバコの売上本数は旧ソ連圏のCISでほぼ4割を占め、ロシア事業の売上比率は20~25%。ルーブルが1%下落すれば利益が30億円弱押し下げられるという。
外食産業向けにカット野菜を供給するデリカフーズ<3392>はこの日、東証1部に指定替えになり115円高で年初来高値を更新し値上がり率2位と上々の初日。東北地方で石油の卸売や自動車販売などを手がけるカメイ<8037>は、石油製品価格の低下、自動車販売の不振などが影響して今期の最終利益見通しを48億円から64.3%減益の17億円に下方修正し52円安で値下がり率6位だった。
広島が本社で「ゆめタウン」などの店舗網を持つイズミ<8273>は、資本業務提携を結ぶ北九州市のスーパー大栄<9819>のTOBによる連結子会社化を発表。スーパー大栄も賛同し、イズミは60円高、福岡上場のスーパー大栄は9円高で年初来高値を更新した。西松屋チェーン<7545>は前日に3~11月期決算を発表。営業利益は1.6%減益、経常利益は2.6%減益、最終利益は8.2%増益。新規出店は多いが既存店が苦戦し、人件費負担もかさみ、しまむら<8227>やファーストリテイリングなど同業との競争も激化して通期見通しの11.7%の営業増益達成が厳しくなった。131円安で3日続落し値下がり率1位。ホームセンターのアークランドサカモト<9842>は、3~11月期の営業利益が0.1%増の73.2億円でも通期見通しに対する進捗率は75%に及ばず、第3四半期の9~11月期は5%減益と悪かったために105円安で値下がり率13位になった。
業界再編の渦中のドラッグストアはSMBC日興証券がいくつかの銘柄のレーティングをまとめて変更した。引き下げられたサンドラッグ<9989>は215円安、スギHD<7649>は205円安。引き上げられたコスモス薬品<3349>は200円高。ツルハHD<3391>はPB商品が伸びて6~11月期は2ケタ増収増益、純利益は11%増で過去最高だったが、既存店売上高が2%減だったのを問題視されたのか150円安で3日続落した。
スカイマーク<9204>は国土交通省が羽田空港の発着枠1日36枠を維持し経営を側面支援すると報じられ売買高4位に入りストップ高の80円高で値上がり率1位。今は小学校高学年でも英語の授業があるが、文部科学省は3年生から英語の授業を始める方針。学研HD<9470>は来春から小学校低学年向けにオンライン英会話教室を始めると報じられ7円高と11日ぶりに反発した。英語が公用語のフィリピンにいる先生からネット電話「スカイプ」を介し1回25分間週2回のレッスンを受け、小学校卒業までに中学2年生程度の英会話力をつけるという。
ゲーム・コンテンツ関連ではオルトプラス<3672>が84円高で値上がり率4位。新興市場は日経ジャスダック平均は0.34%下落、東証マザーズ指数は1.02%下落と不振だった。ラクオリア創薬<4579>は、期初に計画した消化器疾患系のプログラムのライセンス契約が期中に完了しないという理由で、12月期の業績見通しを営業損失は19.8億円の赤字から21.2億円の赤字に、最終損失は2.5億円の赤字から4.0億円の赤字にそれぞれ下方修正し5円安だった。
新規IPOは3件。ジャスダックに金沢市が本社で持家比率日本最高の北陸3県が地盤の今村証券<7175>が新規上場。証券会社の新規上場は8年9ヵ月ぶり。公開価格1350円に対して9時53分、27.4%高い1720円の初値がついた。終値は1650円。東証2部に化粧品、日用品、食品などのボトル容器の製造、販売を行う竹本容器<4248>が新規上場。公開価格900円に対して9時6分、2%高い918円の初値がついた。残念ながら終値は880円と公開価格を割り込んだ。東証マザーズに南米アマゾンのフルーツ「アサイー」の輸入、販売を行うフルッタフルッタ<2586>が新規上場。公開価格4290円に対して10時31分、51.5%高い6500円の初値がついた。終値は5500円。この日は黒星なし。初値を翌日に持ち越さないのが今週の傾向。
この日の主役は電力会社。原子力規制委員会が高浜原発3、4号機は「新基準を満たす」とする審査書案を了承した関西電力<9503>は、前場に4月の電気料金値上げ〃準備〃を発表した。値上げ幅は平均10%前後とみられ、関西経済への悪影響が心配されるだけでなく、2016年の電力の全面自由化に対抗できず自分で自分の首を絞めかねない。それでも株価は直近の業績が第一で23.5円高。一方、東京電力<9501>と中部電力<9502>は共同で、これまで随意契約だったLNG(液化天然ガス)の調達を国際入札方式に切り替えると報じられ東京電力は売買高13位で4円高、中部電力は35円高。調達価格を半額にできるとは、今まで足元を見られて産出国から吹っかけられていたということ。東京電力はコスト削減額を1兆円追加し6兆円規模にするとも報じられ、電力の全面自由化を前に経営合理化を徹底し電気料金値上げを回避する努力をしている。Jパワー<9513>は前日、建設中の大間原発の安全審査を原子力規制委員会に申請して5円高だった。(編集担当:寺尾淳)