10日の日経平均は小幅に5日続伸。中国の貿易統計の悪さを受けてヨーロッパ市場は全面安。週明けのNYダウは一時下げ幅が200ドルを超え、終値は179ドル安で5日ぶりに反落。NASDAQは大幅に下落し、S&P500は4日続落。ともに-1%を超える大幅マイナスだった。OECDが来年の世界経済見通しを下方修正。10月の労働市場情勢指数(LMCI)は+1.6%で、雇用統計ほどの良さではなかった。ボストン連銀のローゼングリン総裁、シカゴ連銀のエバンス総裁は12月の利上げに前向きな発言をした。アメリカ長期金利は上昇し3ヵ月半ぶりの高水準。原油先物は4日続落し9日ぶりの終値43ドル台。金先物は8日ぶりに反発した。為替はドル円が123円台前半、ユーロ円が132円台半ばで、ドル高円安も一服。CME先物清算値は19435円だった。
OECDの世界経済見通しの経済成長率は、2015年は+2.9%、2016年は+3.3%、2017年は+3.6%。アメリカは2015年は+2.4%、2016年は+2.5%、2017年は+2.4%と個人消費に支えられ堅調な見通し。中国は2015年は+6.8%、2016年は新しい政府目標と同じ+6.5%、2017年はそれを下回る+6.2%と成長率は先細り。日本は2015年は+0.6%、2016年は+1.0%だが税率10%への消費増税が予定される2017年は+0.5%で、そんなペースでは、安倍首相がこの日発売の雑誌「文藝春秋」で「あらゆる政策を総動員しGDP600兆円を達成する」と決意を示した2020年目標の達成危うし。
ミャンマー総選挙の開票途中経過は野党NLD圧勝の勢い。取引開始前に財務省が発表した9月の貿易収支は823億円の黒字。速報値は1145億円の赤字だった。経常収支は1兆4684億円の黒字。上半期4~9月の貿易収支は4197億円の赤字、経常収支は8兆6938億円の黒字。10月上・中旬(1~20日)の貿易収支は2493億円の赤字だった。
朝方に為替のドル円は123円を瞬間割り込み、欧米の株安を受けて日経平均は185円安の19457円で始まる。TOPIXも15ポイント安でスタート。過熱感はあるものの序盤は陽線(白)のローソク足の下にヒゲのない「寄り安」で上昇し、日経平均は19500円台、TOPIXは1580台を回復する。ボーイングと長期契約を結んでアメリカ・サウスカロライナ州の工場設備を増強するニュースがあった東レ<3402>は決算発表日でもありマイナス。午前9時24分に19580円まで上昇した後は19500円台前半で推移するが、10時を前にして19500円近辺まで下落する。この日は「鬼門」の「SQ週の火曜日」で急落注意。中国の10月のCPI、PPIが発表され、CPIは9月の+1.6%、市場予測の+1.5%に対して+1.3%と悪く、PPIは-5.9%で市場予測と同じだった。中国の物価上昇率目標は日米欧より1ポイント高い+3%。4日続伸した上海市場は約1%のマイナスで始まり、徐々に下げ幅を圧縮する。10時台前半は19500円を少し割り込んでいた日経平均は10時30分を境に40円ほど上昇するが、すぐに頭を抑えられる。前日比100円安前後、19500円台前半での膠着状態がしばらく続いたが、11時までに再び19500円割れを起こす。それでも下げ幅はおとなしい。11時台は19500円台前半で静かに小動きし、土壇場の上海の急落にも反応せず前引けは116円安の19525円で、TOPIXは1580にわずかに及ばなかった。
上海市場はプラスに転じて午前の取引を終えた。後場の日経平均は下げ幅を圧縮して再開し、午後0時31分に19583円の高値をつける。上昇はそこまでだったが、下げても15500円付近どまりで前場よりもボトムが50円ほど高くなる。1時台に入ると高値を取りながら19600円に急接近してタッチ。1時17分に28円安の19614円まで上がり、プラス浮上が見えてくる。為替レートに特段、変動はなかった。その後、19600円を割り込む局面はあっても大崩れせず、2時にかけて上値追いし、1時57分に19642.68円で前日終値19642.74円まであと6銭まで急接近する。
上海市場はプラスで再開。帝国データバンクが発表した10月の全国企業倒産件数は735件で前年同月比7.4%減。7ヵ月連続のマイナス。負債総額は29.5%減だった。2時に発表された重要指標、10月の景気ウォッチャー調査の結果は、現状判断DIは市場予測の48.0を上回る48.2で9月から0.7ポイント上昇。先行判断DIは市場予測の49.3を下回る49.1で9月と同じだった。基調判断は「中国経済に関わる動向の影響などがみられるが、緩やかな回復基調が続いている」で据え置き。現状判断DIが3ヵ月ぶりに改善したためか、2時台に入るとTOPIXをマイナスに置いたまま日経平均はプラスに浮上。2時19分に19674円まで上昇した。しかしTOPIXはなかなかプラスにタッチできない。
2時台は日経平均小幅高、TOPIX小幅安の「NTねじれ現象」がずっと続く。ロイター通信が「政府与党がゆうちょ銀、かんぽ生命への預入限度額、契約限度額の引き上げを検討」と報じ、前日まで続落していた郵政3社は下げ止まって大幅上昇。ザラ場中に決算発表を行った建設、不動産セクターや地銀大手の銘柄も買われていた。上海市場は再びマイナスに転じ、終盤の日経平均は水準をやや下げるもののプラスはなんとか維持し、TOPIXは下げ幅を拡大。日経平均は大引けまでなんとかプラスを保ち、28円高の19671円で5日続伸。10月以来4回目の「騰落が3ケタではなかった日」になった。TOPIXは2時18分に一時的に1590台にタッチしたがプラスになれなかった。日経平均先物日中取引は高値引けで、現物の5日続伸は先物に引っ張られたおかげ。
「鬼門」のSQ週の火曜日を無事通過したが、鬼の都合でたまたまそうなっただけで、その理由を詮索するのは無意味。「鬼」とは本質的に恣意的で、気まぐれで、いつ、何をするかわからないもの。もし鬼の所業に因果関係を理屈で説明できるような「法則性」があったら、鬼は鬼ではなくなる。上海総合指数は朝から気まぐれな乱高下を繰り返した末に0.18%安で5日ぶりの反落。どうやら鬼は上海に出張中だったらしい。