【今週の振返り】日米中央銀行イベントに揉まれ243円下落した週

2015年12月19日 20:31

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FOMCの利上げ決定への東京市場の反応は、303円高で大幅続伸。日銀の「プチ緩和」への東京市場の反応は、日中値幅886円の乱高下の末に366円安。

 日経平均は14円安の18869円で始まる。TOPIXはわずかにマイナス。両指数とも取引開始直後にプラスになり日経平均は午前9時1分に18897円まで上昇するが、すぐにマイナス圏まで戻り18800円をはさんで上下30円程度の変動がしばらく続く。このレベルは前日ねじれた日足一目均衡表の雲の中。人民元安が続くが、上海市場は午前中は前日終値をはさんでプラスとマイナスを行ったり来たり。しかし日経平均は10時30分頃からズルズル下げ続け、75日移動平均まで割り込んでしまう。FOMC前のポジション手放しと解釈できそうだが、海外のヘッジファンドあたりが「夏から中国で損した。原油先物で損した。エネルギー株で損した。新興国通貨で損した。ジャンクボンドで損した。ろくなことがなかった2015年。日本株を売って穴埋めしてメリークリスマス!」とヤケになって売っている観もあり。11時14分には18700円も割り込んで18691円の安値をつける。前引けは138円安の18744円。TOPIXも2ケタ安だった。

 上海市場は前日終値付近でもみあったが、わずかなプラスで前場の取引を終了。東京市場はほぼ前引け水準で再開し午後0時台は少し上がったが、1時台は先物主導で再び下押しされ19700円を割り込み安値を更新。1時33分には18642円まで下げる。先物の買い物が入らず、売り物が途絶えないから上昇のきっかけをつかめず、「雲」の中でただもがくばかり。再開した上海市場はプラスの時間帯が少なく、ほとんどマイナス圏。為替の円高も進行して日経平均も2時台はさらにリスクオフで下落するばかり。18600円もたびたび割り込むようになり、2時39分に18562円のこの日の安値をつけた。京都で、毎年恒例の今年の漢字は「安」と決まる。それを記念するかのようにさんざん安くなった日経平均は317円安の18565円の大幅続落で終了。安ベノミクスに慣れきった心は安まらない? TOPIXはなぜか1500を割らずにすんで健闘。上海総合指数は0.29%安で終えたが日経平均の1.68%安よりずっとマシだった。

 新規IPOが1件。企業向けのビッグデータの生成・提供、データ生成過程で培った技術を活用したサービス企画・システム開発を行うダブルスタンダード<3925>が東証マザーズに新規上場。公開価格2190円に対して2時13分、2.28倍の5010円の初値がついた。終値は5750円で、「フィンテック」以前から人気のテーマ、ビッグデータの関連銘柄らしい上々のデビューだった。

 日経平均終値は317.52円安の18565.90円、TOPIX終値は-25.33の1502.55。売買高は20億株、売買代金は2兆2806億円。値上がり銘柄数は182、値下がり銘柄数は1683。全33業種がマイナスで、下落幅が小さいのは空運、水産・農林、電気・ガス・情報・通信、サービス、鉱業など。下落幅が大きいのはパルプ・紙、その他製品、銀行、海運、機械、金属製品などだった。

 16日の日経平均は3営業日ぶりの大幅反発で19000円台回復。利上げの確率8割と予想されるFOMC(連邦公開市場委員会)が始まり、NYダウは一時250ドル高を超えたが終盤に抑えられ156ドル高。NASDAQ、S&P500もプラスだった。ドイツのZEW景況感指数が改善しヨーロッパ市場は全面高。ムーディーズは2016年の原油価格見通しをWTIについては8ドル引き下げ40ドルとしたが、アメリカ政府が原油輸出を解禁する観測が出て原油先物価格は上昇し終値は37ドル台で、エネルギー大手の株価も上昇した。ジャンク債などハイ・イールド債のETFも反発。経済指標も良く、11月の消費者物価指数(CPI)は市場予測と同じく横ばいだったが、コア指数は前年同月比+2%。NY連銀製造業景気指数は-4.59で前月から大幅に改善し市場予測を上回った。アメリカ長期金利は上昇。リスクオン気味で金先物は下落した。為替はドル高に転じてドル円は121円台後半、ユーロ円は133円近辺。CME先物清算値は18845円だった。

 NYダウが続伸259ドル高に対し日経平均は続落して664円安という「日米逆連動」で取り残され、移動平均線は全部上で現値は一目均衡表の「雲」の中。オシレーター系指標の25日移動平均乖離率、RCI、ストキャスティクスは「売られすぎ」シグナルが点灯。もし3日続落すれば「政治的な意図」すら語られそうな日経平均は302円高の18868円で始まる。TOPIXも23ポイントを超える上昇でスタート。午前9時3分に18934円の高値をつけるが、序盤は18900円をはさんで75円幅の小動きが続き、19000円台に乗せられない。10時台もその状況は変わらず、水を打ったように静かになる。上海市場がプラスで始まっても反応薄だったが、11時前から動きが出て高値を取って上昇し11時16分に18950円を超える。11時29分に18970円まで上昇するが19000円には届かず時間切れ。前引けは395円高の18961円だった。

 上海市場は動きに乏しくプラス圏で安定したまま午前の取引を終えた。前引け間際の上昇で期待させた後場の日経平均だが、19995円で始まってもしばらく19000円に乗せられずモタモタ。それでも午後0時51分に19000円を突破する。1時42分に19054円まで上がるが、19000円を割ることはほとんどなくても上値を追えず、動きがなくなる。2時に再開した上海市場はプラスのままで、いつもはロデオのような激しい値動きを見せるじゃじゃ馬がガラにもなくおとなしい淑女と化す。日経平均もそれに合わせたかのように横ばいで、「まつすぐな道でさみしい」。息を殺してFOMCの結果とイエレン議長の発言を待つ様子見ムード。そのまま何の変化も起こらずに取引を終了し484円高の19049円。今年4番目の上昇幅。日中値幅は195円だが後場に限れば98円だった。TOPIXも大幅高。日経平均先物日中取引は19090円で高値引け。おしとやかだった上海総合指数は終盤に一時マイナスになるなどガラッパチの本性をあらわしたが、0.16%高で終了した。