スタンフォード大学が時速約200キロで走行する自動走行車「シェリー」を開発した。人工知能やロボット技術を駆使することにより、無人でも高い速度での走行を可能にした。この開発によって、自動走行車の安全性のさらなる向上に役立つという。
2016年2月下旬、スタンフォード大学が研究する自動走行車「シェリー」の研究成果が発表された。自動走行車のアルゴリズムと、センサーを改良するために作られたこの車は、カリフォルニア州にあるサンダーヒル・レースウェイでのテスト走行で、時速193キロをマークしたという。
開発者であるスタンフォード大学機械工学のクリス・ハーデス氏によれば、この車がどのようにスロットルやブレーキ・システムを調節しているのかを観察することによって、自動走行車の衝突回避システムの向上に役立てることができるという。
「レースカーの運転手は、クルマのあらゆる機能を駆使して、できるだけ速くクルマを走らせようとします。私たちは、それらの機能を有効活用して、自動走行車をより安全にしたいと思っているのです」と、彼はスタンフォード大学のWEBサイト上でコメントしている。
スタンフォード大学の大学院生であるニティン・カパニア氏は、人工知能を使ってシェリーに学習をさせ、コーナーでどのようにハンドルを切ればより正確に曲ることができるのかということを覚えさせ、また同じくスタンフォード大学の大学院生であるジョン・ケゲルマン氏は、熟練されたドライバーの運転技術をデータ化し、コンピューターのアルゴリズムに変換することに成功した。その結果、無人でも高速走行ができ、コーナーも正確に曲ることができるクルマが完成したのだ。
先日グーグルの自動走行車が起こした事故のニュースが報じられたが、この車の開発によって、自動走行車の安全性が高まる結果になるかもしれない。
自動走行車を用いたイベントも盛んに開催されるようになった。電気自動車のレース「フォーミュラE」の主催者が、無人自動車のレース「RoboRace」を16年に開催すると発表した。このレースは「フォーミュラE」と投資ファンドKinetikとの提携で実現する。Kinetikの創設者であるデニス・スヴェルドロフ氏はこのレースを「ロボット技術と人工知能が、実生活のなかで人と共存できることを示す、世界的な舞台」だと位置付けた。
シェリーのような車が誕生し、RoboRaceのようなイベントが生まれていることからも分かるように、自動運転技術はより安全に、より現実味を帯びつつある。自動走行車が、我々の実生活のなかでも活躍する日はそう遠くないだろう。(編集担当: 久保田 雄城)