決算発表を間近に控えた電子部品セクターなどアップル関連銘柄の急落が心配される日経平均は16.40円高の17369円で始まる。序盤に17400円台にタッチして9時8分に17417円まで上昇するが、TOPIXから先にマイナス圏に急落。東京時間に入った為替のドル円が円高に振れたため。それでも111円台はキープ。9時台はまだプラスにタッチする時間帯もあったが、10時台からは17300円も割り込むようになる。上海市場はプラスで始まるが前日終値をはさんでプラスとマイナスを行ったり来たり。中国国家統計局から3月の工業企業利益が発表され、+11.1%で1~2月の+4.8%から大幅加速したが反応薄。為替のドル円は前場ずっと111円台前半で小動き。11時台の日経平均は軟調が続き、11時21分に安値を更新して17230円。前引けは100円安の17253円だった。
上海はわずかなプラスで午前の取引を終える。後場の日経平均はほぼ前引け水準で再開し、おおむね17200円台後半、100円安以内のマイナス圏で動く。17300円台にタッチしても定着できない。再開した上海市場はいったんマイナスに落ちてもプラスに浮上。終盤は17300円をはさんで下げ渋りのような小動きが最後まで続いたが、日米中央銀行イベントの結果発表直前なので怖くてプラスには浮上できず、大引けは62円安の17290円で3日続落した。アップル関連銘柄の終値は、TDK<6762>は10円高、村田製作所<6981>は680円安、アルプス電気<6770>は21円安、日本電産<6594>は82円高、ジャパンディスプレイ<6740>は1円安、シャープ<6753>は2円高、フォスター電機<6794>は81円安と、アップル決算は織り込み済みだったようで反応はまちまちで、「アップルショック」とまでは言えない。
日経平均終値は62.79円安の17290.49円、TOPIX終値は-7.39の1384.30。売買高は20億株、売買代金は2兆2630億円。値上がり銘柄数は840、値下がり銘柄数は978。プラスは12業種で、その上位は水産・農林、鉱業、食料品、ガラス・土石、石油・石炭、ゴム製品など。マイナスは21業種で、その下位は陸運、電気機器、鉄鋼、空運、医薬品、輸送用機器など。上海総合指数は終盤マイナスになり0.37%安だった。
28日の日経平均は正午すぎから地獄へ逆落としで4日続落。FOMCの結果は金融政策現状維持で利上げはなし。昨年12月の利上げ以来、利上げを3回見送った。採決は9対1で、カンザスシティー連銀のジョージ総裁が利上げを主張して反対した。最タカ派としてその名前を覚えておくべき人物。声明文では景気判断を「アメリカ経済の拡大のペースは減速」と下方修正するなどハト派色が濃いが、これから先の利上げの見通しへの言及がなく、「年2回、次回は6月」というシナリオは依然有力というのが専門家の分析。結果発表後、アメリカの長期金利(10年物国債利回り)は低下。為替レートは乱高下した後、「それでも6月利上げの可能性はある」とみて上昇。ヨーロッパ市場は揃って小幅高だった。
ボーイングの決算は増収減益でEPSは市場予測を下回った。アップルの悪い決算が影響して午前中は安かったNYダウは、FOMCの結果発表で乱高下した後、プラスに乗せて51ドル高で終えた。ハイテクセクターの決算がふるわずNASDAQは5日続落、S&P500はプラス。原油先物価格は1.29ドル上昇して昨年11月5日以来の45ドル台。NYの取引終了後発表のフェイスブックの決算は、売上高は過去最高、純利益は約3倍、EPSは市場予測を上回る好業績。朝方の為替レートはドル円が111円台半ば、ユーロ円が126円台前半。CME先物清算値は17495円だった。
前日、九州新幹線は博多~鹿児島中央間全線で運転を再開。GWに間に合った。月末の金曜日の取引時間前恒例の政府発表の経済指標ラッシュは、今月は29日の金曜日が「昭和の日」で祝日なので1日繰り上がり、木曜日のこの日になった。
3月の有効求人倍率は1.30倍で0.02ポイント改善した。市場予測よりも0.02ポイント良い。24年ぶりの高水準で東京都は1.95倍で1974年7月以来の高さ。しかし先行指標の新規求人倍率は0.02ポイント低下し2ヵ月連続の悪化。有効求人倍率の改善も求職数の低下幅が求人数の低下幅を上回ったおかげで、必ずしも雇用の質が伴ってはいない。労働力調査の完全失業率は3.2%で2月から0.1ポイント低下し、2月の足踏みから改善。市場予測を0.1ポイント上回った。
3月の家計調査の二人以上世帯の実質消費支出は5.3%減で2ヵ月ぶりのマイナス。市場予測を0.9ポイント下回った。勤労者世帯の1世帯あたり消費支出は4.9%減で、消費者の財布のヒモは相変わらず堅い。
消費者物価指数(CPI)は、3月全国は前年同月比0.3%下落と5ヵ月ぶりのマイナスで、市場予測より0.1ポイント下振れした。2015年度は前年度比横ばい。4月の東京都区部CPIは0.3%下落だった。
3月の商業動態統計の小売業販売額は前年同月比1.1%減。大型小売店(百貨店、スーパー合計)は0.2%減、コンビニエンスストアは3.5%増。既存店ベースでは百貨店は2.8%減、スーパーは0.3%減だった。
3月の鉱工業生産指数速報値はプラス3.6%の96.6で2ヵ月ぶりのプラス。市場予測を0.7ポイント上回った。経済産業省は生産の基調判断を「一進一退で推移している」に据え置いた。4月の予測指数は2.6%増だが熊本地震の影響は加味されていない。