アメリカの財務省が主要貿易相手に対して貿易黒字額、経常黒字額に加えて為替介入の方向性と規模を調査し、2項目で基準を上回った国や地域を監視対象としている。
為替介入とは一般に、通貨当局が外国為替市場相場に影響を与えることを目的に外国為替を売買することを指す。正式名称は外国為替近郊操作という。日本では財務大臣が円相場の安定を実現するために用いられており、同大臣の指示で日本銀行によって金融機関やブローカーに対して行われている。
日本では現在、貿易黒字、経常黒字が基準を超えたが、為替介入は4年間に渡って行われていないとした。理由として、日本ではドル高による恩恵が大きいことが考えられる。
ドル安で得られるデメリットとして、負担を強いられてきていたのは新興国とされている。今までは、ドル高によりコモディティ価格とよばれる価格の大衆化が行われ、経済悪化が懸念されてきた。これを払拭する手段として、ドル安が、一番迅速に対応が可能とされている。ドル建てで取引されるコモディティ価格が反発することで国家収入増加が見込まれ、市場が安定するという仕組みだ。
つまり、ドル安になるとこのコモディティ価格の負担を引き受ける役目が必要となってくる。そのうちの一つが日本である。
急激な円高に関して、麻生財務大臣は「明らかに一方的に偏った、いわゆる投機的な動きがみられる。極めて憂慮する」と述べている。一方で、3日のニューヨーク市場の円相場は106円台で推移しており、105円台まで急速に進んでいた円高は落ち着きを見せている。
麻生財務大臣は投機的に円高が行われることがあれば、政府が円を買い取ってドルを売るという形の為替介入を行うとしている。その上で「国際合意に沿っている」という考えを繰り返した。この処置がG20の合意に沿っているということで、アメリカが日本を為替対策の監視対象にしたことは無関係だとしている。また、これからも為替市場の動向を注視していく意向を示した。
対してアメリカは日本を監視対象と指定すると同時に、ドル円相場は秩序的であるとして、日本による為替介入を容認しない考えを発表している。この点について麻生財務大臣は「日本が為替への対応を取れなくなるとか制限されるとかいうものではない」と述べ、アメリカの報告書によって為替介入を制限されるものではないという考えを主張している。(編集担当:久保田雄城)