フィルタリング利用率が上がらない背景

2016年05月19日 07:56

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有害サイトやアプリを制限する「フィルタリング」。内閣府が発表した2015年度の「青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、フィルタリングの利用率は携帯電話が64.7%、スマホは45.2%に止まっている。

 有害サイトやアプリを制限する「フィルタリング」。内閣府が発表した2015年度の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(3422人の青少年が対象)によると、フィルタリングの利用率は携帯電話が64.7%、スマホは45.2%に留まっている。

 フィルタリングを利用すると、違法・有害サイトを閲覧できないようにし、悪質・違法サイトへのアクセスによるトラブルの回避効果が期待できる。子ども達をインターネットのトラブルから守る有効な手段だ。

 携帯電話事業者は「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」で、18歳未満の青少年が利用する携帯電話・スマホを契約する際、フィルタリングサービスを提供する義務がある(保護者からフィルタリングサービスを不要とする申し出がある場合はこの限りではない)。

 それにも関わらず、フィルタリング利用率が上がらないのには理由がある。先述の法律では、フィルタリングを義務づけているのは携帯電話ネットワークだけであり、Wi-Fiやアプリ経由のインターネット接続については野放し状態だ。事業者によってはWi-Fiやアプリの利用制限ができるフィルタリングソフトを提供しており、企業が公開しているフィルタリングソフトもあるが、フィルタリングの利用率を見る限り、あえてフィルタリングを利用していない人が多いと推測できる。

 実際に、TwitterやインスタグラムなどのSNSが使えないとの理由で、フィルタリングを解除してしまうケースがあるという。だが、フィルタリングソフトには個別に制限するカスタマイズ機能があるため、フィルタリング自体を解除しなくてもTwitterなどを利用できるようにすることは可能だ。親のITリテラシーの低さも問題である。

 フィルタリングには、子どもにとって安全で有益と思われる基準を満たしたサイトのみアクセスできる「ホワイトリスト方式」と、原則すべてのサイトにアクセスできるが出会い系など子どもにとって有害な特定サイトへのアクセスだけを制限する「ブラックリスト方式」がある。子どもの成長に合わせて適切な方法を選択することが大切だ。(編集担当:久保田雄城)