【今週の振り返り】世界をゆるがした英国の国民投票の悲劇的結末

2016年06月25日 20:14

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映画「ブレクジット」のクライマックス。ヒロインの衝撃的な死でストーリー急展開。最後までハラハラ、ドキドキさせた結末は、悲劇的結末「カタストロフィ」だった

 前日のソフトバンクGの株主総会で孫正義CEOは「妙な欲が出た」と社長続投を表明。日経平均は32円高の16098円で始まった。しかしTOPIXはマイナスでスタートし前日終値をはさんで乱高下。日経平均は9時3分のマイナス圏の16057円で底を打ち、プラスに戻って上値追い。9時台に16100円を超えて16162円まで上昇。為替の円安進行の支援を受けていた。その後は10時台前半まで16110~16150円のレンジで動く。上海市場は小幅マイナスで始まり、日経平均は10時台後半に16100円付近まで下げるが、為替のドル円が104円台後半で安定しているため大崩れしない。11時台になると16120円を超えて上昇が続き、前引けは77円高の16143円だった。

 上海市場はマイナス圏で下げ幅を拡大して午前中の取引を終了。後場の日経平均は前引けよりも安く再開するが、先物主導で上昇、上昇、また上昇。ドル円は104円台後半で安定していたが、昼休みに20年国債の入札が順調だったことで安心感が出た。0時台のうちに16160円を超えて高値更新。1時台も高値追いが続き、1時38分に16199円まで上がって少し折り返す。2時に4月の景気動向指数改定値が発表された。一致指数は+1.8ポイントの112.0で、速報値から0.2ポイント下方修正。先行指数は+0.9ポイントの100.0。景気の基調判断は「足踏みを示している」で据え置き。

 上海市場はマイナス圏のまま再開。2時台前半は16200円手前で小動きしていたが、2時台後半に動き出し高値追い。英国の大手ブックメーカー、ウィリアム・ヒルが直前オッズを発表し、残留1.3倍、離脱4.0倍で残留派が断然優勢。為替のドル円も円安に少し振れて後押しし、日経平均は2時47分に16263円の高値を取る。TOPIXは1300の大台を回復。上海市場も下げ幅圧縮。終盤は利益確定売りが入ったようで少し下げ、終値172円高の16238円でEU離脱の是非を問う英国の国民投票直前の取引を終えた。ロンドンの天気予報は雨。午後3時から投票が始まった。

 新規IPOが1件。バーチャレクス・コンサルティング<6193>が東証マザーズに新規上場。CRM(顧客関係管理)プロセスの導入・構築にかかわるコンサルティング、システムソリューションの提供、コールセンターの運営受託業務などを行う。公開価格1090円より13.3%高い1235円の初値がついた。今週の4件は全て白星で今月8連勝。6月はコーヒーショップのコメダ<3543>など残りがまだ4件ある。

 日経平均終値は172.63円高の16238.35円、TOPIX終値は+14.10の1298.71。売買高は16億株、売買代金は1兆5701億円で「嵐の前の静けさ」? 値上がり銘柄数は1285、値下がり銘柄数は556。プラスは30業種で、その上位は鉄鋼、海運、鉱業、輸送用機器、銀行、証券など。マイナスは食料品、医薬品、水産・農林の3業種。上海総合指数は最後までプラスになれず0.46%安だった。

 24日の日経平均は4ケタの大暴落。東京市場は世界に先駆けた爆安。23日のロンドンの天気は雨が降ったりやんだり。「雨なら離脱派有利」と言われたが日本時間午前6時で英国の国民投票の投票が全て終了。その前に終わったヨーロッパ市場は英独仏揃って5日続伸。NYダウは230ドル高で18000ドル台回復。NASDAQもS&P500も大幅プラス。債券が売られ長期金利上昇、金先物価格は5日続落とリスクオン鮮明。投票終了前の為替レートはドル円106円台、ユーロ円120円台に円安進行。CME先物清算値は16495円だった。勝負はゲタをはくまでわからないのに、なんとも気が早い。ヘッジファンドは独自の情報網で「残留派勝利」を確信したのか?

 アメリカの経済指標は、4月がひどかった製造業PMI速報値は+0.7ポイントの51.4で市場予測を上回り、新規失業保険申請件数は-1.8万件の25.9万件と大幅改善。しかしCB景気先行指標総合指数は0.2%低下で、新築住宅販売件数は前月比-6%で販売価格も低下と、まちまち。ナイジェリアでまた石油施設を襲撃するテロが起き、原油先物価格は上昇して2週間ぶりに50ドル台を回復した。

 投票が終わった6時すぎに英国スカイニュースが出口調査に近い追跡調査の結果を公表し、52%対48%で残留派リード。それに反応して為替の英国ポンド、ユーロ、ドルが一斉に買われ上昇。朝方の為替レートはドル円が106円台後半、ユーロ円が121円台後半。マーケットで結果の織り込みが進んだが、その後、地区ごとの開票結果が入るたびに乱高下し、ドル円は一時102円台になっていた。

 新聞各社の参議院選挙の事前世論調査の結果が早くも出て、どれも与党圧勝で非改選議席を含めて3分の2に迫る勢い。取引開始前に日銀から発表された5月の企業向けサービス価格指数は103.0で前月比横ばい、前年同月比0.2%上昇。15~16日の日銀金融政策決定会合の主な意見では、マイナス金利政策の効果について「実体経済面に徐々に波及している」という認識を共有していた。

 日経平均は95円高の16333円で始まる。TOPIXは1300台に乗せてスタート。9時7分に16389円まで上昇した後、9時34分に16267円まで下落するが、プラス圏維持。だんだん16300円前後の水準に収れんする。シャープ<6753>は前日の株主総会で鴻海(ホンハイ)傘下入り正式承認。8月1日付の東証2部降格も本決まりで株価は下げて始まる。工場があるサンダーランドでは離脱派が6割を超えて優勢という開票結果が入り、日産<7201>は一時マイナスになった。