【今週の振り返り】英国発のショックから回復し730円上昇した週

2016年07月02日 20:06

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ショックで緊急入院した世界のマーケット。手術はせず、集中治療室に入るまでもなく、急回復でピンチを脱したように見える。だがそれは「持病化」しただけのこと。

 6月27日の日経平均は大幅反発。英国国民が国民投票でEU離脱を選択した前週末24日のヨーロッパの株式市場は、英国FT100は一時-8.66%から終値-3.15%に、ドイツDAXは一時-10.0%から終値-6.82%に、フランスCACは一時-10.2%から終値-8.04%に、それぞれ下げ幅圧縮。ショックから時間が経過すれば冷静になる。

 しかしNYダウは7月利上げ観測が大幅に後退しても終値611ドル安、-3.39%の安値圏で終了し、NASDAQもS&P500も大幅マイナス。NY市場で債券が買われ長期金利は9.20%低下。商品市場は金先物が6日ぶりの反発で+4.69%。原油先物価格は急落し一時46ドル台まで下げ終値は47ドル台。リスクオフが進行しシカゴVIX指数(恐怖指数)も+8.51の25.76に急騰。経済指標は、耐久財受注は前月比-2.2%で4ヵ月ぶりの減少だが市場予測は上回った。ミシガン大学消費者態度指数確報値は93.5で前月確報値も市場予測も下回る。CME先物清算値は15120円。

 24日の海外の対円為替レートも、英国ポンドは133円台から140円台近辺、ユーロは109円台から113円台後半、ドルは99円台から102円台前半へ、それぞれ円安方向に戻していた。26日投票のスペイン総選挙の開票結果は、政権与党の中道右派の国民党が過半数には届かないが第1党を守り、中道左派の社会労働党が第2党。政策でEUを対立する急進左派のポデモスは第3党、議席数横ばいにとどまった。英国発の世界のマーケットの大混乱を見てスペイン国民は怖くなった? 27日朝方の為替レートはドル円が102円台前半、ユーロ円が112円台後半、英国ポンドが137円台前半だった。

 午前8時から首相官邸で政府と日銀の緊急会合。安倍首相は「あらゆるリスクの芽を摘む」と述べたが、そんなことが簡単にできたら苦労しない。日経平均は201円高の15153円で始まる。TOPIXも反発。始値を「寄り安」に上昇し序盤10分間で15200円突破。24日の売られすぎの買い戻し。しかし緊急会合は終了後、麻生財務大臣は「対応は成功している」、中曽日銀副総裁は「市場動向をよく見ていく」と述べただけ。様子を見ていた先物主導の売り出動で9時20分に15061円まで売られるのが東京市場。それでも15000円割れにならず底堅い。9時台のうちに15200円を回復した。10時台は15200円を軸にプラスもマイナスも約30円の幅でもみあい。10時30分に発表された1~5月の中国工業企業利益は+6.4%、5月+3.7%で4月実績から0.5ポイント低下した。中国人民銀行が人民元レートを約5年半ぶりの安値とし、マイナスで始まった上海市場はすぐプラスに転換し上げ幅拡大。為替のドル円が102円台前半から101円台半ばまでストンと円高進行し日経平均は少し下げるが、すぐ15200円近辺に戻る。上海はさらに高値追い。前引けは207円高の15159円だった。

 上海市場はプラス圏で午前の取引を終了。野村證券が日経平均の2016年末の見通しを15250~17250円に引き下げた。ドル円レートが円安方向に戻し、後場の日経平均は再開直後から高値追い。15200円台に乗せて15250円もたびたび超え、1時20分に15269円の高値をつける。ドル円が円高に振れて1時台後半に15200円を割るが一時的。2時に5月の外食売上高が発表され、全店ベースで+0.6%。客単価は+0.9%、客数は-0.3%。ファーストフードが好調で6ヵ月連続のプラスだが、ファミレスは不振。再開した上海はプラス圏で高値追いし上げ幅が1%を超える。2時台の日経平均も高値追いし2時31分に15309円まで上がるが、その後は15300円付近の小動きが続く。為替は動かないが終盤2時59分に15323円まで上がり、終値は357円高の15309円と反発した。しかし24日の半値戻しどころか3割も戻せない。円安が進行し日経平均先物日中取引は高値引け。

 新規IPOが1件。キャリア<6198>が東証マザーズに新規上場。シニア人材の活用コンサルティング、派遣、紹介や、介護施設等への看護師や介護士の派遣、紹介など高齢化社会型人材サービスを行う。公開価格1950円の1.98倍の3870円の初値がついた。

 日経平均終値は357.19円高の15309.21円、TOPIX終値は+21.28の1225.76。売買高は22億株、売買代金は2兆3094億円で「20億株、2兆円」を超えるいつも通りの商いが戻ってきた。値上がり銘柄数は1570、値下がり銘柄数は335。プラスは22業種で、その上位はパルプ・紙、陸運、医薬品、食料品、情報・通信、水産・農林など。マイナスは11業種で、その下位は証券、鉱業、輸送用機器、鉄鋼、銀行、その他金融など。上海総合指数は1.45%高だった。

 28日の日経平均は小幅続伸。S&Pは英国債の格付けをAAAからAAに2段階格下げし、英国ポンドは対ドルでサッチャー政権以来30年ぶりの安値。あの時は通貨安が英国経済を好転させ、失業率を低下させた、が。ドイツ、フランス、イタリアの首脳が共同記者会見し、「英国から正式な通告があるまで非公式の事前協議はない」と表明。EU離脱ドミノを阻むため、あえて心を鬼にする。週明けのヨーロッパ市場は揃って3ケタ安。NYダウも下落幅が一時300ドルを超え終値は260ドル安。NASDAQもS&P500も大幅マイナス。原油先物価格は46ドル台に低下。リスクオフで金先物価格は大幅続伸。欧米市場では金融関連銘柄が大幅安で、ジョージ・ソロス氏は「影響は金融危機に匹敵する」と発言したが、アメリカのルー財務長官は「金融危機の兆候はない」。リーマンショックと違って英国の政治マターなので影響を測りかねている。朝方の為替レートはドル円が101円台後半、ユーロ円が112円台前半と円高進行。CME先物清算値は15160円だった。

 日経平均は214円安の15094円で始まる。9時15分に15120円まで上昇するが、序盤は15000~15100円のレンジで静かな値動き。TOPIXも1200の大台をキープする。しかし10時台に入ると10時9分に日経平均が14987円、TOPIXが1198まで下げ、大台割れ。それでアクが抜けたのか急上昇し、10時台前半のうちに15200円台乗せ。上海市場はマイナスで始まるが下げ幅圧縮。為替のドル円が101円台半ばから急速に102円を超える円安進行をみせ、日経平均も上値追いが止まらず10時台後半に15300円を超えプラスにタッチした。英国ポンドが急速に買い戻され、それに経済財政諮問会議の安倍首相の発言が重なり先物主導で買われる。高値は10時52分の25円高の15334円。TOPIXもプラスにタッチ。しかし日経平均もTOPIXもプラスに定着できず、円安進行が止まると下落。上海はプラスに接近してもタッチしなかった。11時台は15200円台半ばから後半の小幅マイナス圏で推移し、前引けは50円安の15259円だった。TOPIXもマイナス。

 上海市場はマイナスのまま終了。昼休み中も為替は102円台を維持し、後場の日経平均はプラスに転換して始まる。0時41分に134円高の15443円まで上がり、その後はプラス圏を維持し、おおむね15300円台後半の小幅高の水準で安定する。24日に4ケタ安を喫して下げ余地が小さいので、先物主導で売り崩されることがない。上海市場は前日終値に接近して再開しプラスに浮上。2時台の日経平均は、マイナスには落ちないが15400円を超えて上昇できず100円以内のレンジにおさまる値動きが延々続く。終盤はそのレンジで水準を下げ、日経平均終値は13円高の15323円だったが、TOPIXはプラスを守りきれずマイナスになって終えた。

 新規IPOが1件。福岡市のベガコーポレーション<3542>が東証マザーズに新規上場。家具、インテリアなどのネット通販、越境グローバルEC サイトの運営を行う。公開価格1600円より25.0%高い2000円の初値がついた。これで6月のIPOは10連勝。

 日経平均終値は13.93円高の15323.14円、TOPIX終値は-1.14の1224.62。売買高は24億株、売買代金は2兆3571億円。値上がり銘柄数は1000、値下がり銘柄数は835。プラスは14業種で、その上位は建設、倉庫、食料品、小売、医薬品、陸運など。マイナスは19業種で、その下位は輸送用機器、ゴム製品、保険、証券、その他金融、石油・石炭など。上海総合指数は終盤プラス幅を拡大し0.58%高だった。