上海市場は再びマイナスに沈んで午前中の取引を終えるが、日経平均は後場、15700円台を回復し再開。しかしヤモリのように15700円付近にピッタリ張りついたまま動かずに時間が過ぎていく。正午に発表された5月の建設機械出荷額は-12%で10ヵ月連続の前年実績割れ。輸出は中国など新興国が低迷し-13%。国内向けは-11%で2ヵ月連続の前年実績割れ。1時に発表された5月の自動車生産実績は、生産台数+1.7%で2ヵ月ぶりに増加。軽は-24.0%、普通乗用車は+8.0%、小型乗用車は+12.6%で、「軽離れ」が鮮明。1時台後半にはヤモリは地面のほうにはっていき、15600円台半ばまで下落する。
2時に5月の住宅着工戸数が発表され、前年同月比+9.8%で5ヵ月連続増加。市場予測を大きく上回る好調さ。貸家が+15.0%と2ケタの伸び。トヨタ系の不動産調査会社タスのレポートでは東京23区の空室率が33.68%と過去最悪で、神奈川県、千葉県はもっとひどいというデータがあり、借り手が減って賃料相場は下がっている。それでもあえて建てるのは相続税対策か? 銀行が融資先開拓に必死なのか? それとも「民泊」狙いか? マイナスのまま再開した上海市場は上昇してプラスに乗せる。しかし日経平均は逆で15600円台前半まで下落。6月30日なので半期末の区切りの日だが、決算をお化粧するドレッシング買いの気配なし。そのまま終われるかと思いきや、終盤は大引けまでどんどん下落していき、終値は9円高の15575円でかろうじてプラスに踏みとどまる。TOPIXはマイナスになり反落。同じくマイナスのJPX日経400ともども3指数安値引けで、日経平均は薄氷の4日続伸だった。為替のドル円はむしろ円安方向で、6月末のインデックスの銘柄入れ替えが大きく影響した模様。
日経平均終値は9.09円高の15575.92円、TOPIX終値は-1.87の1245.82。売買高は21億株、売買代金は2兆2611億円。値上がり銘柄数861より値下がり銘柄数968のほうが多い。プラスは13業種で、上位は鉱業、石油・石炭、証券、ゴム製品、倉庫、機械など。マイナスは20業種で、下位は繊維、水産・農林、医薬品、パルプ・紙、空運、金属製品など。上海総合指数は終盤マイナス圏に落ちたが、0.06%の小幅マイナスで終えた。
これで6月の取引が終了。5月31日の終値17234.98円から1659.06円も下落して今月の取引を終えた。6月はアメリカ雇用統計の予想外の悪さもあったが、それよりも23日の英国の国民投票が全てを変えた。月間騰落は2月以来、プラスとマイナスで月替わり。
7月1日の日経平均は5日続伸。ドイツの失業率は6.1%だが失業者数は6000人減少。ユーロ圏の消費者物価指数速報値は+0.1%でプラスを回復し市場予測を上回った。イングランド銀行(BOE)のカーニー総裁は夏に金融緩和を行うことを示唆し、英国ポンドは急落、FTSE100は年初来高値を更新した。何とも英国風な皮肉な話。ドイツもフランスも揃って3日続伸。EU離脱派のリーダー、ジョンソン氏は本命視されていた保守党党首選の不出馬を決め、事態は混迷。6月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は前月比+7.5の56.8で市場予測を上回った。大手銀行のストレステストでアメリカの銀行はほとんどが合格し金融セクターが買われる。ドイツ銀行やスペインのサンタンデールは不合格で、IMFはドイツ銀行のリスクが世界の巨大銀行で最も高いと指摘した。原油先物価格は3日ぶりに反落し48ドル台だったが、NYダウは終盤まで上昇が続き235ドル高で3日続伸。18000ドルまであと71ドル。アメリカの長期金利は低下、金先物価格は反落。朝方の為替レートはドル円が103円台前半、ユーロ円が114円台後半で円安がさらに進行。CME先物清算値は15740円だった。
月末の金曜日恒例の政府発表の経済指標ラッシュは、今月は月初の金曜日。消費者物価指数(CPI)は5月全国が-0.4%。3ヵ月連続のマイナスで市場予測と同じ。6月東京都区部が-0.5%で6ヵ月連続のマイナス。5月の家計調査の二人以上世帯実質消費支出は-1.1%で3ヵ月連続のマイナスだが、市場予測の-1.4%より良かった。消費の基調判断は「弱い動きがみられる」で据え置き。5月の有効求人倍率は1.36倍で4月から改善し24年7ヵ月ぶりの水準。その1991年の流行語は「若貴(兄弟)」「僕は死にましぇ~ん(武田鉄矢さん)」「じゃあ~りませんか(チャーリー浜さん)」など。5月の完全失業率は3.2%で4月と同じ。市場予測とも一致した。6月調査の日銀短観は、大企業製造業の業況判断DIが+6で3月調査と同じ。設備投資は+6.2%で悪くなかった。大企業非製造業は+19だが3月調査から6ポイント悪化。中小企業は製造業が-5、非製造業はプラスマイナス0で、どちらも悪化。3ヵ月後の予測は大企業製造業が+6で横ばい。
日経平均は122円高の15698円で始まる。TOPIXもプラス。序盤は15700円台に乗せて9時8分に15738円まで上昇するが、為替がドルもユーロも対円で下落するので長続きしない。15600円台後半で推移するが、それでも前日比で100円以上高い。10時に中国国家統計局から6月のPMIが発表された。製造業PMIは50.0で前月比で0.1ポイント悪化。市場予測と一致。非製造業PMIは53.7で前月比0.6ポイント改善。10時45分に発表された財新の6月の中国製造業PMIは48.6で前月比0.6ポイント悪化。市場予測より悪く、50を16ヵ月連続で下回った。しかし上海市場はプラスで始まり、小幅高の水準を維持。ドル円の円高進行が103円前後の水準で止まると日経平均は10時33分に15765円まで上昇するが、10時台後半には100円ほど押し返される。相変わらず上値が重い。11時台は15600円台後半で動きが小さくなり、前引けは103円高の15679円だった。