【今週の振り返り】トランプ氏が大統領に当選し469円上昇した週

2016年11月12日 20:28

0205_015

投票日2日前、FBIはクリントン候補の捜査をやめたが、当選したのはトランプ候補。開票日は919円安、その翌日は1092円高。今週の東京株式市場は地獄も、天国も見た。

 日経平均始値は182円高の17526円。高値は9時39分の17621円。安値は2時51分の17333円。終値は30円高の17374円。取引時間前に日銀が10月の企業物価指数を発表し-2.7%で市場予測の-2.6%より悪かった。「マイナーSQ(オプションSQ)」の日の日経平均は朝方のドル円レートの107円接近を受けて17500円の節目を突破して始まるが、序盤は一時17500円割れ。算出されたSQ推定値は17596.78円で、その時点で約100円も上にあった。ザラ場中にそこまでたどり着けず悪いほうのパターンの「まぼろしのSQ」になるかとも思われたが、算出後に一気に上昇してSQ値を突破し「まぼろし」を消して17600円台に乗せ、4月25日以来のザラ場高値。TOPIXは1400の大台に急接近すた。これがトランプ・タワーならぬ「トランプ・パワー」か?

 10時台は、中国人民銀行が人民元の基準値を6年2ヵ月ぶりの元安水準で設定しても少し前のように変に騒がず17500円台をキープするが、為替のドル円が106円台を保ちながらも円高方向に振れると11時台には17500円を割り、さらに17400円を割り込んだところでプラス圏を維持しての前引け。

 ドル円が106円台半ばまで戻り、後場の日経平均は17400円台半ばで再開。1時台に一度マイナスにタッチ。17400円台に戻しても長続きしない。1時30分に9月の第三次産業活動指数が発表され、前月比-0.1%で4ヵ月ぶりの低下。基調判断は「一進一退」で据え置き。2時台も17400円台に乗せたかと思えば終盤再びマイナスにタッチ。TOPIXもマイナスになる。為替のドル円は106円台半ばで安定していたが、1092円の4ケタ高の翌日で、しかも利益確定売りの金曜日。プラスで終われるかどうか最後までわからなかったが、最後の一押しでTOPIXとともに小幅高で終了した。結果として「まぼろしのSQ」を消しただけの一日だった。

 日経平均終値は30.37円高の17374.79円、TOPIX終値は+1.93の1378.28。売買高は33億株、売買代金は3兆6150億円で、これがふつうのSQ日。10月は異常。値上がり銘柄数784よりも値下がり銘柄数1115のほうが多い。プラスは18業種で、その上位は保険、銀行、非鉄金属、証券、海運、鉄鋼など。マイナスは15業種で、その下位は情報・通信、水産・農林、食料品、小売、電気・ガス、繊維など。中国のネット通販業界の大イベント「独身の日」の上海総合指数は、人民元安を克服して0.78%高。アリババはこの日だけで過去最高の約1.9兆円を売り上げた。

 今週の星取は3勝2敗。前週末4日の終値16905.36円から469.43円上昇して今週の取引を終えた。前週の541円安を全部は取り返せなかったが、17000円台に復帰した。

 アメリカは来年1月20日、8年間続いた民主党政権から共和党政権(実態はトランプ・共和党連立政権?)に変わる。トランプ次期大統領のスタンスは「反グローバル経済」「反ウォール街」のはずだが、選挙が終わってみればNYダウは連日上昇し新政権歓迎ムード。100円割れ予想が支配的だった為替のドル円は逆に106円突破の円安進行。日経平均が17000円を割ったのはまだ開票の途中で勝利宣言が出ないまま取引が終了した9日だけだった。マーケットは切り換えが早いというか、変わり身が早いというか。「君子は豹変す、小人は面を革む」(「易経」革卦篇)ということか?(編集担当:寺尾淳)