ボリンジャーバンドでは、25日終値18381円は25日線+1σの17963円の418円上にあり、+2σの18429円の48円下にある。25日の前場にはその+2σを超え、終値ベースの今年の最高値18450円(1月4日の大発会)をオーバーしていた。そこまでいけば相当な「買われすぎ」で、下向きの圧力は強くなる。いくら「トランプ・ラリー特急」でも、+2σはなかなか超えにくいリミッターらしい。
オシレーター系指標は、毎回代表的な7種類の指標を紹介しているが、なんと7つとも「買われすぎ」シグナルが点灯するパーフェクト達成。25日騰落レシオは133.7で買われすぎ基準の130をオーバー。25日移動平均乖離率は+4.8%で買われすぎ基準の+4%をオーバー(+5%説なら買われすぎを外れるが)。RSI(相対力指数)は72.1で買われすぎ基準の70をオーバー。RCI(順位相関指数)は+99.3で買われすぎ基準の+50をオーバー。サイコロジカルラインは10勝2敗で83.3%になり買われすぎ基準の75%をオーバー。ストキャスティクス(9日・Fast/%D)は95.6で買われすぎ基準の70をオーバー。ボリュームレシオは77.2で買われすぎ基準の70をオーバー。サル年の2016年はめったにないことがよく起きる。
11月18日時点の需給データは、信用買い残は11日時点から132億円増の2兆580億円で2週ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)は2.71倍から2.37倍へ2週連続の減少。信用評価損益率は-11.30から-8.20へ2週連続の改善。裁定買い残は2799億円増の1兆3076億円で、2週連続で増加した。
11月14日~18日の投資主体別株式売買動向は、外国人は4903億円の2週連続の買い越し、個人は4452億円の2週連続の売り越し、信託銀行は761億円の4週連続の売り越し。これは週間騰落592円高の前々週のデータだが、前週も413円高のリスクオンだったので売買動向の大勢に変化はないだろう。
前週4日間のカラ売り比率は、21日が37.3%、22日が35.9%、24日が35.0%、25日が38.9%。アブノーマルな40%から離れてノーマライズした。2016年は東京の11月の雪も含めてアブノーマルなことがよく起こる年だが……。マーケットのリスクオン/オフを示す日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)は、25日終値は19.97で18日の終値19.51から0.46ポイント上昇したが、前週は20を一度も超えなかった。
25日のアメリカの債券、為替、株式、商品市場は「ブラックフライデー」の短縮取引だった。NYダウ終値は68ドル高で4日連続史上最高値更新。卸売在庫も貿易収支も市場予測より悪くNY時間にドルが売られてドル円レートが一時112円台半ばになったが、その後113円近辺まで戻った。ユーロ円は一時120円にタッチして119円台後半。大阪先物夜間取引終値は18360円、CME先物清算値は18385円だった。
日米ともドルや株価が極端な「買われすぎ」状態なのは、誰でも承知している。しかし前週まではドルも株価も、利益確定売りされても短時間で元に戻った。必ず来るはずの「ボロボロ売られてトランプ・ラリー終了」は、全然来なかった。そのおかげで「オオカミ少年」の汚名を着る人が大量に発生した。
今週は、感謝祭商戦の結果が出たり、OPEC定例総会で減産合意がならず原油先物価格が急落したりしてNYダウが大幅安になる恐れがあること、アメリカの雇用統計待ちの様子見が出ること、日米中の経済統計が数多く発表されることなどから、ドル、NYダウが下落して日米連動で日経平均も下落し、「トランプ・ラリー特急」がついに停車するリスクは前週より高くなる。トランプ次期大統領を筆頭に要人発言にも引き続き要警戒だ。
高値追いの反動で売りに押されるパターンは、25日の後場にもミニサイズで現れていた。過去には、月が変わることが変化のきっかけになったこともある。いったん下落すると「山高ければ、谷深し」で、下方にオーバーシュートすることを考えておかねばならない。それに狼狽するようでは大人げない。
21日や22日のように18000円手前で止まることは、今週はないだろう。下値のメドとしては25日移動平均(25日時点で17497円)まで900円近くも下がるのはちょっと大きすぎるが、11月SQ値の17596円までの800円程度の下落はあるとみる。一方、上値は前週に到達した18400円台が限界になりそうだ。それ以上を望みたければ、たとえば安倍首相が所得税を減税すると言って解散・総選挙をほのめかすような、まさかのサプライズぐらいしかないだろう。
ということで、今週の日経平均終値の予想変動レンジは17600~18400円とみる。なかなか終わらないトランプ・ラリーについて、「これはパラダイム・シフトだ」と言う人まで現れているが、大げさすぎる。トランプ氏の大統領当選ごときでその言葉を使うのは、パラダイム・シフトに失礼だ。(編集担当:寺尾淳)