【今週の展望】FOMCとロシアの週にトランプ・ラリー終了?

2016年12月11日 20:11

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東京市場の今週最大のリスクは、FOMCよりもプーチン大統領の胸の内。「家出」したロシアの文豪のように、トランプ・ラリー特急、停車場に死す?

 13~14日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開かれ、14日にイエレンFRB議長が記者会見を行って来年の景気見通しを発表する。政策金利引き上げはマーケットではほぼ確定的、織り込み済みで、もしも利上げを見送る結果が出たら教科書的な「金利据え置き=株高」の図式は当てはまらず、想定外のサプライズでNYダウの急落要因になる。マーケットというものは「芋づる式に次から次へと」「全部でいくらか、わからない」とともに「区切りがつかず結論はズルズル引き延ばし」を嫌がり、リスクオフする。リーマンショックやギリシャの債務問題が、そうだった。

 15日にはアメリカの12月のNY連銀製造業景気指数、7~9月期の経常収支、11月の消費者物価指数(CPI)、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、NAHB住宅市場指数、16日にはユーロ圏の10月の貿易収支、消費者物価指数(CPI)、アメリカの11月の住宅着工件数、建設許可件数が、それぞれ発表される。

 FOMCに続いて15日にイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、政策金利が発表される。同じ日にアメリカのトランプ次期大統領が記者会見を行うが、「アメリカはあまりにも近い」悲劇で11月9日に国内の株価が暴落したメキシコや、国会で弾劾訴追案が可決された朴大統領の職務停止中で政界大混乱の韓国、スイス、ノルウェーでも政策金利が発表される。15~16日にブリュッセルでEU首脳会議が開かれる。焦点は英国のEU離脱やイタリアの問題。

 アメリカの主要企業の決算発表は、15日にアドビ・システムズ、カーニバル・コーポレーション、オラクルが発表する予定。

 前週末9日の終値は18996.37円だった。そのテクニカル・ポジションを確認すると、移動平均は、5日移動平均は18578円で418円下、25日移動平均は17961円で1035円下、75日移動平均は17229円で1767円下、200日移動平均は16739円で2257円下。4本とも上向きなのだが、日経平均の現値がそのペースをはるかに上回るハイペースで上昇したため、差は開くばかり。

 日足一目均衡表の「雲」は、9日時点で16879~17078円に位置する。その上限から9日の終値まで1918円も離れ、今にも宇宙空間に飛び出しそうな勢い。今週は12~14日の間は16879~17039円に雲が〃存在〃するが、日ロ首脳会談が行われる15日と16日は上限も下限も16792円。「雲の消滅」という珍しい現象が起き、その後、数値だけが上昇しながらクリスマス明けの26日まで雲は消えたままになる。「雲が雲隠れ」するのは大統領と一緒にロシアの大魔術団が来日するわけではなく、一目均衡表では条件が揃ったらごくまれに起きる現象だという。

 ボリンジャーバンドでは、9日終値18996円は25日移動平均+1σの18586円と+2σの19210円の間にあり、+1σは410円下、+2σは214円上。相対的には前々週末とそれほど変わらないポジションにある。上値は限定的でありながらも少しは上値追いの余地が残っている、というところ。

 オシレーター系指標は、いつも紹介している7つの指標のうち6つが「買われすぎ」のシグナルを点灯させ、「取りこぼし」は8勝4敗で66.7%のサイコロジカルラインだけだった。11月25日時点では7つの指標全部に「買われすぎ」シグナルが点灯し〃パーフェクト〃を達成したが、それに「準ずる成績」で、協会が審議委員会に諮問できるレベル。

 買われすぎ指標は次の通り。73.4で買われすぎ基準の70をオーバーするボリュームレシオ、84.3で買われすぎ基準の70をオーバーするストキャスティクス(9日・Fast/%D)、+57.3で買われすぎ基準の+50をオーバーするRCI(順位相関指数)、81.1で買われすぎ基準の70をオーバーするRSI(相対力指数)、+5.4%で買われすぎ基準の+4%も+5%もオーバーする25日移動平均乖離率、142.6で買われすぎ基準の130をオーバーする25日騰落レシオ。

 12月2日時点の需給データは、信用買い残は11月25日時点から428億円増の2兆828億円で2週ぶりの増加。信用倍率(貸借倍率)は2.18倍から2.23倍へ4週ぶりの増加。信用評価損益率は-8.19から-7.25へ4週連続の改善。裁定買い残は516億円減の1兆5042億円で4週ぶりに減少した。11月28日~12月2日の投資主体別株式売買動向は、リスクオン4週目なので外国人は4148億円の4週連続の買い越し、個人は3024億円の4週連続の売り越し、信託銀行は39億円の6週連続の売り越しだった。週間騰落は5週連続のプラスになったので、需給の状況は前週も変わっていないと思われる。