6月29日、エンジニア向けウェブマガジン『fabcross for エンジニア』は、「仕事やキャリアに関する価値観」についての調査結果を発表した。調査期間は今年5月19日~26日の間。入社3年目の若手社会人(事務系、その他一般職種と技術系職種から各150人)を対象に、実施されたものだ。結果は、世代間での価値観の変化を露わにしたものとなった。
注目すべきは、仕事の位置づけや取り組む姿勢に関する質問に対する回答だ。「仕事とは生活費を稼ぐためのもの」と回答した人が過半数を占めた。一般職種で59.3%、技術系職種で54%だ。「仕事とは自分の夢・目標を実現させるためのもの」と回答した数のおよそ2倍であり、仕事を生活の手段と看做している若者が多いことがわかる。以前であれば、仕事は夢や目標を達成するためのものと答える人たちが多かっただろう。しかし、現在では、職場を自己実現の場とは考えない若者が増えたとみることもできそうだ。
ただし、仕事に対する考え方は、職種によって異なっていた。「幅広い業種・職種で必要とされる汎用的な能力・スキルを磨きたい」と回答した人は、一般職種では44%と多数いたが、技術系職種では「他の人には真似できない専門的な能力・スキルを磨きたい」と答えた人が52%と多かった。同様に、前者は「やりがいはあるが大変な仕事よりも、単調でも楽な仕事の方がいい」と44%が回答。後者は「単調で楽な仕事よりも、やりがいはあるが大変な仕事の方がいい」と45.4%が回答した。ところが、「若いうちから大きな仕事を任されたい」と考える若手は、職種に関わらず回答率は低かったが、「大きな仕事を任されるのは経験を積んでからがいい」と答えたのは、一般職種で59.3%、技術系職種で53.3%。十分にキャリアを積んでから、大きな仕事にチャレンジしたいという若者が多かったのは、現実的というべきか。
また、人間関係や飲み会に対する意識の違いも興味深い。どの職種でも、「職場での人間関係は仕事上の関係と割り切って合理性優先がよい」と答えた人の数が、「仕事の枠を超えた付き合いがある感情優先がよい」とする人の数を上回った。また、飲み会に対する意識では、飲み会離れが叫ばれているものの、実際には飲み会には参加すべきと考える若者が多かったのも特筆すべき点だろう。その一方で、「上司・先輩から飲み会に誘われて、嫌々ながら参加したことがある」(38.6%)と回答しており、実情はそう単純ではないようだ。若手との付き合い方を考える、貴重な調査結果になったものと思われる。(編集担当:久保田雄城)