スマホやパソコンに搭載されているリチウムイオン電池の発火事故が年々増加傾向にある。事故が起こった商品の大半がリコール対象品、もしくは落下し外部からの衝撃を受けたものだ。ユーザーとしても事故の危険性を認識して注意して取り扱う必要がある。
リチウムイオンバッテリーはこれまでの電池と比較して高容量で軽いといった特徴からモバイル機器に搭載されている。しかし、近年リチウムイオン電池を使用した商品の事故が急増しているので注意が必要だ。
経産省所管の独立行政法人、製品評価技術基盤機構によるとノートパソコン、モバイルバッテリー、スマートフォンに搭載されたリチウムイオンバッテリーが原因の故障は、2012年度から16年度の4年間に274件発生。年度別に紹介すると12年度は19件、14年度は48件、16年度は108件と増加傾向にあるのが分かる。また被害状況を確認すると全体の7割程が火災などの拡大被害に至っていて、事故の原因としては製品の不具合が全体の78%となっている。
274件の事故のうち、34%が回収を行っているリコール対象製品で、回収・交換がきちんと行われていたら防ぐことが出来た事故が多いのだ。自分が所有している製品はリコール対象となっていないか確認してみよう。
さらに落とす・分解するといった使用者の誤った使用・不注意での発火事故も少なくない。携帯することが多い製品なので学校や病院といった不特定多数の人が集まる場所、さらには飛行機内、電車内での事故も発生し、場合によっては被害が拡大するリスクがあるので注意が必要だ。
事故の詳細と注意点をみてみよう。使っていたノートパソコンより発火し、製品とパソコン周辺が焼損したという事故が発生している。製造の際にバッテリーパックのセルに異物混入が原因で充放電を何度もする内にセルが内部ショートして過熱・火災したモノと推測されている。 メーカーは該当製品に関してリコールを届けていたが、使用者がリコール製品と知らないまま使用し続けたことで起こった事故だ。所有している製品を確認して対象商品なら使用中止し、製造事業者や販売店に連絡するようにしよう。
携帯のバッテリーを充電して睡眠を摂っていたら、製品とその周辺が焼損する火災も起きている。この事故はモバイルバッテリーに内蔵されたセルの製造時に不良が発生し内部ショートをしたのが原因と思われる。
寝ている最中に充電を行うと、事故が起きても発見が遅れる。さらに寝具の上で充電をすると寝具が被さり機器の熱が籠ってしまうので、睡眠中は充電しない、枕元や寝具の近くでは充電を行わず、燃えやすいモノがないか確認した上で充電をするようにしたい。
ズボンのポケット内でスマホが発熱し発煙、火傷に繋がる事故も起きている。ポケットにスマホを入れたまま転倒したことが原因で、スマホに外部より衝撃が加わって内部ショートし発熱、焼損したと予測される。リチウムイオンバッテリーは衝撃に弱く内部ショートにより発熱する場合があるので、リチウムイオンバッテリーを搭載している製品の落下や衝突は避ける必要がある。外部からの衝撃により変形した場合は製造店などに継続して使用しても問題ないかを相談しよう。
スマホやノートパソコンが普及するにつれてバッテリーの事故リスクも増大している。事故が起きにくい製品の開発が求められるが、ユーザーとしても「事故が起こる可能性がある」と認識した上で注意する必要がある。(編集担当:久保田雄城)