林文部科学大臣は加計疑惑払拭後に判断せよ

2017年11月11日 08:19

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林芳正文部科学大臣が10日の記者会見で、学校法人加計学園が運営する岡山理科大に獣医学部の設置を認める答申が大学設置・学校法人審議会(設置審)からあったとし「答申を尊重し、速やかに(認可の)判断をしたい」と語った

 林芳正文部科学大臣が10日の記者会見で、学校法人加計学園が運営する岡山理科大に獣医学部の設置を認める答申が大学設置・学校法人審議会(設置審)からあったとし「答申を尊重し、速やかに(認可の)判断をしたい」と語った。

 しかし、速やかに判断する前に「行政が歪められた」とする指摘に対する国家戦略特区段階での不透明さや加計学園ありきで動いたのではないかと疑惑を生んでいる官邸介入疑惑を、国会の場で払拭することこそ、文部科学大臣として、特別国会中に果たすべき重要な仕事だ。

 安倍晋三総理を議長とする国家戦略特区での加計学園獣医学部認可までの経緯の不透明さは全くクリアになっていないままだ。

 認可経緯での官邸からの働きかけがあったとされる「2018年4月開学」とおしりを切った文書。「総理の御意向」「官邸の最高レベルが言っている」との文書。文科省側にあって、内閣府にないという不可解さ。

 さらに特区WG会合に加計学園幹部が出席し、意見を述べていたにもかかわらず、議事録からは公式な出席者ではないなどと、ご都合主義としか思えない解釈で、出席の事実も発言内容も明かされていなかった問題。

 不可解な点が多すぎる中、政府は2015年の獣医学部新設4条件にかかる客観的資料を国会に示すことも一切なく、認可ありきの進め方をしてきたとしか言いようがない。

 獣医学部新設4条件のひとつについて、設置審も「社会的な人材需要の動向が不明」と指摘していた事実は重い。

 さらに設置審は認可こそしたが、水増し入学をしないよう「定員(140人)の厳格な管理」「実習の充実」「高齢教員の多いことを踏まえた組織再編」など8つの留意事項も今後、加計学園側がすべきこととしてあげた。スタートするにも、見切り発車でよいのだろうか。

 校舎建設が進む愛媛県今治市では、市が学園に用地を提供し、地元自治体で96億円もの補助金を出す計画だが「今治市が支給する補助金の報告」も設置審に報告するよう求めている。

 また今治市では専門委員により、住民の懸念に対する問題へ、獣医学部校舎の建設費の妥当性やバイオセキュリティの調査がスタートしたばかりだ。こうした取り組みの結果も踏まえた、総合的な判断が文部科学大臣には求められていると言わなければならない。

 まず、特別国会での審議で国民の疑惑を払拭したうえで、文部科学大臣は認可するかどうかの判断を行うべきだ。2018年4月開学のおしりを切った対応より、行政が歪められたことはなかったと証明することの方が、はるかに「国益にかなう」。加計学園に通うことになるかもしれない学生らにとっても、その方が幸せだろう。結果的に19年4月開学になったとしても、である。(編集担当:森高龍二)