日本の観光業は外国人客の計画を上回る訪日によって好調のようだ。一方、日本人による国内旅行は件数では減少傾向で推移しているものの、1人当たり消費額は増加傾向だ。
近年、日本における観光マーケットでは顧客の属性と行動様式が大きく変化している。観光は地方自治体にとっては重要な産業である。自己の保有する観光資源に見合った顧客を引き込むためには、より細分化された見込み客への効果的な働きかけが重要になる。
8月24日、島根県松江市と日本ユニシスがAIで統合された地域データとIoT技術を活用した観光マーケティングの実証実験を29日より稼働させることを発表した。
日本ユニシスは松江市に関連する地域データをAI技術によって統合し、IoT技術を活用した「人流解析サービス JINRYU(R)」から得られる観光客の行動及び属性データと組み合わせて分析することで市の観光施策立案を支援することになる。
松江市は国宝松江城や松江歴史館などの観光資源を有し、市に関係する統計データや統計関連図書の情報のオープンデータ化などデータを活用した地域活性化の先進的な取り組みを推進してきた。また、日本ユニシス総合技術研究所は「幸福度ランキング」など質的な価値を定量化することで地域価値の「?える化」に取り組んできた。
実証実験の内容は以下のとおりだ。
1.集約地域データをWebアプリにて地図情報とともに観光客に提供する。このアプリは観光客の観光を支援するとともに、その位置情報や参照情報を収集・分析することで観光客の動向把握や施策の効果を測定することが可能となる。
2. さらに、集約した観光情報と「?流解析サービス JINRYU」で収集・解析した松江歴史館来場者数および来場者の年齢、性別、動線情報から、松江歴史館の来場者予測に寄与する相関関係を求める。人流解析サービス「JINRYU」は、カメラで撮影された人物の映像から年齢・性別等の属性を推定し「IoTビジネスプラットフォーム」上で可視化・分析するクラウドサービスだ。
松江市と日本ユニシス」は「今回の実証実験では、松江市が持つ観光資源や情報発信力と日本ユニシスの技術?を組み合わせ、データを活用した観光マーケティング方法の確立を目指す」としている。(編集担当:久保田雄城)