2019年10月に迫った消費増税を見据えた、2019年度与党税制改正大綱が発表された。そのなかの自動車関連の税制も大きく見直された。概要をまとめる。
消費税増税後に景気が冷え込むことを防ぐため、自動車関連税は2019年単年度でおよそ530億円の減税となる。クルマを保有することに課税する自動車税を最大で4500円/年の減税となる。自動車税の減税額はクルマの排気量で変わり、排気量が1000cc以下のクルマは、現行年2万9500円から4500円下がり、年2万5000円になる。1000cc?1500ccのクルマは3万4500円から3万0500円に、1500cc?2000ccのクルマは3万9500円が3万6000円となり、小排気量車ほど軽減されることとなる。ただし、軽自動車の税額は据え置く。
自動車購入時の税も見直す。これまでクルマを買うときに払っていた自動車取得税に代わって導入予定の燃費課税は消費税増税後、1年間に限って1%軽減する。消費増税に伴い新たに導入される「燃費課税」はクルマの環境性能に応じて価格の0~3%を払うことになっていたが、増税後の1年間限定で一律1%を引き下げる。ほとんどの車種で税負担が0~1%になる。
一方、2年に1度の車検時に支払う自動車重量税などに適用されるエコカー減税は、当初政府が検討していた案よりも免税対象を広げるなどで、縮小幅を抑えた。新車購入時や車検の際にクルマの重さに応じて支払う自動車重量税は、車重500kg当たり4100円だ。エコカー減税は燃費性能に応じ、一定割合を課税額から減ずる仕組みだ。今回の税制改正では電気自動車やプラグインハイブリッド車などのほか、20年度の燃費基準を40%以上上回るガソリン車も免税対象になる。
これらの処置は、いずれも消費増税後に購入した新車が対象。保有税の減税規模は約1300億円、購入時負担の軽減には500億円程度の国費が投入されるという。
トヨタ自動車社長で日本自動車工業会(JAMA)の会長でもある豊田章男氏は、政府に提出した「平成31年度税制改正に関する要望書」において、複雑で過重な自動車関連諸税の簡素化と負担軽減を求めていた。
豊田氏は今回の自動車税減税について「創設から70年近く経過した自動車税に初めて風穴が開いた」とするコメントを発表した。「国際的に極めて過重な保有に関わるユーザーの税負担軽減を大きく進めることができた」と歓迎した。(編集担当:吉田恒)