ビール業界のオスカー賞と呼ばれる『BIIA』で、小西酒造の「長寿蔵スノーブロンシュ」が "スペシャル小麦ビールクラス"で金賞受賞。そして9部門の金賞受賞ビールの中から選ばれる"チャンピオン・スペシャリティ・ビールでも最高賞の栄誉にも輝いた。
ここ数年、大手メーカー以外のいわゆる日本産”地ビール”の評価が世界的に高くなっている。
世界に数多く存在するビールの品評会の中でも、125年の歴史があり、ビール業界のオスカー賞と呼ばれる『BIIA』。権威あるこの品評会で、今年4月、小西酒造の「長寿蔵スノーブロンシュ」が金字塔を打ち立てた。驚くべきは、9つの部門が設定されている『BIIA』で日本の地ビールメーカーが4部門に渡り受賞しており、アサヒビールを入れると5部門となり日本のメーカーが半分以上の部門で表彰されたことになる。「長寿蔵スノーブロンシュ」は796種類がエントリーした”スペシャル小麦ビールクラス”で金賞を受賞し、そして9部門の金賞受賞ビールの中から選ばれる”チャンピオン・スペシャリティ・ビールでも最高賞の栄誉にも輝いた。
さらに、11月10日、小西酒造の同商品は欧州最大のビールコンテスト『ヨーロピアン・ビアスター・アワード2011』のベルギーホワイトビール部門で最高位金メダル”ゴールドアワード”を受賞し、この2つの品評会で金賞を受賞するという日本初の快挙を達成した。同じくこの品評会では、日本のコエドブルワリーの「COEDO漆黒」も金賞を受賞しており、ジャパンブランドの地ビールが世界で活躍している。
今回この快挙を成し遂げた小西酒造は、1550年創業の日本酒メーカーの老舗。ビールの製造を始めたのも1998年とその歴史は浅い。だが、そこから10年遡った1988年にベルギービールに出会った小西社長がその魅力に取りつかれ、輸入販売を開始、現在では50種類以上のベルギービール扱っている。その後、10年かけて自社ブランドの開発を行い、今回受賞の「長寿蔵スノーブロンシュ」を含め、多くの地ビール製造を行ってきた。また、ベルギービールの普及を目的としたイベントの旗振り役も務めており、本業の傍らスペシャルビール(日本産の地ビールも含む)の市場拡大に力を注ぐ。
国内大手のビール出荷数は年々減少し、酒税改革による税率とのイタチごっこが繰り返された結果、生れてきた第3のビールとプレミア系のビールだけが元気な国内市場。だが、地ビールの市場はプレミアビールのブームなどもあり、目立ってはいないが、確実に成長している。大手4社しか見えない市場の中にあって、今回の世界の舞台でのジャパンブランド地ビールの評価が、少しでも国内市場を賑わせる存在になればと願う。こういう”世界基準”というブランドに大いに興味のある国なのだから、国内の評価が高まるのもそう遠い将来ではないかもしれない。