今回のニュースのポイント
武田薬品工業が30日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)連結決算は、売上収益が前年同期比10.2%増の1兆2,199億円、営業利益が同9.1%増の2,014億円となりました。円安による為替換算効果が業績を押し上げた一方、恒常為替レート(CER)ベースでの売上収益は0.5%減とほぼ横ばいとなり、実質的には主力製品の成長と独占販売期間満了製品の減収が相殺される展開となりました。法人所得税費用の増加により親会社の所有者に帰属する四半期利益は8.9%減の1,132億円となりましたが、通期業績予想は据え置いています。
本文
武田薬品工業が7月30日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4~6月)の連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比10.2%増の1兆2,199億円、営業利益が同9.1%増の2,014億円、税引前利益が同8.0%増の1,627億円となりました。一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同8.9%減の1,132億円となっています。
表面的には2桁増収・営業増益となりましたが、その主因は対米ドルや対ユーロでの円安に伴う為替換算効果です。主力の消化器系疾患領域では、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「エンタイビオ」の売上収益が2,683億円(前年同期比15.4%増、CERベースで3.8%増)へ拡大しました。また、オンコロジー領域の「アドセトリス」や大腸がん治療剤「フリュザクラ」が伸長し、血漿分画製剤も円換算ベースで増収となりました。
しかし、為替影響を除いた恒常為替レート(CER)ベースでは、売上収益が前年同期比0.5%減とほぼ横ばいにとどまり、営業利益は同3.1%減となりました。新製品や主要製品が伸びを示したものの、米国で後発品が浸透した注意欠陥多動性障害(ADHD)治療剤「ビバンセ」など、独占販売期間満了の影響を受けた製品や成熟製品の減収がこれを相殺する構図となっています。
研究開発面では将来に向けた投資を継続しています。研究開発費は、後期開発パイプライン(elritercept、TAK-928、TAK-921等)に係る費用の増加や為替影響により、前年同期比16.3%増の1,674億円を計上しました。なお、ビバンセの無形資産償却終了などを受け、製品に係る無形資産償却費及び減損損失は同15.7%減の1,109億円に縮小しています。
営業増益の一方で最終利益が減少した主因は、税負担の増大です。繰延税金資産の回収可能性の見直しに伴う税金費用の増加や税額控除の減少、米国の国際税制に基づく追加負担などが重なり、法人所得税費用が495億円(前年同期比87.7%増)へと大幅に拡大したことが最終益を圧迫しました。
2027年3月期の通期連結業績予想(実勢レートベース)は従来計画を維持しています。通期の売上収益は前期比3.0%増の4兆6,400億円、営業利益は同3.0%増の4,200億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,660億円を見込んでいます。なお、恒常為替レート(CER)ベースの通期マネジメントガイダンスでは、Core売上収益を一桁台前半%減、Core営業利益を5~8%減と見込んでおり、引き続き新製品の拡販とコスト構造改革(トランスフォーメーション・プログラム)を通じて独占販売期間満了による減収影響の吸収を進める方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













