牛丼3社、増収でも利益に明暗 吉野家は営業利益2.4倍、すき家黒字転換

2026年08月16日 12:56

牛丼

牛丼大手3社の最新決算。各社とも売上を伸ばす一方、利益面では差が表れた(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

牛丼大手3社の最新決算では、いずれも売上が伸びたものの、利益面で明暗が分かれました。吉野家HDは既存店の伸びで営業利益が前年同期比2.4倍に拡大し、ゼンショーHDの「グローバルすき家」も前年同期の赤字から黒字転換を達成。一方、松屋フーズHDは17%増収ながら、人件費や食材費の上昇で営業利益が28.0%減少しました。

■ 牛丼3社、売上はいずれも拡大するも利益の方向性に差

 牛丼大手3社(吉野家ホールディングス、ゼンショーホールディングス、松屋フーズホールディングス)の直近決算が出そろいました。外食全般で需要の持ち直しが進み、3社ともに売上高は10〜20%前後の高い伸びを示したものの、本業の儲けを示す営業利益の段階では大きな差が生じています。

 吉野家HD(2027年2月期1Q)は売上高587億7,100万円(前年同期比12.5%増)、営業利益25億4,400万円(同140.8%増)と大幅増益を達成。ゼンショーHDの「グローバルすき家」セグメント(2027年3月期1Q)も売上高810億7,500万円(同22.7%増)、営業利益23億7,200万円と前年同期の赤字(7億6,800万円の営業損失)から黒字転換しました。

 一方、松屋フーズHD(2027年3月期1Q)は売上高506億5,900万円(同17.4%増)と500億円の大台に乗せたものの、営業利益は6億9,500万円(同28.0%減)と振るいませんでした。(※吉野家HD・松屋フーズHDは連結全体、すき家はセグメント数値。比較は前年同期比の変化率に基づく)

■ 吉野家:営業利益2.4倍、既存店成長と出店が寄与

 利益の伸びで際立ったのが吉野家HDです。第1四半期の売上高は前年同期比12.5%増、営業利益は同140.8%増(約2.4倍)と大幅な増益を達成しました。

 主力の吉野家事業(セグメント売上高390億6,400万円・13.7%増、利益24億9,800万円・169.3%増)において、全社既存店売上高が9.8%増と力強く伸びたことが全体を大きく牽引しました。「牛丼・油そばセット」が発売約1カ月で150万食を突破するなど商品施策も奏功しました。グループ全体では国内15店、海外30店を出店するなど事業基盤の拡大も進め、増収とともに収益性も大きく改善しました。

■ すき家:売上22%増、前年赤字から23億円の黒字へ

 ゼンショーHDの「グローバルすき家」セグメントも大幅な収益改善を見せました。売上高は前年同期の660億8,800万円から810億7,500万円(前年同期比22.7%増)へ拡大。前年同期に7億6,800万円の営業損失を計上していた営業損益は、23億7,200万円の黒字へと好転しました。

 国内すき家の既存店売上高も前年同期比112.9%と2桁増を記録しました。こうした販売拡大とともに、営業損益は前年同期の赤字から23億円超の黒字へ大きく改善しました。

■ 松屋:17%増収もコスト負担増で営業利益28%減

 一方、売上を伸ばしながら営業減益となったのが松屋フーズHDです。売上高は新規出店や既存店(102.6%)の底堅さにより、前年同期比17.4%増の506億5,900万円と500億円の大台を突破しました。しかし、営業利益は前年同期の9億6,500万円から28.0%減の6億9,500万円へと落ち込みました。

 減益の背景にあるのがコスト負担の増加です。売上原価率は前年同期の37.2%から37.4%へ上昇し、販売費及び一般管理費比率も60.6%から61.2%へ悪化。食材費と人件費を合わせた「FLコスト比率」は前年同期の67.2%から68.2%へと1.0ポイント上昇しました。ベースアップなどの人的投資や原材料、エネルギーなど各種コストの上昇が利益を圧迫しました。(※親会社株主に帰属する四半期純利益は固定資産売却益などの特別利益計上で26.8%増)

■ コスト高への対応と牛丼各社の次の競争

 外食産業全体では、原材料費の高騰、人件費の上昇、エネルギーや物流費の上昇といった逆風が続いています。程度や影響には違いがあるものの、3社はいずれもコスト上昇への対応を迫られています。

 そのなかで吉野家HDでは既存店売上高の伸びとともに大幅増益となり、すき家は売上拡大によって前年の赤字から脱出。松屋フーズHDは大幅増収を果たしながらもコスト増が上回って減益という結果になりました。

 単なる値上げだけでなく、客数の確保や商品力、店舗運営、生産性向上などを組み合わせ、増えた売上高をどれだけ利益につなげられるかが、今後の重要な競争軸となりそうです。

■ 通期見通しと今後の焦点

 吉野家HD(通期営業利益85億円・前期比5.1%増)、松屋フーズHD(同82億円・同8.0%増)の2社は従来の通期業績予想を維持しました。ゼンショーHDは全社業績予想を上方修正し通期営業利益1,020億円(同25.2%増)を見込んでいます。

 低価格帯の外食として幅広い支持を集めてきた牛丼チェーンですが、原材料・人件費の上昇が続くなか、売上拡大だけでは利益成長を保証できません。既存店の集客力と価格戦略、生産性向上をどう組み合わせ、増収を確実に利益へとつなげられるかが今後の業績を左右する焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)