労基署、残業「月45時間以内」への一律指導見直し 9月から健康確保措置を重点確認

2026年08月19日 16:55

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厚生労働省は9月1日から、時間外・休日労働に関する労働基準監督署の指導方法を見直す。36協定で定めた健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認する(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

厚生労働省は9月1日から、時間外・休日労働に対する労働基準監督署の指導方法を見直します。時間外・休日労働の時間数だけに着目し、「1カ月45時間以内」への削減を求める一律の指導を見直し、各事業場が36協定で定めた健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認します。ただし、時間外労働の上限規制や36協定の制度そのものを変更するものではなく、過重労働による健康障害のおそれが高い場合には引き続き必要な指導を行います。企業向けには36協定などに関する専門相談窓口も新設し、相談・支援体制を強化します。

■ 「45時間以内」だけを見る一律指導を見直し

 厚生労働省は、政府の「日本成長戦略」および「経済財政運営と改革の基本方針2026」を踏まえ、全国の働き方改革推進支援センターや労働基準監督署で、時間外労働などに関する相談・支援や監督指導を本年9月1日から見直すと発表しました。

 厚労省は、時間外・休日労働時間数のみに着目して「1カ月45時間以内」への削減を求める一律の指導を見直します。9月1日からは、各事業場が労使間で締結した「36協定」に定める健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認し、その状況に応じた必要な指導を行う形へと変更されます。

 なお「36協定」とは、労働基準法で定められた法定労働時間を超えて時間外・休日労働を行わせる場合に、労使間で締結・届出を行う協定を指します。

■ 「残業規制の緩和」ではない

 今回の見直しは「残業規制の緩和」を意味するものではありません。法律上の残業上限規制や36協定の仕組み自体を変更・撤廃するものではないためです。

 したがって、「月45時間という考え方が完全になくなる」「36協定を結べば無制限に残業させられる」といった解釈は誤りです。厚労省も、個々の事業場の実態を踏まえたうえで、過重労働による健康障害が生じるおそれが高い場合には、引き続き必要な指導を行うとしています。

 単純に「時間数のみ」を見て一律に削減を求める指導から、労使が合意した健康確保策が実際に履行されているかなど、事業場の実態を重視した指導へと運用の軸足を移すのが今回の狙いです。

■ 36協定の相談窓口も新設、企業を訪問支援

 行政側は指導方法を見直すだけでなく、企業が適切な労務管理を行うための相談・支援体制も拡充します。

 全国の「働き方改革推進支援センター」には、36協定や特別条項の締結、柔軟な労働時間制度の活用を支援する専門相談窓口が新設されます。さらに、同センターと労基署の「労働時間相談・支援班」がチームを組み、36協定や特別条項の締結に関するアウトリーチ型の訪問支援を実施します。

 加えて、中小企業の経営支援を行う「よろず支援拠点」や商工会議所などとの連携も強化されます。労務面での課題だけでなく、売上拡大や資金繰り、経営改善といった事業全般の相談にも一体となって対応できる体制が整えられます。

■ 実効性のある健康確保措置が重要に

 9月からの見直しでは、単なる労働時間数による一律の指導から、労使合意や健康確保措置の実施状況、事業場の実態を踏まえた対応へ軸足が移ります。

 事業者にとっては、形式的に36協定を締結して届け出るだけでなく、そこに盛り込んだ健康・福祉確保措置を実際に講じることがこれまで以上に重要となります。監督方法が変わっても、過重労働による健康障害のおそれが高い場合には引き続き必要な指導が行われます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)