熊本地震で雇調金特例、全国の事業所に適用 売上確認「3カ月→1カ月」に短縮

2026年08月21日 07:34

今回のニュースのポイント

厚生労働省は、令和8年熊本地震の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施します。全国の事業所を対象に、生産指標の確認期間を通常の3カ月から1カ月へ短縮するほか、雇用量が増加している事業所や設置1年未満の事業所も対象とし、計画届の事後提出も認めます。熊本県内の事業所には「残業相殺」の撤廃など追加措置を設けます。

本文
 厚生労働省は、7月28日に発生した令和8年熊本地震に伴う「経済上の理由」によって事業活動の縮小を余儀なくされ、一時的な休業や教育訓練、出向によって雇用の維持を図る事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置を実施すると発表しました。雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成する制度です。今回の特例措置は、熊本県内に所在する事業所だけでなく、熊本地震に伴う経済上の影響を受けた全国の事業所に適用されます。特例の対象となるのは、発災日である2026年7月28日から2027年1月27日までの間に開始した休業等です。

 全国の事業所に適用される特例措置では、事態の急変に合わせて迅速に助成を行えるよう、主に4つの要件緩和が実施されます。第一に、通常は最近3カ月間の月平均値で確認する販売量や売上高などの生産指標について、比較期間を「最近1カ月」に短縮し、災害発生後の急激な業績悪化に迅速に対応できるようにします。第二に、最近3カ月の雇用量が対前年比で増加している事業所を助成対象外とする従来の要件を撤廃します。第三に、地震発生時点で事業所設置から1年未満の事業主についても助成対象とし、地震前のいずれか1カ月の数値と比較することを可能とします。第四に、休業等を実施する前に提出が必要となる計画届について、事後の提出を認めます。

 助成の条件となる「経済上の理由」には、需要減少や風評被害による集客困難のほか、取引先の被災による原材料・商品の調達難、交通途絶による物流や通勤への影響、インフラ途絶などが含まれます。そのため、熊本県外にある事業所であっても、地震による取引先の被災や風評被害などで事業活動の縮小を余儀なくされた場合は、特例の対象となり得ます。なお、自社施設が直接被災した場合であっても、修理業者手配や部品調達に災害の影響で時間を要するといった事情があれば対象となります。さらに熊本県内に所在する事業所に対しては追加の特例措置として、休業中に時間外労働を行わせた場合に助成対象日数から控除する「残業相殺」ルールや、支給日数が30日を超えた際の教育訓練実施率による助成率引き下げルールが撤廃されます。

 今回の特例は、直接被災した地域だけでなく、地震に伴う取引途絶や風評被害、物流停滞などの影響を受けた全国の事業所も対象となり得ます。要件緩和や手続きの簡素化により、災害下での迅速な雇用維持が期待されます。なお、本特例は1年の期間内に実施した休業などが助成対象となり、助成の上限日数は1年間で100日となっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)