日本郵政グループ、純利益64%増の裏側 ゆうちょが稼ぎ頭、郵便・物流は赤字

2026年08月23日 19:15

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日本郵便の配送車両。日本郵政グループの2027年3月期第1四半期は金融事業が利益を押し上げる一方、郵便・物流事業は経常赤字となった

今回のニュースのポイント

日本郵政グループの2027年3月期第1四半期決算は、日本郵政の親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比63.8%増の1,253億円となりました。大幅増益を牽引したのは金融事業で、ゆうちょ銀行は資金運用収益の拡大を背景に純利益が69.3%増加。かんぽ生命も資産運用収益が44.1%増え、経常増益を確保しました。一方、日本郵政の郵便・物流事業は前年同期の黒字から47億円の経常赤字へ転落しました。グループ全体では好決算となったものの、その内側では金融と郵便・物流の収益力に大きな差が生じています。

■ 日本郵政は純利益64%増、金融事業が押し上げ

 日本郵政が発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算は、経常収益が前年同期比6.2%増の2兆9,859億円、経常利益が同50.9%増の3,398億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同63.8%増の1,253億円となり、大幅な増益で着地しました。

 グループ全体の純利益が前年同期の約1.6倍へ大きく膨らんだ背景には、ゆうちょ銀行を中心とする金融事業の収益伸長があります。「日本郵政」というグループ全体の数字を力強く押し上げた構造を紐解くには、主要事業セグメントごとの内訳を見る必要があります。

■ 稼ぎ頭はゆうちょ銀行、経常利益2,535億円

 今回、グループ業績を最も強く牽引したのが銀行業セグメントの「ゆうちょ銀行」です。

 同社の第1四半期連結決算は、経常収益が前年同期比27.1%増の8,481億円、経常利益が同64.7%増の2,535億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同69.3%増の1,775億円となりました。有価証券利息配当金や貸出金利息などの資金運用収益が前年同期比2,222億円増の6,781億円へと大きく拡大。資金調達費用の増加(494億円増の2,789億円)を十分に吸収し、大幅な増益を達成しました。資金運用収益の拡大を背景としたゆうちょ銀行の収益伸長が、グループ全体の業績を大きく押し上げています。

■ かんぽ生命も「資産運用」が利益を下支え

 続いて、生命保険業セグメントの「かんぽ生命保険」です。

 同社の第1四半期連結決算は、経常収益が前年同期比4.9%減の1兆3,643億円、経常利益が同2.8%増の692億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同1.5%減の341億円となりました(※日本郵政の連結決算における「生命保険業セグメント」の経常利益としては706億円)。

 本業の保険料等収入は前年同期比0.7%減の5,725億円とやや減少したものの、金銭の信託運用益や有価証券売却益、為替差益などを含む資産運用収益が同44.1%増の4,192億円と大幅に伸長しました。保有契約減少などの影響から最終利益こそ前年同期並みの水準にとどまったものの、かんぽ生命においても資産運用成果の伸びが経常利益を下支えする要因となりました。

■ 一方で郵便・物流事業は赤字へ転落

 金融事業が利益を伸ばす一方で、グループのインフラである郵便・物流領域は厳しい決算となりました。

 日本郵政の「郵便・物流事業セグメント」は、前年同期の4億円の黒字から47億円の経常損失(赤字)へと転落しました。さらに「郵便局窓口事業セグメント」の経常利益も30億円(前年同期比31億円減)にとどまっており、営業コストの負担など、郵便事業を取り巻く厳しい事業環境が表れています。

■ 「郵政」の収益を金融が支える構造

 一般に「日本郵政」や「郵便局」と聞くと、手紙や宅配便といった郵便・物流サービスを真っ先にイメージしがちです。しかし今回の決算では、ゆうちょ銀行を中心とする金融事業がグループ全体の利益を大きく押し上げる一方、郵便・物流事業は赤字となり、事業間の収益力の差が鮮明になりました。

 同じ金融事業でも、資金運用収益が急増して純利益69.3%増となったゆうちょ銀行と、運用収益で経常利益を支えつつも純利益は前年同期比1.5%減となったかんぽ生命とでは、足元の業績に違いがみられます。金融事業のなかでも、とりわけゆうちょ銀行の利益拡大が目立つ第1四半期となりました。

■ 好決算でもグループ3社とも通期予想は据え置き

 第1四半期は金融事業の貢献により大幅な増益スタートとなったものの、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の主要3社はいずれも2027年3月期通期の連結業績予想を変更せず、従来計画を据え置きました。

 日本郵政の通期予想は、経常利益が前期比8.6%増の1兆1,700億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同40.3%増の3,800億円。年間配当予想も1株あたり60円を維持しています。ゆうちょ銀行(通期純利益6,600億円予想)、かんぽ生命(同1,410億円予想)も計画を変更していません。

 日本郵政グループの第1四半期は、純利益が6割を超えて増える好決算となりました。ただ、その数字の内側を見ると、すべての事業が等しく好調だったわけではありません。ゆうちょ銀行が資金運用収益の拡大でグループを強力に牽引し、かんぽ生命でも運用収益が利益を支えた一方、郵便・物流事業は赤字に転落しました。「郵政」の収益を「金融」が支える構図が鮮明となったなか、今後は金融市場からの追い風を収益につなげ続けられるかと同時に、郵便・物流という基盤事業の採算改善をどう進めるかが問われることになります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)