今回のニュースのポイント
主要物流企業の決算が出揃いました。今回の決算では、国内配送において荷動きの回復が一部に見られるものの、人件費や外注費、エネルギーコストの上昇が収益を圧迫する一方、海外を中心とする国際物流や法人向け高付加価値サービスが業績を底上げする構図が明確になりました。SGホールディングスやNIPPON EXPRESSホールディングスが国際貨物の好調な推移を取り込んで利益を伸ばす一方、国内宅配網を持つヤマトホールディングスや日本郵政は収益改善に向けた構造改革を進めています。
■ 物流大手、国際物流が収益押し上げ
主要物流企業(SGホールディングス、NIPPON EXPRESSホールディングス、ヤマトホールディングス、日本郵政)の最新決算が出揃いました。
なお、NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は12月期企業のため2026年12月期中間決算(1〜6月)であり、残る3社は2027年3月期第1四半期決算(4〜6月)となります。また日本郵政は金融事業を含む巨大グループであるなど事業構造が異なるため、売上高や利益を横並びで単純比較することはできません。
しかし、4社の決算数値を詳細に追うと、物流業界全体を貫く共通の構造が浮き彫りになります。国内配送では一部で荷動きの回復がみられるものの、人件費や外注費、エネルギー価格の上昇といったコスト圧力が重くのしかかっている点です。そうしたなか、国際物流や法人向けロジスティクスといった高付加価値領域を取り込めるか否かが、各社の業績を左右する要因となっています。
■ SGHDは21%増収、グローバル物流が倍増
「国際物流による収益押し上げ」を象徴する結果となったのが、佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(SGHD)です。2027年3月期第1四半期の連結業績は、営業収益が前年同期比21.7%増の4,473億円、営業利益が同14.9%増の200億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同20.8%増の122億円となりました。
本業のデリバリー事業では、飛脚宅配便の取扱個数が前年同期比7.0%増(3億3,900万個)と伸びたことで、セグメント営業収益は同6.7%増の2,684億円を確保しました。しかし、デリバリー事業の営業利益は同7.4%減の126億円となりました。輸送インフラ維持のためのベースアップや委託単価引き上げによる人件費・外注費の増加に加え、燃料費の上昇や賞与引当金の計上時期変更といった一時要因が響きました。
一方、グループ全体の増益を大きく支えたのがグローバル物流事業です。前期にグループ入りしたモリソン社の連結効果に加え、半導体・電子部品を中心とする航空貨物や海上フォワーディングの好調が寄与し、営業収益は前年同期比127.9%増の1,127億円、営業利益は前年同期の1億3,300万円から27億2,400万円へと急拡大しました。
■ NXHDは純利益2.9倍、国際物流回復で上方修正
国際物流の回復力を示すもう一つの例が、NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)です。2026年12月期中間決算(1〜6月)は、売上収益が前年同期比6.7%増の1兆3,566億円、営業利益が同56.7%増の447億円、親会社の所有者に帰属する中間利益が同186.8%増の242億円と、大幅な増収増益(純利益は約2.9倍)を達成しました。
業績を牽引したのは、欧州(売上収益20.6%増)や南アジア・オセアニア(同31.6%増)、東アジア(同16.0%増)など、海外を中心とする国際物流事業です。アジア発の航空・海運貨物の荷動きが底堅く推移したほか、適正な料金改定や事業再編効果が収益性を高めました。
国際物流需要の回復や不動産売却益を見込み、同社は通期の連結業績予想を上方修正しました。親会社所有者帰属当期利益を従来予想の600億円から700億円(前期比約3.9倍)へと引き上げており、グローバル市場での需要取り込みが成長の柱となっています。
■ ヤマトは増収も赤字、宅配から法人物流へ
一方で、国内ネットワークのコスト負担と構造改革の渦中にあるのがヤマトホールディングスです。2027年3月期第1四半期の連結業績は、営業収益が前年同期比1.4%増の4,433億円となったものの、営業損益は48億円の赤字(前年同期は64億円の赤字)となりました。
主力の宅急便・宅急便コンパクト・EAZYの取扱数量が前年同期比3.0%減となるなか、プライシングの適正化や法人向けビジネスの拡大によって増収を確保し、赤字幅は縮小しました。しかし、社員やパートナーへの人的投資、エネルギー価格や部材調達単価の上昇が重荷となり、宅配を中心とするエクスプレス事業は131億円の営業赤字を計上しています。
そうしたなかで同社が注力しているのが、法人向け高付加価値物流(コントラクト・ロジスティクス事業)へのシフトです。同事業の営業収益は前年同期比9.1%増の411億円、営業利益は19億円と、前年同期から約7億円増加しました。輸配送ネットワークに倉庫や国際フォワーディング機能を組み合わせた「統合型ビジネスソリューション拠点」を全国9拠点へ広げるなど、個人の宅配に依存しない収益源の構築が進められています。
■ 日本郵政、グループ増益でも郵便・物流は赤字
国内配送の収益確保の難しさは、日本郵政の決算にも表れています。2027年3月期第1四半期連結決算は、経常収益が前年同期比6.2%増の2兆9,859億円、経常利益が同50.9%増の3,398億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同63.8%増の1,253億円と大幅な増益となりました。
ただし、グループ好業績の主因はゆうちょ銀行など金融2事業の資金運用収益によるものです。グループの本業である「郵便・物流事業セグメント」を見ると、前年同期の4億円の利益から、当四半期は47億円の経常赤字へ転落しました。郵便物等の減少傾向が続くなか、人件費や集配コストの上昇が重くのしかかっています。
物流各社の決算からは、国内配送でコスト圧力が続く一方、国際物流や法人向け物流などの収益源が存在感を高めていることがうかがえます。国際貨物を取り込むSGHDやNXHD、法人向け物流を拡大するヤマトHDなど、物流・倉庫・国際輸送を組み合わせてどこまで付加価値を高められるかが、今後の収益力を左右することになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













