今回のニュースのポイント
帝国データバンクが8月20日に発表した調査によると、主要上場建設会社50社の2025年度連結売上高は前年度比5.0%増の21兆4,097億円となりました。平均売上総利益率は13.5%と前年度から1.7ポイント上昇し、50社中44社(88.0%)で改善しました。人手不足に伴う施工能力の制約を背景に、資材費や人件費上昇分の価格転嫁や採算重視の受注選別が進んだことが利益率を押し上げました。単体受注高も前年度比11.7%増と官民ともに好調です。
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深刻な人手不足や資材価格の高騰に直面する建設業界で、企業の収益構造に変化が表れています。帝国データバンクが8月20日に公表した「主要上場建設会社50社の受注・業績動向調査(2025年度)」によると、対象50社の連結売上高合計は前年度比5.0%増の21兆4,097億8,200万円となり、36社(72.0%)が増収を確保しました。
売上高の拡大以上に顕著な変化がみられたのが採算性です。50社の平均売上総利益率は13.5%となり、前年度の11.8%から1.7ポイント改善しました。さらに、全50社のうち実に44社(88.0%)で売上総利益率が上昇しており、業界全体で約9割の企業が粗利益率を改善させる結果となりました。
一見すると「人手不足」と「利益率改善」は矛盾するようにみえますが、その背景には建設市場における強い需給ギャップが存在します。深刻な人材不足によって業界全体の施工能力に制約が生じているため、特に大型工事や施工難易度の高い案件においては、発注側が資材高や人件費上昇に伴うコスト増を受け入れざるを得ない状況が生じています。これにより、建設会社側は資材費や人件費の上昇分を請負金額に織り込みやすくなりました。
同時に、各社の受注戦略の変化も影響しています。従来の「売上規模の拡大」を重視して案件を積み上げる戦略から、自社の限られた施工能力を見極めたうえで「十分な利幅を確保できる案件を選別する」採算重視の姿勢へシフトしています。自社の施工能力を見極めながら、十分な利益を確保できる案件を選別していることが、利益率の改善に寄与しました。
足元の工事受注も堅調に推移しています。単体受注高が判明した37社の受注高合計は前年度比11.7%増の16兆1,026億3,700万円に達し、23社で増加しました。さらに内訳が判明した27社を見ると、官公庁受注が前年度比6.5%増の2兆8,809億2,900万円、民間受注が同5.2%増の9兆152億1,500万円となりました。防災・減災や国土強靱化に基づく公共工事に加え、都市部の大型再開発、物流施設、AI需要を背景としたデータセンター建設、半導体関連工場の建設など、官民双方で活発な建設需要が全体を牽引しています。
個別企業の動向では、連結売上高の増加率でインフロニア・ホールディングスが前年度比32.7%増で首位となったほか、売上総利益率の改善幅では日本国土開発が前年度比10.3ポイント増、大成建設が同5.1ポイント増と大きく伸ばしました。単体受注高の増加率では竹中工務店が同79.0%増、清水建設が同35.2%増、大末建設が同34.4%増を記録しています。
今後の見通しとしても、国土強靱化対策や再開発、脱炭素関連投資などに裏打ちされた建設需要は当面底堅く推移するとみられます。一方で、国内の人口減少に伴う人手不足の一段の深刻化は避けられない情勢です。「需要は豊富にあるものの、施工を担う人員が足りない」という構造的な課題を抱えるなか、今後の建設各社にとっては単なる受注額の拡大以上に、限られた人員で生産性をどこまで高め、持続可能な経営基盤を確立できるかが問われることになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













