今回のニュースのポイント
政府は25日、中東情勢の先行きが依然不透明で原油価格の見通しが困難だとして、ガソリンの全国平均小売価格を引き続き1リットル170円程度に抑える方針を示しました。中東情勢等対応予備費を活用し、必要な基金規模を確保するため、経済産業相が財務相と調整を進めます。政府資料によると、8月17日時点のガソリン価格は補助がない場合の187.1円に対し、補助後は169.8円。一方、25日の米原油先物市場では米国の対イラン制裁による供給への影響は限定的との見方から原油価格が3%超下落しており、今後は原油市場の動向とともに補助の出口も焦点となります。
本文
政府は25日、中東情勢が依然として不透明であり、今後の原油価格の見通しが困難である状況を踏まえ、ガソリンの全国平均小売価格を引き続き1リットル当たり170円程度に抑える「緊急的激変緩和措置」を継続する方針を表明しました。財源には「中東情勢等対応予備費」を活用することとし、高市総理大臣は同日、対応に必要な基金規模を確保するため、経済産業大臣に対して財務大臣との間で所要の調整を進めるよう指示しました。
政府の公表資料によると、直近の8月17日時点における全国平均のガソリン小売価格は、補助措置がない場合は1リットル当たり187.1円と算出されるのに対し、補助適用後は169.8円となり、17.3円分抑制されています。今年2月末以降の中東情勢の不安定化を受けて3月19日から実施してきた本措置の開始前(3月16日時点)の価格は190.8円に達していました。
政府はガソリンに加え、軽油、灯油、重油に対しても同様の価格抑制措置を実施しています。8月17日時点で、軽油は補助なしの176.6円から159.3円(17.3円抑制)、灯油は158.0円から140.7円(17.3円抑制)へとそれぞれ抑えられています。家計の負担軽減にとどまらず、公共交通機関や農林水産業など、燃料価格高騰の影響を受けやすい幅広い産業分野の支援を目的としています。
今回の継続決定について政府は、中東情勢の不透明さから原油価格の予測が困難な状況が続いており、国民生活や経済活動への支障を回避するために170円程度という抑制水準の維持が必要であると説明しています。
一方で、日本政府による25日夕方の決定に続き、前夜25日の米国原油先物市場では原油価格が大幅に下落しました。指標となるWTI先物の清算値は1バレル=82.36ドルと前日比2.65ドル安(3.1%安)、北海ブレント先物も88.58ドルと同3.59ドル安(3.9%安)となり、ともに1週間超ぶりの安値を記録しました。米国が新たな対イラン制裁を発表したものの、追加的な圧力の対象となる国や発動時期は明示されませんでした。市場では、今回の経済的圧力は軍事的な緊張激化に比べて原油供給へのリスクが小さく、一部参加者が想定したほど強力な内容ではないとの受け止めが広がったことが背景にあります。
ただし、市場で制裁への警戒感がいったん和らいだものの、中東における地政学的な供給リスクそのものが解消されたわけではありません。報道によると、ホルムズ海峡の船舶航行は依然として大きく制約されているほか、25日にはオマーン沖でタンカーに正体不明の飛来物が命中する事案も発生しました。足元の原油価格は下落したものの、中東情勢を巡る供給不安はなお残っており、軍事的な緊張が再び高まれば、原油価格が大きく変動する可能性も残っています。
今回の措置に活用される「中東情勢等対応予備費」は、令和8年度補正予算において創設された2.5兆円規模の予備費枠です。政府は中東動向が物価や経済に与える影響を注視し、予備費を活用して柔軟に対応する構えです。
今後の焦点となるのは、抑制措置の継続期間および「出口戦略」です。記者会見において高市総理は、本措置があくまで緊急的な「激変緩和措置」であるとの位置付けを強調しつつ、中東情勢や原油価格の動向が見通せないため、支援単価や制度の出口を含めた支援のあり方については今後も柔軟に検討していくとの考えを示しました。
足元では原油価格が下落しているものの、中東情勢を巡る供給リスクは依然として残されています。政府は原油価格や物価への波及を注視しながら支援のあり方を判断するとしており、170円程度への価格抑制をいつまで維持するのか、今後は政策の出口の探り方も重要なポイントとなりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













