今回のニュースのポイント
2026年7月の全国消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年同月比1.9%上昇となり、3カ月連続で拡大しました。上昇が再加速した背景には、前年比7.0%高と大きく上昇した生鮮食品に加え、電気代・都市ガス代の下落幅縮小によりエネルギー全体がプラスへ転じたことがあります。ガソリン価格抑制などの政策効果や教育費低下という下押し要因もあるものの、生鮮品以外の食料も3.0%上昇しており、日常的に購入する品目には総合指数を上回る値上がりがみられます。
■ 物価上昇率、3カ月連続で拡大
総務省が21日に発表した2026年7月の全国消費者物価指数(CPI、2025年=100)は、生の価格変動を除かない「総合指数」が前年同月比1.9%上昇となりました。物価の推移を振り返ると、4月の1.4%上昇から、5月は1.5%上昇、6月は1.6%上昇、そして7月は1.9%上昇と、5月以降3カ月連続で上昇幅が拡大しています。
基調を示す主要指標も同様の傾向です。生鮮食品を除く総合(コアCPI)は前月の1.6%上昇から1.8%上昇へ、生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)も前月の1.7%上昇から1.9%上昇へと、揃って上昇幅を広げました。
7月はなぜ物価上昇率が再び加速したのでしょうか。その内訳を精査すると、価格変動の大きい生鮮食品の大幅な上昇に加え、これまで全体の物価を抑制してきたエネルギーの動きが変化したことが浮かび上がってきます。
■ 生鮮食品7%上昇、まぐろ20%高
物価を大きく押し上げているのが食料です。食料全体は前年同月比3.5%上昇(前月は3.2%上昇)と伸びが加速しました。中でも「生鮮食品」は、6月の3.9%上昇から7月は7.0%上昇へと伸びを大きく拡大。総合CPIの前年同月比の上昇幅が前月から0.3ポイント拡大したうち、生鮮食品による寄与度の拡大が0.11ポイント分を占めました。
個別品目を見ると、生鮮魚介が12.4%上昇(うち「まぐろ」が20.4%上昇)、生鮮野菜が6.6%上昇(うち「トマト」が13.5%上昇)と顕著な値上がりが目立ちます。
一方、生鮮食品を除く食料も3.0%上昇しており、影響は生鮮品にとどまりません。緑茶が29.2%上昇、ポテトチップスが13.3%上昇、輸入牛肉が11.0%上昇、からあげが8.3%上昇、ハンバーガー(外食)が13.2%上昇するなど、加工食品や飲料、外食でも値上がりが続いています。生鮮食品の大幅な上昇だけでなく、加工食品や飲料、外食などにも価格上昇が広がっています。
■ エネルギー「マイナス→プラス」、電気・ガスが変化
次に注目されるのがエネルギーの動向です。エネルギー全体の前年同月比は、6月の0.4%下落から、7月は0.6%上昇へとプラスへ転じました。エネルギーの動向は総合CPIの前年同月比上昇幅を0.08ポイント押し上げる方向に作用(寄与度差プラス0.08)しています。
要因となったのは電気・ガス代の下落幅縮小です。電気代は前月の1.7%下落から0.1%下落へ、都市ガス代は前月の3.2%下落から1.1%下落へとマイナス幅が大きく縮小しました。一方で、ガソリンは前月の0.8%下落から1.8%下落へと下落幅が拡大しています。
ここには政策効果も反映されています。総務省の試算では、ガソリンの暫定税率廃止などの政策効果が物価を押し下げる方向に作用(エネルギー全体の前年同月比にマイナス0.22ポイント、ガソリン単体ではマイナス0.23ポイント寄与)しています。政策効果によるガソリン価格の押し下げが続く一方、電気代や都市ガス代の下落幅が縮小したことで、エネルギー全体では前年同月比で上昇へ転じる結果となりました。
■ 「1.9%」だけでは見えない生活の物価
総合CPIの「1.9%」という数字だけを見ると、2%を下回る水準にとどまっています。しかし、個別の支出項目を見ると、上昇率には大きな差が存在します。
食料全体の3.5%上昇をはじめ、菓子類が6.1%上昇、飲料が5.5%上昇、肉類が3.9%上昇、調理食品が3.5%上昇と、日常的に購入する消費財の多くが総合指数を上回るペースで値上がりしています。また、交通・通信も2.6%上昇しており、自動車保険料(任意)が5.9%上昇、携帯電話の通信料が4.6%上昇するなど、固定費的な支出の伸びも見られます。
対照的に物価を押し下げているのが教育分野です。教育全体は前年同月比3.8%下落しており、特に私立高校授業料が73.2%下落(寄与度マイナス0.15)し、授業料等全体で総合指数を0.14ポイント押し下げました。
7月の物価上昇率再加速には、生鮮食品の大幅な上昇に加え、電気・ガス代の押し下げ効果の縮小が影響しました。政策によるガソリン価格の抑制や教育費の低下といった下押し要因があるものの、食料品や日用品では値上がりが続いています。総合指数は1.9%と2%を下回ったものの、食料は3.5%上昇しており、日常的に購入する品目には総合を大きく上回る値上がりもみられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













