高レベル放射性廃棄物、国が常陸大宮市に文献調査を正式要請 市長「議論の第一歩」

2026年09月01日 07:55

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茨城県常陸大宮市に高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する文献調査の実施を申し入れた経済産業省

今回のニュースのポイント

経済産業省は8月31日、茨城県常陸大宮市に対し、高レベル放射性廃棄物などの地層処分に関する文献調査を実施することについて正式に申し入れを行いました。今回の要請は処分地選定に直結するものではなく、常陸大宮市が調査の受け入れを決定したわけでも、最終処分場に決定したわけでもありません。同市の鈴木定幸市長は申し入れを「重く受け止める」とした上で、調査を「議論を始めていく第一歩」と位置付け、今後市議会などでの説明と質疑を経て対応を検討する方針を示しています。

本文
 経済産業省は8月31日、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針に基づき、茨城県常陸大宮市において地層処分に関する「文献調査」を実施することについて、同市の鈴木定幸市長に対し正式に申し入れを行いました。対象は常陸大宮市全域となります。今回の要請は、高レベル放射性廃棄物の地層処分に向けた最初の調査段階である文献調査の実施について理解と協力を求めるものであり、最終処分場の設置や誘致そのものを直接要請したものではありません。

 国が申し入れ先に常陸大宮市を選定した理由について、経済産業省の申入書では複数の背景が示されています。まず同市は、2017年に国が公表した「科学的特性マップ」において、「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」(グリーン)に該当しています。加えて、最終処分施設の地上施設を設置し得る未利用地が存在していることも挙げられています。

 この科学的特性マップの評価について、原子力発電環境整備機構(NUMO)は2026年8月21日に資源エネルギー庁からの依頼を受け、マップ作成時に使用された活断層や火砕流、鉱物資源、輸送などの基礎データの更新状況を確認しました。その結果、常陸大宮市における特性区分に影響を与える変更はないと判断し、同市全域が「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」(グリーン)であり、そのうち一部は「輸送面でも好ましい地域」(濃いグリーン)に維持されていることを確認の上、8月24日に「文献調査の実施見込みがある」と回答しています。

 また、申し入れに至る経緯として、国による地方公共団体への訪問を契機に市内で複数回の勉強会が開かれていたことや、申入書において「貴市内有志から、国策への貢献、貴市の持続的発展の両面を図る観点から、文献調査に関する要望を頂いている」と示されています。市長によると、地元経済界有志から国策への貢献や地域の持続的発展の両面を図る観点から文献調査に関する要望書が提出されていました。なお、これらは一部有志による要望であり、市民全体の合意形成や受け入れ意向を示すものではありません。

 国からの申し入れに対し、常陸大宮市の鈴木定幸市長は「重く受け止め、国策に貢献することの意義を少なからず感じる」とのコメントを発表しました。同時に「調査もしていない段階で、最終処分そのものの実施の是非を考えることができない」と指摘し、地下環境の適性に関する情報を得る第一歩として文献調査を位置付けています。今後は市議会において国やNUMOによる説明と質疑の場を設け、意見を丁寧に聴きながら市の将来にとって最善の対応を検討するとしており、現時点で市が調査受け入れを決定したわけではありません。

 一般的関心の高い文献調査の性質について、経済産業省は申入書の中で「処分地選定に直結するものではない」と説明しています。文献調査は既存の文献やデータから自然現象や地質構造を調べる段階であり、地域での議論を深めるための「対話活動の一環」として位置付けられています。さらに、次の段階である「概要調査地区」の選定においては、法律に基づき都道府県知事および市町村長の意見を十分に尊重することが定められており、経済産業大臣が地元首長らの意見に反して選定を進めることはない旨も明記されています。

 一連の手続きは、8月21日に国が常陸大宮市へ説明打診を行うと同時にNUMOへ調査見込みを確認し、8月24日のNUMOの回答を経て、8月31日の大臣による正式申し入れへと段階を踏んで進められました。

 国による正式な申し入れが行われた常陸大宮市ですが、現段階では市が文献調査の受け入れを決めたわけではなく、最終処分地の決定でもありません。今後は国とNUMOによる市議会等での説明を踏まえ、どのような議論が行われ、市が文献調査の実施についてどのような判断を示すかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)