「ソフトウェア自体はPL法の対象外」見直し焦点に 消費者委、迅速な検討求める

2026年09月01日 09:08

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製品のデジタル化が進む中、消費者委員会は製造物責任法(PL法)の在り方について迅速に検討するよう消費者庁に求めた。写真はイメージ

今回のニュースのポイント

消費者委員会は8月27日、製品のデジタル化や越境EC(電子商取引)の拡大といった社会環境の変化を踏まえ、製造物責任法(PL法)の在り方について迅速に検討を進めるよう消費者庁に求めました。現行のPL法では製造物が「製造又は加工された動産」と規定されているため、ソフトウェア自体のような無体物が対象外となっている点を課題として提示。被害者の立証負担や海外法制との格差も挙げ、制度の見直しに向けた検討を促しています。

本文
 家電製品や機械設備などの高度なデジタル化が進み、製品の安全性や機能がソフトウェアに大きく依存するようになる中、現行の事故対応ルールに対する課題が浮き彫りになっています。消費者委員会は8月27日に公表した意見書において、デジタル化や流通の国際化に対応するため、製造物責任法(PL法)の在り方について迅速に検討を進めるよう消費者庁に求めました。

 1994年(平成6年)に成立したPL法は、製品の欠陥によって生命、身体、財産に被害が生じた場合における製造業者などの損害賠償責任を定めた法律です。しかし、同法における「製造物」の定義は「製造又は加工された動産」とされており、ソフトウェア自体のような無体物は法的な対象外となっています。製品に不具合が生じた際、原因が物理的な構造ではなくソフトウェア側にある場合、現行のPL法上の責任枠組みでは捉えにくいという問題が生じています。

 社会環境の変化による課題は、製品のデジタル化にとどまりません。消費者委員会は、製品流通の国際化や越境ECの発展に伴い、海外の製造業者に対する責任追及が困難となるケースがあることも指摘しました。国境を越えた取引が一般的になる中で、問題発生時の責任主体が見えにくくなる状況は、消費者に不利益をもたらすだけでなく「公正な市場環境を維持する観点からも極めて重要な課題」と位置付けています。

 さらに、訴訟実務における課題も挙げられました。訴訟実務では、欠陥の有無や損害との因果関係の立証について、消費者に重い負担が課されていると委員会は指摘しています。今回の指摘を整理すると、「①何を製造物とするか(対象範囲)」「②誰が責任を負うか(責任主体)」「③被害者側の立証負担」という複数の論点が浮かびます。

 海外での動きとして、資料ではEUにおける制度見直しの動向にも言及しています。EUでは製造物責任の対象物や責任主体の範囲拡大に加え、被害者側の立証負担を軽減する方向で検討が進められています。消費者委員会は、仮に海外でそうした法改正や運用がなされた場合、日本の現行法との間に保護水準の格差が生じることを懸念材料として挙げました。

 今回の意見表明は、直ちにPL法が改正されることや、特定の規制変更が決まったことを意味するものではありません。製品のデジタル化、流通の国際化、訴訟実務の実態、海外法制の動向を踏まえ、消費者委員会が消費者庁へ「法制度の在り方を迅速に検討すること」を促した段階です。

 製品のデジタル化が進んでも、現行PL法ではソフトウェア自体のような無体物は「製造物」の対象外とされています。越境ECの拡大や、被害を受けた消費者の立証負担といった課題も重なる中、1994年に成立したPL法を現在の製品・流通環境にどう対応させていくか、今後の行政における検討の行方が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)