生成AIの推論処理を支えるデータセンターのイメージ。ソフトフロントホールディングスは、国内で賃借するデータセンターに自社の推論基盤を構築し、トークン処理能力を主に法人向けに提供する『Token Factory事業』を2027年1月に開始・稼働する予定(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
ソフトフロントホールディングスは8日、既存の「AIデータセンター事業」の一環として、生成AIの推論処理能力を法人向けに提供する「Token Factory事業」を開始すると発表しました。国内で賃借するデータセンターに自社で推論基盤を構築し、APIを通じてトークン処理能力を提供する計画です。サーバーなど演算設備の取得額は概算9億2000万円で、当初計画の8億円から1億2000万円増額されました。2026年11月にデータセンター利用を開始し、2027年1月の事業開始・稼働を目指します。
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生成AIが急速に普及するなか、巨大なAIモデルを構築する学習段階だけでなく、実際に学習済みモデルを実務で活用する「推論」段階における計算資源の確保が重要な課題となってきています。ソフトフロントホールディングスは8日、国内で賃借するデータセンター内に自社で生成AIの推論基盤を構築し、法人顧客向けにその処理能力を提供する「Token Factory事業」を開始すると発表しました。
一見すると物理的な製造工場を連想させる「Token Factory」という名称ですが、何らかの製品を組み立てて出荷するわけではありません。同社が賃借する国内データセンター内にサーバーなどの演算設備を自社で設置し、生成AIの推論処理を行うための計算基盤を作り上げます。その演算能力を同社または販売パートナーを経由し、主に法人顧客へ提供する仕組みです。なお「Token Factory」は独立した新しい事業区分ではなく、従来から開示している「AIデータセンター事業」を構成する具体的な施策の一つであり、事業区分の名称変更はありません。
■「学習」の後に不可欠となる「推論」の計算資源
生成AIでは、モデルを学習させる段階だけでなく、学習済みモデルを実際のサービスや業務で利用する際にも「推論」と呼ばれる計算処理が発生します。ユーザーが入力を行い、AIが回答などの出力を生成する際には、推論処理のための計算が発生します。生成AIの利用拡大に伴い、この推論処理に必要な演算資源を安定的かつ効率的に供給できる基盤の重要性が高まっています。
生成AIのサービスにおいて、文章などを処理する際の基本単位となるのが「トークン」です。多くの推論APIでは、入力や出力などの処理量をトークン数として測定し、利用量に応じて課金する仕組みが採用されています。同社が「Token Factory」を通じて提供しようとしているのは、単語や文字そのものの販売ではなく、トークンを単位として計測される推論処理を支える演算能力そのものです。
■自社保有による基盤構築、当初計画から1.2億円の増額
Token Factory事業の開始に伴い使用するサーバーなど演算設備一式の取得価額は、概算で9億2000万円を見込んでいます。同社は2025年1月時点で「AIデータセンター事業に係る設備投資資金」として8億円を計上していましたが、導入する設備の構成や調達条件などを具体的に精査した結果、予定額を1億2000万円上回る見通しとなりました。
この超過分となる1億2000万円については、同日公表された資金使途の変更により、既存のコンタクトセンター向け事業の強化に予定していた資金の一部をAIデータセンター関連の設備投資へ振り替えて充当するとしています。新たな外部調達によって資金総額を増やすのではなく、すでに手元にある調達資金の配分を変更して投資額を確保する形です。
推論基盤を外部の事業者から都度調達するのではなく、自社で構築・保有する理由について同社は、サービスの安定供給やコスト競争力の向上、稼働実績の蓄積、さらには取引機会の拡大につながるためと説明しています。外部調達と比較して安定的かつ低コストで提供できるとしていますが、具体的にどの程度のコスト削減効果が生じるかを示す数値は公表されていません。
■2027年1月稼働開始予定、業績への影響は精査中
スケジュールとしては、2026年9月8日の取締役会決議を経て、2026年11月にデータセンターの利用を開始し、2027年1月の事業開始・稼働を予定しています。売上計上は2027年3月期第4四半期からを見込んでいますが、同期の連結業績に与える具体的な影響額については現在精査中としています。なお、同社が検討を進めてきたGPUレンタル業務等については、引き続き事業化に向けた取り組みを継続するとしています。
今回の発表資料では、導入するGPUの具体的な機種や搭載台数、推論基盤の総処理能力、1秒当たりのトークン処理性能、サービス利用料金、契約済み顧客数などの詳細は明かされていません。
生成AIが企業実務に組み込まれ、利用者が入力を行い、回答などを生成させるたびに必要となる計算資源。ソフトフロントホールディングスが打ち出した「Token Factory」が、実際にどの程度の処理能力を備え、どのような価格設定でどれだけの法人顧客を獲得できるのか。2027年1月の稼働に向けた具体的な設備スペックや顧客開拓の進捗が、今後の確認材料となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













