今回のニュースのポイント
デジタル庁が運用する「国家資格等情報連携・活用システム」について、有識者会議が参加資格数だけでなく実際の利用状況を着実に評価すべきだと改善を求めました。同システムはマイナンバー制度を活用し、国家資格の登録や氏名変更などのオンライン申請、オンライン決済、添付書類の省略、デジタル資格者証などを実現する共通基盤です。2026年7月時点で22の国家資格等が利用を開始し、108資格が準備を進めています。有識者会議の指摘を受け、デジタル庁は2026年度の行政事業レビューシートから「マイナンバー情報連携件数」を新たなKPIとして加える方針を示しました。
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国家資格に関する申請や管理事務の手続きをデジタル化する政府の取り組みに対し、実際の利活用状況に重点を置いた評価手法への転換が求められています。デジタル庁の政策評価・行政事業レビュー有識者会議は、運用の実態と将来的な見直しに向けた報告書をまとめました。
現在、多くの国家資格手続きでは、登録や氏名変更、資格の証明や提示において、紙や対面、郵送、目視による確認が中心となっています。こうしたアナログな手続きは資格保有者と資格管理者の双方にとって負担となっていました。各資格の所管省庁や団体が個別にシステムを開発することはスピードやコストの面から困難であるため、デジタル庁が共通して利用できる「国家資格等情報連携・活用システム」を構築・運用しています。
本システムを利用することで、資格保有者はマイナポータルを通じたオンライン申請やオンライン決済が可能となるほか、住基ネットや戸籍情報連携を活用することで、住民票や戸籍の写しといった添付書類の提出を省略できます。
デジタル庁によると、2026年7月時点で本システムの利用を開始しているのは22資格、利用に向けて準備を進めているのは108資格であり、合わせて130の国家資格等が利用または準備段階にあります。なお、本システムを導入するかどうかはデジタル庁が一律に決定するものではなく、各国家資格を所管する省庁の判断に基づいています。
今回の有識者会議では、事業の成果指標(KPI)に関する改善が焦点となりました。従来はシステムを利用開始した資格数を示す「利用資格件数」が主要な指標とされていましたが、有識者会議は「システムの実際の利活用状況に着目した指標が設定されるべきだ」と指摘しました。単に導入された資格数を増やすだけでなく、現場でどれだけ利用されたかを評価する視点が要求されています。
これを受けデジタル庁は、前提となる「利用資格件数」を最重要指標として維持しつつ、オンラインで手続きが行われた「利用件数(オンライン申請件数)」に加え、2026年度の行政事業レビューシートから「マイナンバー情報連携件数」を新たなKPIとして追加する方針を明らかにしました。これは住基ネットや戸籍関係情報への照会件数を示すもので、基本的には資格保有者が住民票や戸籍の写しの取得・添付を省略できた件数に当たります。
コスト面や運用上の課題も議論されました。紙の手続きとオンライン処理が併存する期間中はシステムや事務の「二重投資」が発生する懸念があるものの、デジタル庁はオンライン操作が困難な層やマイナンバーカード未所持者の存在を考慮し、従来の手続きを完全に廃止して全面オンライン化へ即座に移行することは容易ではないとの認識を示しています。
また、システム構築・運用の費用対効果を高めるため、資格保有者や資格管理者、資格確認者といった「受益者」の範囲を整理し、将来的な利用料負担のあり方も検討項目として挙げられました。ただしデジタル庁側は、受益者が広範囲に及ぶことや、資格ごとのコスト算出の難しさ、導入初期段階での負担設定が早期利用を阻害する可能性などを挙げ、現段階での利用料徴収は簡単ではないとしています。
調達の透明性向上に向けては具体的な変化も確認されました。令和7年度(2025年度)のシステム運用・開発調達が一者応札となっていた点について有識者会議から指摘を受けたデジタル庁は、事業者への丁寧な説明や参画の働きかけを実施しました。その結果、2026年度(令和8年度)の調達では、設計・開発業務で3者、運用・保守業務で2者からの応札がありました。
デジタル資格者証の普及に向けては、各種資格で規定されている紙の資格者証の保持・提示義務の見直しに向け、総務省や関係省庁との連携が進められています。デジタル資格者証は印刷されたQRコードをスマートフォンのカメラで撮影するだけで真贋確認とデジタルデータの取得が可能な仕様となっています。
国家資格のデジタル化事業は、基盤システムの構築と対象資格の拡大という初期段階を経て、実際の申請件数や書類省略実績といった「利用の実効性」を問うフェーズへと移行しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













