今回のニュースのポイント
デジタル庁が26府省庁等を対象に行政手続の実態を調べた棚卸調査によると、調査対象となった行政手続等は7万6275種類に上った。このうち年間の手続件数が0回だったものは3万1108種類と全体の40.8%を占めた。一方、年間100万回以上利用される手続は184種類にすぎないものの、手続件数全体の95.1%を占めており、行政手続は種類と利用量が大きく偏っている実態が浮き彫りとなった。オンライン化率は53.7%まで上昇したが、その手段の42.9%は電子メールによるものであり、手数料のオフライン納付や各種証明書の添付規定など、行政手続きのデジタル完結に向けた課題も残されている。
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デジタル庁は、国の26府省庁などが所管する法令に基づく行政手続等の実態を網羅的に把握した調査結果を公表しました。対象となった7万6275種類の手続を分析すると、手続きの利用頻度の大きな偏りや、オンライン化の「質」における課題など、行政DX(デジタルトランスフォーメーション)の現状が浮き彫りとなっています。
■行政手続は7万6275種類、4割は年間利用ゼロ
今回の調査対象となった行政手続等は全7万6275種類。年間の処理件数別に分けると、利用回数が「0回」だった手続が3万1108種類と、全体の40.8%を占めました。
ただしデジタル庁は、利用ゼロの手続には災害や特殊な事案など「特定事由の発生時のみ行われる手続」が多く含まれているとしています。毎年発生するとは限らないケースに備えた手続が集中しているため、利用がないことが直ちに不必要な手続を意味するわけではありません。
■わずか184種類で手続件数全体の95.1%
一方で、利用が集中する手続を見ると対照的な構造が浮かび上がります。年間100万回以上行われる高頻度な行政手続は184種類(全体の0.2%)にすぎません。しかし、年間約33億4264万件に及ぶ総手続件数のうち、この184種類だけで全体の95.1%(約31億7808万件)を占めています。
行政手続は「種類数としては膨大で多岐にわたるが、実際に国民や企業が集中して利用するのはごく一部の手続である」という構造が存在しています。
■オンライン化率53.7%、ただし4割超は電子メール
行政DXの進捗状況を見ると、手続種類数ベースでのオンライン化率は、令和元年度調査の12.0%から今回の53.7%(4万932種類)へと上昇し、半数を超えました。年間手続件数ベースでのオンライン利用率も86.0%に達しています。
しかし、オンライン対応済みとされる手続(申請等)の実現方法を詳しく見ると、行政機関が専用システムを準備したものが56.8%であるのに対し、電子メールによるものが42.9%を占めています。オンライン化の数値が上昇する一方で、専用フォーム等で自動処理される仕組みと、メール送信による対応が混在している実態がうかがえます。
■自治体手続、対応率48.2%に対して利用率は28.9%
整備された環境と実際の利用の間のギャップも数字に表れています。住民や企業から地方自治体等への手続では、オンライン対応している手続の種類数の割合(オンライン化率)は48.2%でした。
しかし、それらの手続で実際にオンラインで処理された件数の割合(オンライン利用率)は28.9%にとどまっています。行政側がオンライン窓口を開設していても、利用者が実際にオンライン申請を選択する割合には開きが存在しています。
■手数料が必要な手続、63.1%はオフライン納付のみ
申請以外のプロセスにおけるデジタル化の遅れも課題です。手数料などの納付が必要な行政手続(3305種類)のうち、オンライン納付に対応せず「オフライン納付のみ」となっている手続が63.1%を占めました。
件数ベースで見ても全体の22.7%が窓口やATMなどのオフライン納付のみとなっており、申請自体はオンラインでできても、支払いのために窓口や金融機関へ行く必要がある構造が残されています。
■商業登記事項証明書、対応率72.8%も利用率は17.4%
また、添付書類を求める規定も根強く存在します。申請時に添付を求める規定がある手続は、商業登記の登記事項証明書で2791種類、定款で2535種類、住民票の写しで1814種類確認されました。
特に影響が大きいのは利用率との乖離です。商業登記事項証明書の添付が規定されている手続(年間約8142万件)では、手続種類数ベースのオンライン対応率が72.8%に達しているものの、実際の件数ベースのオンライン利用率は17.4%にとどまっています。
制度上オンライン対応が進んでいても、実際の利用が同じ割合でオンライン化しているとは限らず、対応状況と利用実態の間に大きな差があることが分かります。
■「オンライン対応」から「一連の手続デジタル化」へ
デジタル庁は今回の調査で、高頻度手続のオンライン化は概ね完了したとする一方、今後は添付書類の省略(ワンスオンリー原則)を軸に、行政機関間のデータ連携などを進める必要があるとしています。手数料についても、オンライン納付環境の整備が求められるとしています。
7万6275種類に及ぶ調査結果は、単に「ネットで申請できるか」という入口の整備にとどまらず、支払いや添付書類、利用実態を含めた「手続全体のデジタル化」をどう達成するかという、行政DXの次の課題を提示しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













