道路の穴やひび割れ、走るだけでAI点検 既存車両に搭載

2026年09月02日 12:25

今回のニュースのポイント

IoTソリューションを手掛けるエコモットは9月1日、道路維持管理向けAIソリューション「Miruroad(ミルロード)」の本格提供を開始しました。道路巡回車など既存の車両に通信型ドライブレコーダーを取り付け、走行中の映像をエッジAIでリアルタイム解析する仕組みです。路面のひび割れや平たん性を示すIRI、ポットホール(穴ぼこ)などを検知し、クラウド上で道路状態を一元管理します。2026年3月から北海道内5カ所の道路巡視業務ですでに先行導入されているほか、現場作業の省力化を図る新サービスとして展開されます。

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 既存のインフラ維持管理において、点検や巡回作業の効率化が大きな課題となるなか、巡回車両の走行映像を活用して路面状態を可視化する新しいAIサービスが登場しました。

 エコモットが提供を開始した「Miruroad(ミルロード)」は、道路巡回車などの既存車両に通信型ドライブレコーダーを設置し、普段の巡回走行を行いながら路面の異常を自動検出するAIソリューションです。走行中に取得した映像データをエッジAIによって解析し、路面の「ひび割れ率」、平たん性を示す指標である「IRI(国際ラフネス指数)」、舗装表面に発生した「ポットホール(穴)」などを識別します。

 本サービスの最大の特徴は、専用計測車両を用意せず、既存の巡回車両を活用できる点にあります。解析されたデータはクラウド上に蓄積され、地図上で路面状態を継続的に把握・管理することが可能です。従来は巡回員が目視で確認し、手作業で記録していた作業の一部をデジタル化・自動化することで、巡回業務の負担軽減とデータ管理の高度化を両立させます。

 実務への適用もすでに進んでいます。Miruroadは、正式提供に先立つ2026年3月から、北海道内の5カ所における道路巡視業務へ先行導入されています。実証実験(PoC)の段階にとどまらず、実際の道路巡視現場で稼働している実績を伴っての本格提供となります。

 また、本技術に関しては行政側の評価結果も公表されています。国土交通省中部地方整備局の現場試行評価では、従来の巡視員による目視確認との対比検証が行われました。その結果、経済性、安全性、施工性の3項目で「A(従来技術より極めて優れる)」、工程と品質・出来形で「B(従来技術より優れる)」、環境で「C(従来技術と同等)」との評価を獲得し、総合評価では「NETIS(新技術情報提供システム)登録に十分な技術である」と判定されています。なお、Miruroadは2026年4月から国土交通省の「点検支援技術性能カタログ【舗装編】(令和8年版)」にも掲載されています。

 一方で試行データによると、道路異常箇所の抽出におけるAIの検知率は約60%とされています。AIによる一次検知後には、人が映像を確認して誤検知をスクリーニングする工程も示されているほか、緊急を要する事故損傷箇所などはシステム導入後も現地調査との併用が前提とされています。AIが巡回作業を完全に代替するのではなく、目視巡回と相互補完しながら省力化を図る実用段階の技術として位置づけられています。

 提供価格は税別で、ドライブレコーダーなどの機器を含む初期費用が1台あたり30万円、月額利用料が1台あたり8万3000円に設定されています。月額料金には通信費が含まれており、計測距離や静止画アップロード容量は無制限となっています。これには、ひび割れ率やIRI、ポットホールの解析機能、クラウド管理システムの利用権が含まれます。

 高度経済成長期に整備された道路インフラの老朽化が進む一方、維持管理を担う現場の人手不足は深刻化しています。今回のサービスは、人間が行ってきた道路巡回や記録作業をデジタル技術で効率的に補助する取り組みといえます。同社は今後NETISへの登録を目指すとともに、全国の自治体や道路管理事業者向けに導入を推進していく方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)