防衛三文書、年内改定へ 高市首相「AI・無人機」を主要課題に、民間連携の重要性指摘

2026年09月03日 08:05

防衛省幹部への訓示

高市早苗首相は9月2日、自衛隊指揮官幹部会同で訓示。防衛三文書を年内に改定し、AIや無人機の活用などを主要課題として検討する考えを示した(写真:首相官邸HPより)

今回のニュースのポイント

高市早苗首相は9月2日、自衛隊最高幹部らを前に訓示し、現行の「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の防衛三文書を2026年中に改定し、防衛力強化の新たな方向性を打ち出す方針を示しました。2022年の策定から4年足らずで安全保障環境が変化したとして、各国が進めるAI活用や無人機の大量運用体制構築、事態長期化への備えを挙げ、改定検討における主要な課題と位置付ける考えを表明しました。あわせて宇宙、サイバー、電磁波といった領域の徹底活用や、民間企業・研究機関との連携の重要性も指摘しました。

本文
 高市早苗内閣総理大臣は2026年9月2日、防衛省で開催された自衛隊指揮官幹部会同において訓示を行い、現行の防衛三文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を2026年中に改定する方針を明言しました。

 現行の三文書は2022年に策定されたものですが、高市首相はそれから4年足らずの間にも安全保障環境が一段と複雑化しているとの認識を示しました。その上で、諸外国においてAIの活用や無人機の大量運用を可能とする体制の構築、事態の長期化への備えが急速に進められている点を挙げ、日本としても年内の三文書改定の検討においてこれらを主要な課題として位置付ける考えを打ち出しました。

 今回の訓示において技術面での核心となったのが、新技術の導入スピードと組織・制度のあり方に関する指摘です。高市首相はAIや無人アセットについて「従来型の装備とは進歩のスピードが全く異なる技術」と定義。技術の活用に向け、導入のスピード感を高めることは当然とした上で、既存の組織や制度のままで新技術を受け止められるのかを不断にチェックする必要性を強調しました。さらに、現場の隊員が組織変革の必要性にいち早く気づき、幹部がそれを実行に移す「好循環」の重要性を提示しました。

 また、防衛力の強化に向けた専門領域として、伝統的な陸・海・空の装備にとどまらず、AI、無人アセット、宇宙、サイバー、電磁波といった高度な専門領域を理解し、徹底的に活用していく必要があると述べました。

 これらの新領域を活用・展開していくための体制として、高市首相は省庁間や地域の枠組みにとどまらず、民間企業や研究機関との連携が「これまで以上に重要になる」と指摘しました。専門家や現場の知恵を結集し、これからの時代に必要な防衛力のあり方を議論・実行していく構えを示しています。

 組織運営の面では、パナソニック創業者の松下幸之助氏による「衆知を集める」との理念を引き合いに出し、厳格な指揮命令系統を持つ実力組織だからこそ、意識的に現場の声を吸い上げて組織革新につなげる仕組み作りが不可欠であると指摘しました。

 なお、予算面においては「十分な予算を確保し、優れた装備品を備えたとしても、最後にそれを動かすのは『人』である」とし、自衛官の処遇改善などを通じた環境整備を進める方針を語りました。ただし、今回の訓示では将来の防衛予算の具体的な金額や、AI・無人機といった特定分野への予算配分額などは示されていません。

 2022年策定から4年足らずで着手される三文書の改定に向け、AI・無人アセットの活用や民間・研究機関との連携の重要性、さらには組織・制度の変革といった多角的な論点が提示されました。年内に予定される改定作業において、これらの方針が具体的な装備計画や研究開発体制、制度設計へとどのように落とし込まれていくかが今後の焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)