重工3社そろって大幅増益 航空・防衛需要拡大、川重・IHIは上方修正

2026年08月18日 12:07

防衛

航空・防衛需要の拡大などを背景に、重工大手3社がそろって大幅増益。川崎重工とIHIは通期業績予想を上方修正した。(画像:イメージ)

今回のニュースのポイント

三菱重工業、川崎重工業、IHIの重工大手3社の2027年3月期第1四半期決算は、そろって増収・大幅増益となりました。世界的な航空機需要の回復や防衛関連需要の拡大が共通の追い風となる一方、三菱重工はエネルギー、川崎重工はパワースポーツやロボット、IHIは原子力やライフサイクルビジネスなど、それぞれ異なる事業も利益拡大を支えました。川崎重工とIHIは通期最終利益予想を上方修正しており、複数の成長市場を抱える重工各社の収益拡大が鮮明になっています。

■ 重工3社そろって増収・大幅増益

 国内の重工大手3社の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)連結決算が出そろいました。三菱重工業、川崎重工業、IHIの3社はいずれも売上収益が前年同期比で1割以上増加し、主要利益指標も大幅に伸びました。

 売上収益と主要利益指標をみると、三菱重工は売上収益が前年同期比15.5%増の1兆1,942億円、本業の収益力を示す事業利益が同65.1%増の1,596億円となりました。川崎重工は売上収益が同11.3%増の5,435億円、事業利益が同74.3%増の357億円、親会社所有者帰属の四半期利益(最終利益)が同269.0%増(前年同期の約3.7倍)の156億円へ拡大しました。IHIも売上収益が同10.9%増の3,745億円、営業利益が同250.5%増の732億円、最終利益が同361.3%増(約4.6倍)の535億円を記録しました。3社に共通しているのは航空・防衛分野の需要拡大ですが、今回の決算ではそれ以外の主力事業も着実に利益を押し上げており、重工各社が展開する幅広い事業ポートフォリオの強さが浮き彫りとなりました。

■ 共通の追い風は「航空・防衛」

 3社の業績を底上げした第1の共通要因は、世界的な「航空・防衛」需要の高まりです。世界的な民間航空需要の回復と、防衛関連需要の拡大という二つの追い風を3社が取り込んでいます。

 三菱重工では「航空・防衛・宇宙」セグメントの事業利益が324億円となりました。川崎重工でも航空宇宙システム事業の売上収益が前年同期比35.5%増の1,376億円、事業利益が同101.2%増の16億円と力強い回復を見せました。IHIでも主力の「航空・宇宙・防衛事業」が291億円(前年同期は279億円)の高水準な営業利益を維持しました。民間向け航空エンジンのスペアパーツ販売や、防衛需要の拡大が安定した収益基盤として全社の業績を下支えしています。

■ 同じ重工でも異なる「もう一つの成長エンジン」

 今回の決算の際立った特徴は、航空・防衛という共通軸の横に、各社固有の「もう一つの成長エンジン」が強固に機能している点です。

 三菱重工の最大の牽引役となったのは「エナジー」セグメントです。事業利益が前年同期の564億円から1,013億円へと大幅に増加し、全社利益の6割以上を稼ぎ出しました。エネルギー関連事業の収益拡大が全社利益を大きく押し上げました。

 川崎重工では「パワースポーツ&エンジン」事業が業績を引っ張りました。事業利益は前年同期比139.1%増の192億円へ伸長しました。さらに「精密機械・ロボット」事業の事業利益も同124.5%増の52億円へと急拡大し、複層的な事業が利益拡大に寄与しました。

 IHIでは、「原子力」や国内カーボンソリューション・原動機事業におけるライフサイクルビジネス(保守・点検・改修など)の拡大が利益を押し上げました。資源・エネルギー・環境事業の営業損益が前年同期の赤字から28億円の黒字へ転換するなど、本業の改善が進んでいます。

■ 利益急増の中身には事業ごとの濃淡も

 全般に好調な決算となった重工3社ですが、利益急増の中身やセグメントごとの動きには精査すべき点もあります。

 特に大幅な営業増益(前年同期比250.5%増)となったIHIの決算には、東京都江東区の不動産一部譲渡に伴う利益約400億円が含まれています。不動産譲渡による一時的な利益が営業利益を押し上げた側面がある一方、航空・宇宙・防衛事業が高水準の利益を維持したほか、資源・エネルギー・環境事業が黒字転換するなど、本業側にも改善がみられました。

 また、川崎重工でもパワースポーツや航空宇宙が大幅増益となった一方で、「車両」事業は売上収益が同8.9%増の601億円となったものの、事業利益が同86.9%減の4億円にとどまるなど、すべての事業が一様に伸びているわけではありません。

■ 川重・IHIは上方修正、三菱重工は据え置き

 足もとの好調な進捗を受け、通期の業績予想では判断が分かれました。

 川崎重工は、親会社所有者帰属の通期当期利益予想を従来の1,100億円から1,150億円(前期比6.3%増)へ上方修正し、過去最高益の見通しを引き上げました。IHIも不動産売却益の計上や本業の好調を踏まえ、通期当期利益予想を従来の1,100億円から1,720億円(同6.8%増)へと大幅に上方修正しました。一方、第1四半期で高い進捗を示した三菱重工は、通期の売上収益5兆4,000億円、事業利益5,400億円、当期利益3,800億円の計画を据え置きました。

 重工大手3社には、安全保障環境の変化や航空需要の回復を背景とした共通の強い追い風が吹いています。今後はこうした追い風を取り込みながら、各社が抱えるエネルギー、モビリティ、ロボット、原子力といった固有の事業基盤をどこまで収益成長につなげられるかが、通期業績の達成に向けた焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)