今回のニュースのポイント
日立製作所は27日、製造業のサプライチェーンにおいて、営業、生産管理、調達など複数部門のAIエージェントを連携させ、注文変更や納期調整に伴う部門間のスケジュール調整を自動化・最適化する「AIオーケストレーション技術」を開発したと発表しました。部材在庫、設備リソース、現場の許容残業時間、過去の顧客交渉実績などを総合的に考慮し、実際の現場で実行可能な計画案をAIが提示します。最終的な判断や決定は人が行う仕組みとし、2027年中に製造業向けソリューション「HMAX Industry」のラインアップとして提供を開始する予定です。
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株式会社日立製作所は27日、製造業のサプライチェーン全体において、注文変更や納期調整が発生した際の部門間スケジュール調整を自動化・最適化する「AIオーケストレーション技術」を開発したと発表しました。営業、生産管理、調達など部門ごとに導入されている個別のAIエージェントを連携・統括し、これまで手作業で行われていた複雑な部門間のすり合わせ業務をAIが自律的に支援します。
製造現場では、顧客から急な納期前倒しや特急注文が入った場合、営業部門の判断だけでは対応できず、関係部門が手作業で複数のシステムを確認しながら調整を行う必要がありました。今回日立が開発した技術では、各部門のAIエージェントが連携して情報を処理します。例えば、営業AIが「顧客の重要度や過去の納期遅延の許容実績」を確認する一方、生産管理AIは「現在の在庫数や追加生産に必要な現場の残業時間」を瞬時に算出します。それぞれのAIが持つ情報をAIオーケストレーション技術が統括し、個別部門の部分最適にとどまらない全社横断での最適なスケジュール案を導き出します。
技術面における大きな特徴は、汎用的な大規模言語モデル(LLM)の推論のみに依存しない点にあります。中核には、日立の計画最適化サービス「MLCP(Machine Learning Constraint Programming)」で実績のある「数理最適化×機械学習」の融合技術を採用しました。実際の製造現場では、部材在庫や設備の稼働能力、作業リソース、許容できる残業時間、エネルギー制約など、多様で複雑な条件を満たす必要があります。こうした制約条件に対応してきた日立独自のノウハウを組み込むことで、AIが単にもっともらしい回答を生成するだけでなく、実際の工場や現場設備、作業リソースなどを踏まえ、実効性の高いスケジュール変更案を短時間で立案します。
また、人とAIの適切な役割分担が組み込まれている点もポイントです。AIが作成した計画案は、実行上のメリットおよびデメリットとともに人に提示され、最終的な確認や方針の決定は人が行います。たとえば、「追加の残業は発生するものの、過去の実績の範囲内で顧客と納期交渉が可能であり、現場でも実行できる」といった評価結果が提示されます。人が「納期をさらに短縮してほしい」などの条件を入力すれば、AIが即座に再調整を行って新たな計画を提示します。交渉ログや判断根拠を記録として蓄積することで、現場の納得感と安全性を確保しながら、業務の属人化解消や技術継承、さらには説明可能で監査にも耐えうる運用につなげる考えです。
日立は今後、幅広い顧客企業とのPoC(概念実証)を進め、実際の製造現場における試験運用や機能拡張を行います。さらに、企業全体の経営資源を管理するERPや工場の生産ラインを管理するMESなどの周辺業務システムとの連携を強化。将来的には、製造装置やロボットなどの「フィジカルAI」も含め、サイバー空間からフィジカル空間までのデータ収集、判断、現場への実行指示を一気通貫で支援する構想を描いています。新技術は2027年中に次世代ソリューション群「HMAX Industry」のラインアップとして提供開始する予定です。
企業内で個別のAIエージェント導入が進むなか、次の課題となるのがそれら複数のAIをいかに束ねて連携させるかです。日立の新技術は、営業や生産、調達といった各部門のAIを統括し、従来は人が担ってきた部門間の「調整」まで支援対象を広げる試みといえます。実際の製造現場において、どこまで調整時間を短縮し実効性のある計画を提示できるか、今後のPoCや導入事例の積み上がりが評価の材料となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













