ECB、政策金利0.25%引き上げ 26年物価3.0%、中東情勢でインフレ圧力

2026年09月13日 15:15

画・欧州経済、第2波到来も大規模ロックダウンなし。消費は前年水準に回復もGDPは大幅減の見通し。

ユーロを象徴するモニュメント。ECBは9月10日、3つの主要政策金利をそれぞれ0.25ポイント引き上げることを決定した

今回のニュースのポイント

欧州中央銀行(ECB)理事会は9月10日、3つの主要政策金利をそれぞれ0.25ポイント引き上げることを決定しました。9月16日から預金ファシリティ金利は2.50%、主要リファイナンス金利は2.65%、限界貸出ファシリティ金利は2.90%に改定されます。ECBは決定の理由として、中東での紛争が引き続きインフレ圧力を生み出しており、物価上昇率が目標である2%を長期間にわたって上回る見通しであることを挙げています。改定されたスタッフ見通しでは、ユーロ圏の総合インフレ率が2026年3.0%、2027年2.5%、2028年2.1%と試算されました。一方でECBは、特定の金利経路には事前にコミットせず、今後も会合ごとにデータに基づいて判断するアプローチを維持する方針を示しています。

■ ECBが3政策金利を0.25%引き上げ

 欧州中央銀行(ECB)理事会は9月10日、金融政策会合を開き、3つの主要政策金利をそれぞれ0.25ポイント(25ベーシスポイント)引き上げることを決定しました。変更後の政策金利は9月16日から適用されます。

 具体的には、政策判断の中心となる預金ファシリティ金利が2.25%から2.50%、主要リファイナンスオペ金利が2.40%から2.65%、限界貸出ファシリティ金利が2.65%から2.90%へ引き上げられます。ECBは声明の中で、中東での紛争が引き続きインフレ圧力を生み出していると指摘しました。物価上昇率が中期目標である2%を上回る状態が長期化する見通しとなったことが利上げの根拠として提示されています。

■ 26年物価3.0%、27年2.5%、28年2.1%

 利上げ決定の裏付けとなったのが、同時に公表されたECBスタッフによる最新の経済・物価見通しです。

 ユーロ圏の総合インフレ率(前年比)についてスタッフ予測は、2026年が3.0%、2027年が2.5%、2028年が2.1%と試算しました。ECBが目標とする2.0%を2028年に至るまで年間平均ベースで上回る予測シナリオとなっています。前回6月時点の予測と比較すると、2026年は同水準に据え置かれたものの、2027年および2028年の数値が上方修正されました。

 エネルギーと食品を除いたインフレ率についても、2026年が2.5%、2027年が2.6%、2028年が2.3%と予測されており、2028年まで年間平均で2%を上回る予測となっています。

■ 景気は26年0.9%成長、政策金利は0.25%引き上げ

 一方、ユーロ圏の実質経済成長率に関するスタッフ予測は、2026年が0.9%、2027年が1.4%、2028年が1.5%となりました。

 2026年の実質成長率予測は0.9%と緩やかな伸びにとどまる一方、ECBは政策金利を0.25ポイント引き上げる判断を下しました。なお、2026年と2027年の成長率予測自体は、直近のユーロ圏経済の実態が想定以上に底堅く推移したことを反映して上方修正されています。ECBは成長率の見通しに下振れリスク、インフレ見通しには上振れリスクがあるとしています。

■ ECBが警戒する「二次的影響」

 ECBは声明において、経済・物価の先行きに関するリスク評価を提示しました。物価については上振れリスクが意識される一方、経済成長については下振れリスクが存在すると説明しています。

 ECBはエネルギーショックの強さや継続期間に加え、間接的影響や二次的影響(second-round effects)によって、成長率とインフレ率が異なる経路をたどる可能性を示しています。中東情勢やエネルギーショックが成長と物価にどのように波及するかが、今後の政策判断をめぐる重要な確認点となります。

■ 次も利上げとは言っていない

 今回の25bp利上げの実施によって、今後の連続的な利上げ経路が確定したわけではありません。

 ECBは今後の政策金利の方向性について、あらかじめ特定の金利水準や引き上げペースを約束する事前コミットメントを行わない姿勢(not pre-committing to a particular rate path)を明言しています。今後の会合においても、入手される経済・金融データ、インフレの基調的な動向、および金融政策の伝達状況を点検し、会合ごとに(meeting-by-meeting)適切な水準を決定するデータ依存(data-dependent)のアプローチを堅持する方針です。

■ ECBは利上げ、日銀は17〜18日に判断

 主要中央銀行の動向に目を向けると、ECBが9月10日に中東情勢によるインフレ圧力を理由の一つとして0.25ポイントの利上げを決定した一方、日本銀行は9月17日、18日に金融政策決定会合を控えています。

 各中央銀行の政策は各国の経済・物価環境に基づいて個別に決定されますが、中東情勢やエネルギー価格の動向が物価上振れリスクとして点検対象となっている点は共通しています。中東情勢がもたらすインフレ圧力とエネルギーショックが物価と景気にどこまで波及するのか、政策金利を引き上げたECBの判断と、17日から始まる日銀決定会合でのリスク評価および政策判断が今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)