英国GDP、7月0.4%増 コンピューター関連3.5%増、AI・クラウド企業も

2026年09月14日 11:16

ロンドン

英国・ロンドンの街並み。2026年7月の実質GDPは前月比0.4%増となった。コンピュータープログラミング、コンサルティングなどの関連活動は3.5%増となり、ONSは大きな売上高を報告した企業の多くがAIやクラウド関連活動に関与していたと説明している。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国国家統計局(ONS)が発表した2026年7月の実質国内総生産(GDP)速報値は、前月比0.4%増となりました。サービス、生産、建設の主要3部門がそろって増加しました。なかでも情報・通信部門の中の「コンピュータープログラミング、コンサルティングおよび関連活動」が3.5%増となり、実質GDP全体を0.12ポイント押し上げました。ONSは大きな売上高を報告した企業の多くにAIやクラウド関連活動がみられたと言及しつつも、AI等による正確な影響額の定量化は困難であるとしています。一方、消費者向けサービスは0.4%減となるなど、分野ごとの斑模様も存在します。

本文
 英国国家統計局(ONS)が公表した2026年7月の実質国内総生産(GDP)速報値は、前月比0.4%増となりました。6月の0.3%増に続くプラス成長であり、5月の横ばいから推移しています。前年同月比では1.6%増となりました。また、直近3カ月(5月〜7月)と前3カ月(2月〜4月)との比較においても実質GDPは0.4%増となり、3カ月ベースの比較では8期連続のプラスを記録しています。

 7月の伸びを牽引したのは、主要3部門全体の増加です。部門別の前月比では、サービス部門が0.4%増、生産部門が0.2%増、建設部門が0.1%増となりました。英国経済の主力であるサービス部門では、14業種中8業種がプラスとなりました。そのなかでも高い伸びを示したのが2.4%増となった「情報・通信」です。特に同分野内の細分類である「コンピュータープログラミング、コンサルティングおよび関連活動」は前月比3.5%増を記録しました。ONSの試算によると、この「コンピュータープログラミング、コンサルティングおよび関連活動」単体でサービス部門の伸びを0.14ポイント、実質GDP全体の伸び(0.4%)を0.12ポイント押し上げる寄与となりました。

 このコンピューター関連業種の伸びについて、ONSはこの分野について、AI・クラウド関連企業にも言及しています。同機関によると、7月に大きな売上高を報告した対象企業の多くが、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングに関連する業務活動に関与していたとするデータ上の傾向を提示しました。ただし、ONSは同時に、現行のデータ収集方法の性質上、AIやクラウド関連の活動自体が売上高の増加に対してどの程度の具体的な影響を与えたかを正確に定量化することは困難であるとも明記しています。したがって、「コンピューター関連業種がGDPを0.12ポイント押し上げた」という産業分類上の事実と、「大きな売上高を報告した企業の多くがAI・クラウド関連活動に関与していた」というONSの指摘とは、分けて捉える必要があります。

 サービス部門以外の動きを見ると、製造業を含む生産部門でもデジタル技術に関連する分野の伸びがみられます。7月の製造業は全体で前月比0.9%増となり、13業種中8業種が増加しました。押し上げの最大の要因となったのは「コンピューター・電子・光学製品」の5.2%増であり、次いで「医薬品」が3.4%増となりました。ただし、これらの製造業の数値に関してONSはAI関連需要との直接的な因果関係についての言及は行っていません。

 一方で、経済全体が一様に好調なわけではありません。7月の「消費者向けサービス」は前月比0.4%減となりました。内訳を見ると、宿泊業が2.6%増となった一方で、小売業は0.5%減となるなど、消費者向けサービスの内部でも動きが分かれました。さらに、直近3カ月(5〜7月)の比較では、サービス部門が0.6%増となった一方、生産部門は0.5%減、建設部門も0.5%減となっており、3カ月ベースでの経済成長は実質的にサービス部門の伸びによって支えられている構図が浮かび上がります。

 7月の英国GDPは0.4%増となり、主要3部門がそろって前月を上回る結果となりました。その背景には、3.5%増を示したコンピュータープログラミング等の業種による押し上げ効果が存在し、大口企業におけるAI・クラウド関連の活動への関与も報告されています。ただし、AI・クラウド関連活動が売上高に与えた正確な影響はONSの統計からは定量化できず、今後も継続的なデータ確認が必要です。AI・クラウド関連活動に関わる企業の動きが、今後の情報・通信分野の統計にどう表れるのか。次回10月15日に公表される8月GDP速報値において、情報・通信を含むサービス部門の推移や他部門の動向が引き続き確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)