国債残高1104兆円、金利上昇で利払費9.1兆円に 税収84.2兆円で財政収支改善も負担拡大

2026年11月06日 07:04

国会議事堂15

国会議事堂。会計検査院の2025年度決算検査報告では、普通国債残高と利払費の増加が示された(資料写真)

今回のニュースのポイント

会計検査院が2026年11月5日に首相へ手交した「令和7年度決算検査報告」によりますと、2025年度末の普通国債残高は前年度末比24.5兆円増の1104.2兆円、国債の利払費は同1.1兆円増の9.1兆円となりました。租税・印紙収入が84.2兆円に拡大し基礎的財政収支(PB)などの収支改善が進んだ一方、金利上昇と巨額の残高累増により利払い負担が増加するという、財政指標の改善と負担増が併存する構造が示されました。

本文
 会計検査院は2026年11月5日、2025年度(令和7年度)決算検査報告を取りまとめ、首相に手交しました。同報告書の「国の財政等の状況等」によりますと、利払い・償還の財源が主として税収等で賄われる普通国債の残高は、2025年度末に1104.2兆円に達し、前年度末の1079.7兆円から24.5兆円増加しました。また、国債の利払費は前年度比1.1兆円増の9.1兆円へと拡大しました。税収の拡大により基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)などの財政収支指標には改善がみられる一方、積み上がった巨額の国債残高と普通国債の利率加重平均の上昇が、利払い負担を着実に押し上げる構図が示されています。

 歳入面をみますと、税収の伸びが財政収支の改善を牽引しました。2025年度の租税及印紙収入は84.2兆円となり、前年度の75.2兆円から8.9兆円増加しました。これに伴い、国と地方の基礎的財政収支を示す国・地方PBは0.2兆円の赤字となり、前年度の11.3兆円の赤字から11.1兆円改善しました。また、国の一般会計決算額を基に算出した一般会計PBも6.1兆円の赤字となり、前年度の9.1兆円の赤字から約2.9兆円改善しています。ただし、大幅に改善した国・地方PBの数値は2026年7月公表の内閣府試算に基づくもので、地方自治体や国の特別会計の決算が未反映の試算値である点に留意が必要です。一般会計PBと国・地方PBは算出方法が異なり、双方が改善基調にあるものの依然として赤字です。

 2025年度の租税及印紙収入84.2兆円の内訳をみますと、所得税、法人税、消費税の基幹3税が全体の8割以上を占めています。主要税目では、所得税が前年度比4.0兆円増の25.2兆円、法人税が同3.8兆円増の21.7兆円、消費税が同1.0兆円増の26.0兆円となりました。一方、一般会計PBの計算に用いる「税収等」は95.7兆円(前年度比7.1兆円増)であり、前年度剰余金受け入れや雑収入が加わるため租税及印紙収入とは異なります。これに対し、一般会計歳出から国債等の償還費や利払費などを除いた「政策的経費」は101.8兆円となり、前年度から4.1兆円増加しました。税収等が増加したものの政策的経費が依然として上回っており、歳出超過が続いています。

 一般会計の政策的経費が前年度の97.7兆円から101.8兆円へ4.1兆円増加した背景には、主要経費の膨張があります。費目別の内訳をみますと、エネルギー価格激変緩和対策事業費補助金の減少などでエネルギー対策費が前年度比1.3兆円減少した一方、社会保障関係費が同3.6兆円増の39.4兆円、防衛関係費が同1.4兆円増の10.0兆円へと拡大しました。会計検査院の分析によりますと、社会保障関係費の増加には高齢化の進展に加え基礎年金の年金特別会計への繰入額増加などが関係しています。また、防衛関係費の増加には防衛力強化資金への繰入額増加などが寄与しました。このように政策的経費の増加は単一要因によるものではなく、社会保障や防衛の制度的歳出拡大が背景にあります。

 今回の検査報告で財政負担の観点から注目されるのが、利払費が増加している仕組みです。会計検査院は、利払費が普通国債の残高と金利(利率)によって決定される構造を説明しています。普通国債の年度末残高に係る利率加重平均は、2022年度の0.76%から2023年度に0.77%、2024年度に0.83%、そして2025年度には0.98%へと前年度比0.15ポイント上昇しました。2016年度から2022年度までは、平均利率の低下効果が国債残高の累増による影響を上回り、利払費は減少傾向にありました。しかし2023年度に増加へ転じて以降、2025年度は国債残高の増加(前年度末比24.5兆円増)と平均利率の上昇(0.15ポイント上昇)が重なり、利払費は9.1兆円となりました。

 債務の全体像をみますと、国・地方を合わせた債務残高対GDP比は2025年度に188.4%となり、前年度の193.4%から5.0ポイント低下しました。これは名目GDPの増加率が債務残高の増加率を上回ったことによるもので、債務残高自体が減少したわけではありません。実際、国債の償還等に要する国債費は一般会計歳出決算総額の21.5%を占めています。名目経済の成長に伴い債務残高対GDP比の低下や基礎的財政収支の改善が進む一方、1104.2兆円に達する普通国債残高と平均利率の上昇を背景に利払費が9.1兆円へと膨らむなど、資料からは財政指標の改善と利払い負担の増加が併存している現状が確認できます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)