電力不足なら建物が自動で節電 鹿島・三菱電機、AIで空調など最適制御

2026年08月28日 10:53

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鹿島建設と三菱電機は、電力需給に応じて建物の空調や蓄電池などを自動制御するシステムを共同開発した(写真はイメージ)

今回のニュースのポイント

電力需給がひっ迫して節電要請が出されても、建物を利用する人が自ら空調などを調整するのではなく、建物側が電力消費を自動でコントロールする――。鹿島建設と三菱電機は26日、電力会社などからのデマンドレスポンス(DR、電力需要調整)要請に応じ、建物の電力消費を自動で最適制御するシステムを開発したと発表しました。鹿島の自社施設で試験導入したところ、利用者側の快適性を損なうことなく、節電要請から30分間の電力消費について、実削減量と目標削減量との差を±10%以内に収められることを確認しました。

本文
 鹿島建設と三菱電機は26日、電力会社などインフラ側からのデマンドレスポンス要請に応じて建物の電力消費を自動で最適制御するシステムを共同開発したと発表しました。

 再生可能エネルギーの導入が進む一方で、太陽光や風力は天候による発電量の変動が大きく、冬季の夕方のように暖房需要が増える一方で太陽光発電量が低下する時間帯など、電力需給のバランスが崩れやすくなる課題があります。電力需給がひっ迫した際には電力会社などから節電要請が出され、建物側にも電力使用の調整が求められますが、従来の抑制方法では利用者の快適性を損なう懸念がありました。両社が開発したシステムは、インフラ側と建物側の双方の需給情報をリアルタイムで演算し、建物利用者の「快適性」と建物の「節電量」のバランスを自動でコントロールします。

 仕組みとしては、太陽光パネルなどの発電・熱利用設備、蓄電池・蓄熱設備、空調機器、クラウド型気象情報サービスと、AI(人工知能)を搭載したエッジコンピューターを連携させます。建物内から自動収集した外気・室内の温度や湿度、電力消費量、設備の動作特性データと気象予報を組み合わせ、AIが「快適性」と「節電量」の最適なバランスを繰り返し演算。その結果に基づき、設備機器や蓄電池の充放電などを自動制御します。

 鹿島技術研究所本館(東京都調布市)の空調設備制御の一部に本システムを試験導入し、検証を行いました。太陽光パネルや蓄電池、AI搭載エッジコンピューターを用い、空冷ヒートポンプチラー、外調機、パッケージエアコンなどを制御対象として、「快適性」と「節電量」のバランスを1分ごとに演算し制御を実施。その結果、同社施設での実証において、建物利用者の快適性を損なうことなく、節電要請から30分間の電力消費における実削減量と目標削減量との差を±10%に抑制できることを確認したとしています。

 このシステムは節電要請時だけでなく、平常時の運用にも活用が可能です。電力需要が集中する時間帯の消費電力を抑える「ピークカット」を行うことで、電気料金の低減に寄与します。また、節電要請に応じた電力消費の削減実績に応じて、電力会社などからインセンティブとしてデマンドレスポンス報酬(DR報酬)を獲得することも可能としています。

 今後の展開について、鹿島は省エネに加え利用者の利便性や快適性を向上させる機能開発を進め、同社が設計・施工する建物へのシステム導入を積極的に推進する方針です。一方、三菱電機は今回のデマンドレスポンス制御技術と熱電気統合制御技術を核に、建物の電力・熱需要や設備稼働データを分析し、供給から需要まで一気通貫したスマートエナジーの実現を目指すとしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)