英国、地域発電に最大10億ポンド 1000件超支援へ、第1弾3000万ポンド

2026年09月17日 14:57

イギリスイメージ

英国の地域主導型クリーンエネルギー事業を表すイメージ。英国政府は、地域施設への太陽光発電など1000件を超える地域・コミュニティー主導の事業支援を目指している(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国政府は9月17日、公的所有のエネルギー会社「Great British Energy(GBE)」を通じ、地域や自治体が主導するクリーンエネルギー事業への3000万ポンドの支援を開始したと発表しました。これは、今年発表済みの「Local Power Plan」で示された最大10億ポンドの地域・コミュニティーエネルギー支援計画の第1弾となる運用です。英国全土で1000件を超える地域主導型事業の支援を目標とし、地域社会が法的・財務的持ち分を持つことで発電事業による利益の地域還元や公共サービスのエネルギーコスト削減を目指します。

本文
 英国政府は2026年9月17日、地域社会および地方自治体が主導するクリーンエネルギープロジェクトを後押しするため、公的所有のエネルギー会社「Great British Energy(GBE)」を通じた3000万ポンドの支援を開始したと発表しました。

 今回の発表における資金規模は、既発表の計画と今回の施策を明確に区別する必要があります。今回9月17日に開始された支援の規模は3000万ポンドです。一方、発表資料に示されている「最大10億ポンド」は今回一括で拠出される金額ではなく、今年すでに公表された「Local Power Plan」で示された支援規模を指します。英国政府はこの枠組みを通じ、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの全土において、1000件を超える地域・コミュニティー主導のクリーンエネルギー事業を支援することを政策目標に掲げています。対象として、地域施設への太陽光発電、地域所有の陸上風力発電、河川を利用した水力発電などが例示されています。

 今回開始された3000万ポンドの資金内訳において中心となるのは、2000万ポンドが充てられる「コミュニティー・ファンド(Community Fund)」です。イングランド、ウェールズ、北アイルランドの地域団体が、クリーンエネルギー資産の検討、開発、建設を進めるための助成金となります。このほか、イングランドの地方自治体と地域エネルギー団体による共同事業に500万ポンド、スコットランド政府へ180万ポンドが配分されるほか、地域団体に対する助言サービスに最大290万ポンドが設定されています。

 今回の支援制度では、発電設備に対する「地域の所有・持ち分」に関する条件が示されています。今回受入が始まったコミュニティー・ファンドによる支援対象事業においては、地域側(住民組織や非営利団体等)が明確な法的および財務的な持ち分を保有し、事業から生じる利益の一定部分が地域に保持または還元されることを示す必要があります。

 さらにこれとは別の制度設計として、英国政府は今秋、地域エネルギー団体が再生可能エネルギー事業の所有権や持ち分を取得するための仕組みについて詳細を公表する予定です。政府は、ドイツやデンマークで同種の所有形態が広く利用されていることを参考に挙げています。

 既存実績や節約効果の推計についても整理されています。公共施設向けの再生可能エネルギー事業では、すでに150件以上が稼働状態にあります。英国政府は、これらの既存設備および今後続く事業を合わせることで、将来的に公共部門などのエネルギー料金を合計で最大5000万ポンド節約できる可能性があると説明しています。

 これとは別枠の施策として、GBEがすでに最大1600万ポンドを支援した取り組みにより、イングランドの合同行政機構(Mayoral Combined Authorities)管轄下の公共施設などで157件の新規屋上太陽光設備が設置済みとなっています。

 政府は一連の施策の狙いについて、自治体や地域団体が自前の発電設備を所有することで、公共サービスのエネルギー料金を削減し、発電による利益を地域サービスへ還元する循環構造の創出を目指すとしています。なお、英国政府は今回の一連の施策を「英国史上最大の公的コミュニティーエネルギー投資」と位置付けています。今秋に予定される追加の所有枠組みの詳細公表とともに、最大10億ポンドの計画から第1弾の3000万ポンドが各地のプロジェクトへどのように執行されるかが今後の確認点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)