JX金属、HDD向け磁性材の生産能力1.5倍へ 追加増強を決定、2029年半ばまで

2026年09月27日 12:26

JX金属イメージ

生成AIやクラウドサービスの普及でデータ量が増えるなか、大容量データを保存するHDDの需要拡大が見込まれている。JX金属は、HDDの記録層の成膜に使う磁性材スパッタリングターゲットの生産能力を、2029年半ばまでに2025年比1.5倍へ引き上げる計画。(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

JX金属は9月25日、ハードディスクドライブ(HDD)に搭載されるHDメディア向け磁性材スパッタリングターゲットについて、追加の生産能力増強を決定したと発表しました。今回の決定は2026年6月11日に公表した投資に続く追加増強となります。今後3年間にわたり継続的に能力を増強し、前回公表分と合わせて2029年半ばまでに生産能力を2025年比で1.5倍へ引き上げる計画です。生成AIやクラウドサービスの普及に伴いデータセンターで扱うデータ量が急増するなか、大容量データを効率的に保存するストレージとしてのHDD需要の中長期的な拡大を見込み、記録層の成膜に使う材料の供給体制を強化します。

本文
 JX金属は9月25日、ハードディスクドライブ(HDD)の主要部材であるHDメディア向け磁性材スパッタリングターゲットについて、さらなる生産能力増強を決定したと発表しました。今後3年間にわたり継続的な能力増強を行い、2026年6月11日に公表した能力増強計画と合わせ、2029年半ばにおける生産能力を2025年比で1.5倍へ引き上げる計画です。今回の決定は単独で1.5倍に拡大するものではなく、6月発表分と今回の追加分を合算した規模となります。なお、会社側は今回の発表において投資額や具体的な増強拠点、詳細な生産数量などは明らかにしていません。

 今回の生産能力増強の背景について同社は、生成AIの急速な発展やクラウドサービスの普及に伴い、世界的なデータ生成量およびデータセンターで処理・保管されるデータ量が劇的に増加している点を挙げています。大容量データを低コストかつ効率的に長期保存するストレージとして、データセンターにおけるHDDの重要性が増しており、中長期的な需要拡大が見込まれると説明しています。

 今回対象となる「磁性材スパッタリングターゲット」は、HDD内部のHDメディアにデータを保存する記録層を成膜するために使われる材料です。JX金属は、この記録層の成膜に不可欠な磁性材スパッタリングターゲットを長年にわたり供給しています。

 現在、HDD業界では記録密度の向上を目指し、従来のPMR(垂直磁気記録)方式から、次世代技術であるHAMR(熱アシスト記録)方式への移行が進んでいます。HAMRは、レーザー光でHDメディアの記録層を局所的に加熱し、従来より高い記録密度を実現する技術です。こうした記録方式の転換に伴い、HDメディアでも新たな材料の採用が進んでおり、JX金属は顧客ニーズに対応した製品を安定的に供給する体制の強化が重要になっているとしています。

 同社は2026年6月11日にも、2026年度下期から段階的に設備投資を行い生産能力を増強する方針を明示していました。それから3カ月余りでさらなる追加増強に踏み切った形となります。世界的なデータ需要の拡大と記録方式の移行が進むなか、同社は供給体制のさらなる強化を進めます。

 AI関連の投資においては、最先端の演算用GPUや巨大なデータセンターそのものの建設が大きな注目を集めがちですが、生成された莫大なデータを安全に蓄積し続ける「保存」側の物理インフラも同時に拡張を迫られています。今回のJX金属による決定は、データを保存するHDDを材料面から支える供給能力を引き上げる動きとして位置づけられます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)