英国、成長産業で13万人の雇用創出・支援へ 徒弟制度の仲介に追加1億ポンド

2026年09月29日 09:58

ロンドンイメージ

英国・ロンドンの都市景観。英国政府は国家富裕基金(NWF)を活用し、AI・テクノロジー、防衛、クリーンエネルギーなどの成長分野で2030年までにさらに13万人の雇用を創出・支援する方針を示した(画像はイメージ)

今回のニュースのポイント

英国政府は9月28日、若者の就業や教育、技能習得を促すとともに、成長産業に必要な人材を確保するための包括的な雇用・技能政策を発表しました。国家富裕基金(National Wealth Fund, NWF)の現在の資本規模を活用し、2030年までに英国全土でさらに13万人の雇用を「創出・支援」する方針です。対象分野にはAI・テクノロジー、防衛、クリーンエネルギーなどを挙げています。同時に、若者と地域企業を結び付ける徒弟制度の仲介機能拡大へ2年間で追加1億ポンドを投入し、労働者の学び直しを支える基金も年間1500万ポンドで復活させます。

本文
 英国政府は9月28日、若者を就業や教育、職業訓練へつなげ、経済成長に必要な技能人材を育成・確保する新たな雇用・技能支援策を発表しました。本政策では、国家富裕基金(National Wealth Fund)の現在の資本規模を活用し、2030年までに同国全土でさらに13万人の雇用を「創出・支援」する方針を打ち出しています。対象となる成長分野には、AI(人工知能)・テクノロジー、防衛、クリーンエネルギーなどが明記されています。

 具体的な若者支援策として、英国政府は地域の若者と企業を結び付ける徒弟制度(アプレンティスシップ)の仲介サービス拡大に向け、2年間で追加1億ポンドを投入します。公選首長を擁する既存の14の広域地方自治体(Mayoral Strategic Authorities)すべてに展開し、2027年春からイングランド各地で地域に根ざした徒弟機会の創出を後押しします。若者と地元企業をマッチングする地域数を2倍に増やし、数千件規模の若者向け徒弟機会を新たに生み出します。

 英国ではすでに、条件を満たす16〜24歳の徒弟に対する訓練・評価費用の全額支援や、3000ポンドの青年雇用助成金(Youth Jobs Grant)などの直接的な訓練支援を行っています。今回の追加1億ポンド投資は、こうした個別の訓練費支援に加え、地域レベルで若者と中小企業などの人材需要を橋渡しする仲介機能を強化する狙いがあります。

 あわせて、すでに就労している労働者のリスキリング(学び直し)施策もパッケージに盛り込まれました。政府はイングランドにおいて、労働組合を通じた技能習得支援基金「Union Learning Fund」を年間1500万ポンドの予算で復活させます。英語や数学、デジタル技能といった基礎分野から、先端製造業などの成長産業で求められる実務訓練まで幅広く支援する計画で、労働組合員以外の労働者も利用可能です。AIなどの技術変化に働く人が円滑に適応できるよう支援することも目的に掲げられています。

 今回の政策パッケージには、成長産業への民間投資を呼び込む取り組みも位置付けられており、政府は同日の発表で、成長産業への民間投資の動きとして英ロールス・ロイスによる国内製造・エンジニアリング施設への3億ポンドの投資計画も紹介しました。AI・テクノロジー、防衛、クリーンエネルギーなどの成長分野でNWFを活用した雇用の創出・支援を進める一方、若者を企業へつなぐ徒弟制度や、既存労働者のリスキリングを組み合わせています。なお政府は、徒弟制度の仲介拡大とUnion Learning Fundの財源について、雇用・年金省(DWP)が確保する歳出削減分で全額を賄い、詳細を予算(Budget)で示すとしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)