太平洋北部の対象海域を示すイメージ。2026年度の資源評価では、ズワイガニ太平洋北部系群の親魚量が目標水準の0.23倍にとどまる一方、ヒラメ太平洋北部系群は親魚量が目標を上回り、1歳魚の加入量は低水準となった(画像はイメージ)
今回のニュースのポイント
水産研究・教育機構などが9月28日に公表した2026年度の資源評価で、太平洋北部に分布するズワイガニとヒラメの資源状況に大きな違いが表れました。ズワイガニ太平洋北部系群は2025年漁期の漁獲量が5.5トンとなり、親魚量は目標水準の0.23倍にとどまりました。漁獲圧を低い水準に抑えても資源の回復が進まない状況が続いています。一方、ヒラメ太平洋北部系群は2025年の親魚量が5,700トンと目標水準を上回って推移しているものの、新しく資源に加わる1歳魚の加入量は119万尾と1990年以降で2番目に低い水準となりました。
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水産研究・教育機構などが9月28日に公表した2026年度(令和8年度)の資源評価結果から、食卓になじみ深い水産物のうち、太平洋北部に生息するズワイガニとヒラメの資源動向の違いが明らかになりました。
■ ズワイガニ、2025年漁期の漁獲量は5.5トン
青森県から茨城県沖の水深150~750メートルに分布する「ズワイガニ太平洋北部系群」の2025年漁期(2025年7月~2026年6月)における漁獲量は5.5トンでした。
本系群の漁獲量は従来、福島県沖での操業が大部分を占めていました。しかし、2011年の東日本大震災以降に同県船が操業を休止した影響で漁獲量が急減した背景があります。
■ 資源量431トン、親魚量は目標の0.23倍
着底トロール調査データを基にした推計では、雌雄合計の資源量は1997~2008年漁期に720~1,441トンで推移した後、減少傾向へ転じました。2021年漁期以降は一時的な増加がみられたものの、2025年漁期は再び減少して431トン(雌257トン、雄173トン)と推計されています。
最大持続生産量(MSY)を実現する目標管理基準の親魚量は243トンと設定されていますが、2025年漁期後の親魚量は55トンにとどまり、目標水準の0.23倍という低い水準となっています。
■ 漁獲圧を抑えても資源回復が進まず
同系群では、震災以降に漁獲圧(F)が大幅に低下し、MSYを維持する基準(Fmsy)を下回る状況が維持されてきました。2025年漁期の漁獲圧もFmsyの0.15倍という極めて低い水準でしたが、資源の明確な回復には結びついていません。
要因として、漁獲以外による死亡の程度を示す自然死亡係数が2000年代以降に上昇し、2010年代以降は増減を繰り返していることが挙げられています。東北海域での底水温の上昇や、震災後の生態系変化に伴う捕食者の増加などが影響している可能性が指摘されているものの、詳細な機序は未解明とされています。
■ ヒラメは親魚量5700トンで目標上回る
一方、岩手県から千葉県北部の沿岸を中心に分布する「ヒラメ太平洋北部系群」は対照的な推移を示しています。2025年の資源量は7,200トン、親魚量は5,700トンと推定されました。
MSYを実現する目標管理基準の親魚量(4,100トン)を2013年以降継続して上回っており、2025年の親魚量も目標の1.39倍に達しています。2014年に7,100トンを記録した後は2020年まで減少傾向にありましたが、2021年以降は再び増加に転じるなど、産卵親魚の規模自体は目標管理基準を上回る状態を維持しています。
■ 1歳魚の加入量は119万尾、1990年以降2番目の低水準
ただし、ヒラメについても懸念材料が存在します。資源に新たに加わる1歳魚の「加入量」を見ると、2011年の895万尾をピークに、2012~2024年は197万~407万尾で推移していました。しかし2025年は119万尾まで減少し、1990年以降で2番目に低い水準となりました。また、2015年以降は種苗放流に由来する加入尾数も低調な推移が続いています。
太平洋北部の2魚種は、低い漁獲圧の下でも資源回復が進まないズワイガニと、親魚量が目標を上回る一方で1歳魚の加入量が低水準となったヒラメという、異なる資源動向を示しています。現在の親魚量だけでなく、加入量や自然死亡などを含め、それぞれの資源動向を継続的に把握していく必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













