都市部を行き交う人々。8月の就業者数は6849万人と前年同月比14万人増え、雇用者数は6213万人と54か月連続で増加した。一方、季節調整値の完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の2.5%となった(画像は資料写真)
今回のニュースのポイント
総務省が10月2日に発表した2026年8月の労働力調査(基本集計)では、前年同月比で就業者数が14万人増の6849万人、雇用者数が39万人増の6213万人となり、雇用者数は54か月連続で増加しました。一方、季節調整値では労働力人口が前月比11万人増、就業者が3万人増となる中、完全失業者は10万人増加し、完全失業率は2.5%へ上昇しました。原数値の前年同月比と季節調整値の前月比を分けてみることで、8月の労働市場の動きを整理します。厚生労働省が同日発表した一般職業紹介状況の動向と合わせ、8月の労働市場の実態を整理します。
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総務省が10月2日に発表した2026年8月の労働力調査(基本集計)によると、就業者数は6849万人となり、前年同月に比べ14万人増加しました(2か月ぶりの増加)。一方、足元の動向を示す季節調整値の完全失業率は2.5%となり、前月から0.1ポイント上昇しました。
「就業者数や雇用者数が増加しているのに、なぜ完全失業率は上昇したのか」という一見すると相反する動きについて、統計の比較軸や内訳の動きからその実態を読み解きます。
雇用者数は前年同月比39万人増の6213万人となり、54か月連続での増加を記録しました。役員を除く雇用者の内訳を見ると、正規の職員・従業員数は3735万人(前年同月比24万人増、34か月連続増)、非正規の職員・従業員数は2126万人(同15万人増、5か月連続増)となり、特定の雇用形態に限らず双方で増加が続いています。
今回の就業者数の増加を男女別に見ると、女性の増加が目立ちます。男女別に就業者数を見ると、男性が3690万人(前年同月比9万人減)となったのに対し、女性は3159万人(同22万人増)と大きく伸びました。
就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は62.5%で前年同月比0.2ポイント上昇しました。主要年齢層である15〜64歳の就業率は80.3%(同0.3ポイント上昇)となり、このうち女性の15〜64歳就業率は76.1%(同0.5ポイント上昇)まで高まっています。
就業者全体としては前年水準を上回っているものの、産業別に見ると動きには違いが生じています。
前年同月比で就業者数が増加した主な産業は、「医療,福祉」(950万人、23万人増)、「運輸業,郵便業」(348万人、8万人増)、「教育,学習支援業」(354万人、6万人増)、「生活関連サービス業,娯楽業」(244万人、6万人増)、「情報通信業」(303万人、3万人増)などでした。
一方で、「製造業」(1018万人、21万人減)や「卸売業,小売業」(1035万人、10万人減)などでは前年同月を下回っており、就業者の増減傾向は産業間で分かれています。
今回のポイントとなる完全失業率の上昇について、原数値の前年同月比と、季節調整値の前月比の構造を整理します。
原数値では、完全失業者数は180万人で前年同月比2万人減少(13か月ぶりの減少)しました。一方、季節調整値で前月と比較すると、完全失業者は177万人と10万人増加しました。季節調整値では労働力人口が前月比11万人増、就業者が3万人増となる中、完全失業者は10万人増加しました。完全失業率は、前月の2.4%から2.5%へ0.1ポイント上昇しています。
完全失業者の求職理由別内訳(原数値)を確認すると、「勤め先や事業の都合による離職」は23万人で前年同月比2万人減少した一方、「自発的な離職(自己都合)」は84万人で前年同月比4万人増加しました。「新たに求職」は45万人(同2万人減)となっています。
また、非労働力人口は3915万人となり、前年同月に比べ27万人減少しました。就業者が前年同月比で増加する一方、非労働力人口は54か月連続で減少しました。
同日公表された厚生労働省の「一般職業紹介状況(8月分)」では、有効求人倍率(季節調整値)が1.18倍と前月と同水準で横ばい推移した一方、新規求人数(原数値)は前年同月比3.4%減となりました。新規求人の動向では、製造業や情報通信業で増加する一方、宿泊・飲食サービス業や卸売・小売業で減少するなど、業種ごとの違いがみられます。
労働力調査で示された「雇用者数の増加」と、一般職業紹介状況で示された「新規求人数の減少」は、それぞれ就労実態と企業側の新規募集という異なる側面を捉えた指標です。
8月の労働市場では、雇用者数が54か月連続で増加し、女性の就業率も上昇する一方、前月との比較では完全失業率が上昇しました。さらに、産業別では就業者が増える分野と減少する分野が分かれています。求人統計でも新規求人の減少と業種別の違いが確認されており、8月の雇用をみるには、就業者数や失業率といった単一の指標だけではなく、雇用の中身や求人側の動きまで合わせて見る必要があります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













